そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

キャシャーンを見ました

CASSHERN [DVD]

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いま超?話題の「CASSHERN」をやっと観てきました。えー、雑誌、友人などのいろんな評判を聞いてたので予告編を観たときほどの期待感はなかったんだけど、とにかく見なきゃ始まらんので。ネタバレは…無いハズですが。先に言っとくと設定は村上龍の「五分後の世界」なんだよな(苦笑)

ハッキリ言って結構面白かったし、そんなに悪くないじゃん?て感じ。(というと誤解を招きそうだなあ〜)


良かった理由は、やっぱり美術とか画面関係。好き嫌いはあるだろうけど、あのレベルで全体をまとめるのはキリヤ一人の仕事かと思うと結構凄いんじゃないかなあ。画面効果やレイアウトもバシッと決まってるし、自分が見せたいイメージを完璧に表現してるし、その辺は日本人離れしてるよ。カッコよければいいんだよ。月が有りえないほどデカくても、ポーズ決めたまま横滑りしても。
そして思い入れが有るのもわかったよ。スワンを模った巨大ベッドとか、被らなかったけどちゃんとあのメットも作ってたし。(でも戦ったとばっちりで壊れるようなヘルメットはマズイんでないかい?)キャシャーンの戦闘スーツも一応必然性あるし、適度にキモくてカッチョいいし。
結構目新しいなと思ったのは、鉄也とルナが逃げるときに現実シーンとイメージシーンを交互に繋ぐんだけどセリフは同じでニュアンスが違うとか、研究所に雷が落ちるシーンで、まさに雷マークの形をした巨大なパーツが落ちてきて(まさに雷イメージの具現化!笑うトコじゃないよなw)チャクラが散って新造人間が生まれるトコ。そういうアイデアはオモシロかったなあ。CGの動きがチャカチャカしてるのは好きじゃないけど、段々気ならなくなってくるし。


で、悪いトコはありすぎて書ききれないんだけど(笑)見る前に「2時間20分を1時間半くらいにしたら見やすいんじゃないのかなあ」って思ってたのが「2時間ちょい、全編ビデオクリップだと思えばガマン出来るかも・・・」に。いや、それでも1時間半の方がいいけどね。だって殆ど全編物悲しい叙情的な音楽ばっかだし。
で、エピソードとして余分なものはそんなにないんだけど、すべてのシーンがまんべんなく無駄に長い。そのせいでテンポも悪くなってるし。
あと、目新しいと言った画面効果もちょっと使い過ぎでかなり食傷気味。だって普通っぽい画面が一箇所もないんだもん。すべて色付けてるかザラつかせてるか。そしてアクションシーンは何やってるか全く分からないから目が回るよ。これってホントに樋口某の絵コンテなのー?
そしてその何だか分からないアクションシーンにときどき止め絵っぽくトラベリングなシーンが入ったり、マンガチックな集中線が入ったり。去年くらいのディオールの広告写真みたいよ?


脚本はもう語れないくらいの出来だし。誰か止めてやればよかったのにな。フィルムも誰か切ってやれば良かったんだよ(苦笑)編集で何とかしてれば、もう少し何が言いたいか判ると思うんだけど。でもそんな問題でもないか。
脚本の何がヒドイって、そもそも鉄也だけ(ここ重要)が生き返る理由がわからない。培養液に浸けると生き返るってのもどういう理論なのか。だって魂が戻ってくるんだよ?
最初は培養しただけなのに、何で魂があるんだろう>新造人間、って思ってたけど、それって伏線だったのかなあ。そして結局、鉄也以外は誰も使ってないし・・・タイミングの問題?そんならミッチーも玉山も生き返らせてやれよ。
そして話がイマイチ把握できないまま最終決戦で、いきなり上條将軍のクーデター起こした息子がネタバラし。そして新造人間は実は○○だったって・・・(;´Д`)

いーけど主人公・鉄也の戦う理由と彼の正義が全く分からない。ここがちゃんと観客に分かる様に筋が通ってないのが、映画がわかりにくい原因だと思うんだけど。だから彼が自ら「キャシャーン」て名乗るのが「エエッ?」なんだよな。ブライの戦いを始める理由も何だかうやむやだし。(この辺ネタバレになるのであんまり突っ込まないけど、深読みしたまんまでいいのかな?)ブライ軍団とキャシャーンが戦う理由もよくワカラン。

大体、大亜細亜連邦は誰と戦ってんだ?って戦争には勝利したんだっけ。冒頭ナレーションで流すなヨ(手抜き手法!)。しかし普通、ああいうの(第七管区の人々)をテロリストとは言わんだろ。ゲリラって言うんじゃないのかしらん?
最後は何だかわからない理由で「許すことだ」とか言ってるけど、つい、お前の正義は何よ?と突っ込みたくなるよ。鉄也君、何だかもうよく判らなくなってんじゃないのー?w 今じっくり考えたけど憎しみの連鎖を断ち切るとか言ってるけど、ブライキングの憎しみは判るけど鉄也は別に誰も憎んじゃないだろ。オヤジ(すでにキ○ガイ)に反抗してるだけで。それでオヤジとも和解しないし。ある意味鉄也とルナはそう言いながら、混乱したこの世界を置いてどっか行っちゃったわけですが。それでいいのか?(笑)でもキャシャ−ンが「大切なのは許すことだ」って言ってるから許しますよ。読売の記者もそう言ってるから*1


とにかく、話の筋立てと、テーマ(らしきこと?)が登場人物のセリフでサラッと聞かされるから、全然心に残らねーし。逆に言えば、セリフだけ追っかけてって、それっぽい叙情的な画面を見てると、なんとなーく泣けてきたりするのかもな>泣けたって言う普通の若い子達

とにかく、一言で言えば「全てにおいて、見た目だけの薄っぺらな映画」だったヨ。面白いかどうかは別としてね。あ、でもこんなにみっちり感想書けるんだから、1000円分十分楽しんだって事かな?DVD、多分買いますよ、特別価格なら。それが何か?

そうそう、パンフの地図みて気がついたんだけど、大亜細亜連邦ってロシア及び中東以東らしいよ。ようするにユーラシア大陸の、いわゆるヨーロッパ・北欧・中近東以外殆ど全部。ブライキングの城と第七管区(すげー小さい)はモスクワのすぐ下っぽいです。わあビックリ。どんな世界観だ。

*1:当時読売新聞の批評にそういうスゴク激辛なコメントが載ってた。