そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

結局ダメだった響鬼…(ちょい追記あり)

結局「平成ライダー」としては微妙なポジションのまま終わろうとしてる響鬼龍騎以降の平成ライダーライダーバトルを代名詞とするようになったからといって、それをやってないからライダーっぽくないとかいうわけでもないし、非常に曖昧かつ中途半端な感は否めませんね。


そもそもオレは響鬼のどこに面白さを見いだしていたかというと、主人公たちのポジションが「ライダーという運命」ではなく「鬼という仕事」であると言うこと、彼らが組織に属しているということ、今までの日常と非日常が隣り合わせな世界ではなく、あくまで現実世界の延長としての非日常な世界観、ヒビキさんという憧れの存在を軸に明日夢少年がどう成長していくのかという物語を楽しみにしていたと思うのです。そういう意味では前半も後半も同じように楽しんだんですが、実際描かれた物語は中途半端もいいところで結局何がやりたかったんだろう…?としか思えないのは非常に残念なところ。
前半が目指したマッタリした雰囲気のままで魔化魍との戦いを描いていくということは、ドラマ部分がしっかりしていれば出来たと思うのです。ダメだったのはシリーズ通しての物語の構成が出来てなかったということと、各エピソードのフォーマットをキチンと決めてなかったということ、キャラの立ち位置とゆくべき方向性を提示していなかったということじゃなかったのでしょうか。
少なくともキャラについての方向性すら示せなかったというのは、それこそ一年通して何を期待して見ればいいのか?という、番組としての根本的な部分にも関わると思うのです。
特に主人公である明日夢に関しては、どういう部分で成長していくのか結局さっぱり判らないままだし。やりたいことが見つからない人間が何か打ち込めるものを見つけてそれによって大きく成長するのが普通だと思うんだけど。
もしくは百歩譲って今の路線の、自分にはやりたいことが何もないことに気がつく…でもいいけどそれじゃあ特撮ヒーロー物を見てる甲斐がないしなあ。(でも出来れば前半でそれに気がついて、以後やりたいことを見つけていくというのが理想的だったのですが…いや、そうあるべきだったと思うし。)
設定が特殊だと、やはりある程度の枠を作ってあげた方が見てるほうも安心して見られるし、作るほうも話が組み立て安いはずなんですよね。(後半の展開がそう)裏話的には設定を作ることが出来ても、結局それを元に物語を作ることが出来るスタッフがいなかったということなんですが。


実はクウガの時から高寺氏の世界観設定は緻密で「リアルっぽく」見せかけているだけで、ドラマにおける「リアリティ」はないと思っているんですが、まさにそれゆえ響鬼は失敗してしまったとオレは思ってます。
オレの思う「リアリティ」はウソの世界でどれだけ登場人物が生き生きと本当に存在しているかのように描けるかということで、そのための設定や小道具は必要だけど世界を本物にする必要はないと思っているのです。
それは例えば白倉PがやったSh15uyaのキャッチコピー「虚像《シブヤ》世界。この痛みだけは、REAL。」というように、あの物語の「シブヤ」は現実の「渋谷」ではないとあらかじめ宣言しているにも関わらず、その中の出来事は中の住人達にとってはリアルなんだ…ということを納得させる設定。これはキャラにとってもそうだし視聴者にとってもそうだという二重構造でもあるのですが、ある意味白倉氏の「リアルって何?」みたいなひとつの答えかなと思うわけです。(話のオチ自体はあれだけど)
物語のリアリティは設定によって作られるわけじゃないと思うんですね。そこを履き違えている高寺氏が響鬼で失敗してしまったのも何というかオレとしては、ああー…って感じです。
クウガはそれ自体大してハマることが出来なかったんだけど、ドラマとして見るべきものがあったんで楽しんだのですが、それは結局脚本家の力だったようだしね。
オレはあの作品で一番リアルっぽくしようとして間違ってたのは、画面に出る時間と場所のテロップ表示だったと思ってます。あれがどうにもウソ臭くてダメだったんですよね。


響鬼は実は今回46話を見て本当の意味でああもうダメなんだなあと思ったのは確かなんですよ。一応後半、どう展開するのかなあと期待はしてたんですが、建て直された展開自体は面白かったものの、最後はやはりダメか…という思いの方が強かったですね。前半の負の遺産が大きすぎたってのもあるんだけど。それでも建前的には残り2回見てみないことには判らないとは言いますが。
これは後半引き継いだスタッフのせいではなく、これしかやりようがなかっただろうし、とにかく各キャラの着地点を決めてあげて、物語を収めなければいけないことを考えると、いろいろ破綻はあるけどもういいや、よくやったよって気にもなるし。
響鬼に関しては少なくともキチンと着地さえしてくれればいいです、もう。(結論早いかな)

ちょい追記:

でも高寺氏の考える設定自体には非常に魅かれるというか、今回はあの鬼のデザインと少なくとも設定の外枠に関しては屈服状態なので、去年の今ごろ期待に胸トキメかせてたオレに謝れって感じなんですが(笑)
アンチスレなどで言われてた「所詮平成ライダーに対するアンチテーゼ」でもその点は構わないんです。それだけであの響鬼の優れたデザインを実現させたり、番組の企画を通したり出来るかと言われればオレは出来ないから。前例のない物を形に出来る能力というのは評価していいと思うのですね。
主役に細川氏を持ってきたり主題歌を布施氏が歌ったりロケに力を入れたり、明らかに他の特撮番組と違う画面を作ろうとした、そのなにか高いところを目指そうとしている姿勢は非常に素晴らしかったと言いたいです。出来ればまた数年後に特撮ファンがビックリするようなマーケティング関係なしの企画を引っさげてカムバックして欲しいところです。その時はぜひ腕の立つスタッフを揃えられるような状態であって欲しいですね。
と書くと偉そうですが、それが特撮ファンとしての希望でしょうか。(結局もうまとめに…)