そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ブラザーズ・グリム

ネタバレというよりも、見るつもりのある人は読まない方がいいかも。


何と言ったらいいものやら、とりあえず一緒に見た相方も全く同じ意見だったんで思い切って感想を。
オレはテリー・ギリアムは好きです。全部は見てないけどモンティ・パイソンやバンデッドQ、バロン辺りが好きなので、どちらかというと昔の物の方が好きなのかも知れません。12モンキーズももちろん好きだけどね。
で、今回の映画ですが、面白いとも面白くないとも言えなくて、ハッキリ言うと《困惑》としか言えませんですのよ。面白いとはとても言えないけど、面白くないとも言い切れない。すごく評価に困るんです。
シーンだけで言えばクライマックスの塔のところは面白かったです。が、そこに至るまでが何をやってるか判らない。話の流れは判るんだけど、そういう問題じゃないし。いっそのこと思い切って整理しちゃって1時間半くらいならまだ我慢できたかも。全編通して何やってるか全く判らない上にギャグも中途半端。本当、何がやりたかったのか?これなら最初からコメディタッチにとしといたほうが良かったのでは。
ギリアムお得意の毒の部分もあまり感じられなかったし、ユーモアの部分も全くなし。と言うか本当にまとまってないんだよ、この映画。映画サイトでの評価が低いのはわからんでもないです。
ティム・バートンの『スリーピー・ホロウ』もちょっとそんな感じがあったけど、この手のお伽話的な映画はそういう意味では難しいのかもね。どこで線引きするべきかは最初に判るようにしといて欲しいよ。


見るべきところはモニカ・ベルッチの有り得ない美しさと誰これ?風味のヒース・レジャーマット・デイモンはやっぱりバカっぽくて英語が判らないのにバカっぽく見えるとは、ある意味スゴイかも。(これってトレイ&マット@サウスパークの刷り込み効果?)ヒースはどうしても『ROCK YOU!』(オレ大好き映画)の金髪爽やか青年のイメージが頭を離れないんだけど、それゆえグリム弟が誰だか判らないという罠。彼は上手いよなー。演技も上手いけど役作りも上手いよ。出てるの知らなかったらたぶん判らなかったかも。


話はあれだけど、画面的にはやっぱりスゴイよテリー・ギリアム。ある意味似た方向のティム・バートンキッチュ&テーマパーク的な雰囲気だとしたら、こっちは幻想的&舞台的な感じとでもいいましょうか。作り込みはスゴイですね。あと照明の使い方が上手くてことさら幻想的に見せてます。あの画面の色使いは好きだしいろいろ参考になるなあ。
舞台っぽいというのは、中で出てくる魔法の森が完全に舞台セットみたいでお伽話っぽさを醸し出してます(どうもオールセットらしい)その森の中がまた素晴しく美しくて!こういうところは凝り性の監督らしいです。女王の塔の部屋もかなり凝ってます。最近この手のファンタジー物が多いせいか、独特の美意識みたいなのはあまり感じなかったけど、凝った造り込みと色彩感覚がちょっとこの監督ならではかなと言うところでしょうか。見る価値はあり。衣装に関してもデザインも作りもどちらかというと舞台衣装って感じ。本物っぽくはないけど、ゴージャスなのはいいですね。


とまあ画面的にはとても満足なんだけど、とにかくお話。ストーリーはごちゃついてるし、キャラクターは設定も立ち位置もさっぱり判らない。どういう世界観なのか(魔法や呪いが有りなのかどうかが)掴めないので、正直何処まで本気でやってるのか判らないまま話が進んでて困るんです。(これは冒頭、インチキ臭いなーと思ったらインチキだった…ということも原因かも)最初にも言ったけど、観客に対してどういう映画なのかの説明は早めにしといて欲しい。

うーん、テリー・ギリアム、もうダメなのか?それはそれで惜しいなあ。せめてもっとマシな脚本ならなあ…。ドン・キホーテのメイキング映画を見に行きそこねたから判らんのだが、ドン・キホーテは何がまずかったんだっけ?