そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

マックス総括「ウルトラマンの意義」

気が早いことにひと月も前に総括してしまったものをとりあえず最終回まではと思ってとっといたものですが、最終回見ても総括はそんなに変わらんな。

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昔懐かしなキャストやスタッフを連れてきて、ある意味原点回帰だったり昔のテーマの焼き直しをしてみたりだったウルトラマンマックスですが、結局「ウルトラマン」という作品はあくまでも地球人の味方ということで、地球人類を全肯定しながらも地球文明を批判するという、非常にアンビバレンツな部分を持った作品だということでしょうか。
スタートレック(最初のはあまりよく知らないのでTNGの方で)が人種問題、宗教問題、将来の科学技術の問題点などをメタファーに作られた作品だということはわりと知られた話ですが、そこまでいかなくても特撮という子供向けのドラマで、そういうことをやんわりと批判したいという当時のスタッフの心意気が今回は良くも悪くもリバイバルされてしまった…という感じです。
昭和30〜40年代の高度成長期、直接にしろ間接にしろそういうテーマを扱った作品は他にもあったんですが、地球人本人がではなく見ず知らずの宇宙人が助けてくれるという妙に他人事な設定だからこそそういう問題提起が出来たのかなとも思うし。
しかし、人々が単純だった40年前ならいざ知らず、複雑化してしかも現実の状況も意外とのっぴきならないこの21世紀では、どうも問題提起はいいけれど、問いに対する回答が多すぎてこれといった答えを示せないまま(しかもストレートにそれを表現することも許されなかったりする今日この頃)テーマの言い換え、すりかえ、結論を示せずに終わるなどの未消化エピソードを排出してしまった感が拭えないのが惜しいところでした。(スタッフが同じである以上、やはり時代には勝てなかったと見てもいいんではないかと思います)
あまりメッセージ性の強いものも今の時代の気分には合わない気がするし。(今ってみんな「啓蒙されたい」とは思っていても、「みんなで考えよう」とは思ってないんだと思う。だからライダーみたいに「正義とはなんだ?」という強い問い掛けがメッセージ以上に強烈に思えるんだし)


個人的にはスタッフが好き勝手やってもはウルトラマンウルトラマン、「ウルトラマン」って何をやってもいいんだということを改めて発見したというか、そういうバラエティに富んだ面白さ、昨今では深夜の実験的ドラマでしか味わえないような感覚を味あわせてくれた貴重な特撮番組だったと思います。
昔の作品に対するオマージュ等は判るときもあったし判らないときもあったけど、全体には今のファンが見ても大丈夫なようには作られてたと思うんで問題なしかな。
それよりも惜しむらくは、各話の作品としてのレベルが今一つといった物の方が多かったというのが残念な所。スタトレの脚本オーディションじゃないけれど*1、そういうふうに作品レベルを高く設定して欲しかったなあとは思います。単に話が詰まらないからもっと面白い話にして欲しかったというだけなんですけどね。(マックスがネクサス打ち切りに伴う繋ぎ的な作品だったというのは重々承知の上で。だから2クール目からエンジンかかったのかなと思ったけど)
テイストとしてはSFジュブナイル的な物がウルトラには合ってるような気がします。やっぱり子供が出ないとね。(実は平成ウルトラはティガの途中から見なくなっちゃったんですが、映画の「超時空の大決戦」は好きなんです)
こうしてみると、感想はいい加減だったけどオレって意外とウルトラが好きだったんだなあと改めて発見(笑)しかも昔のウルトラ。ネクサスみたいな物もキライじゃないし次のメビウスがどうなのかはまだ判らないけど、どちらかといえば「子供向けSF」という方向で続いていって欲しいなあと思います。大人の観賞に耐えられる話なら尚いいってくらいのユルさでオッケー。オレとしては。


好きなエピソードは順不同で#12「超音速の追撃」(ヘビメタ)、#18「アカルイセカイ」(シャマー星人登場)、#20「怪獣漂流」(太田愛脚本)、#24「狙われない街」(メトロン)、#26「クリスマスのエリー」、#30「勇気を胸に」(カイトのモチベーション)。
もうちょいなのになあというのが#28「邪悪襲来」(前後編でやって欲しかった正統派な話)、#31「燃えつきろ!地球!!」(中島かずき脚本燃える話)、#33-34「ようこそ!地球へ」(タイニーバルタン!)あたりでしょうか。イヤ他のもそれなり楽しみましたが。


一応マックス的ターニングポイントとしてあえてもう一度いいますが、三池崇史監督「第三番惑星の奇跡」。
放送当時も感想と批評で触れたんですが(当時の感想及び批評はサイドバーの「最新タイトル」→「ウルトラ」で探して下さい)なぜかオタクには評判の高い三池監督の回、当時も今でもオレはあまり評価できません。脚本50点・演出85点・雰囲気を足しても総合でせいぜい80点(※70点はちょっと低すぎるんで80点にしときました)でしょうか。オレが三池が大嫌いだというのを抜きにして冷静に見てそんなもんです。オレの私見だと40点でもいいくらい。そもそもまず感動ありきの話作りがキライなんだ。(完璧なら騙されてもいいけど、いつもの作風を考えると中途半端なウケ狙いに見えるから許せんのだ)「感動できる話だから面白い」ってのは本末転倒だと思うし。
でもあの雰囲気が好きだという人は別にそれでいいと思うんで冷静に判断してそれくらい。もちろん「マックス」という作品としてはね。だってあの回より出来が良くて面白い話があるからさ。もともと「マックス」でやんなくてもいい話なんで、別の所で見てそれなりの完成度があれば例え三池だろうと褒めるさ。てことでターニングポイント的な話ではあったけど、実際はスタッフが同じわけじゃないし、あれが放送された時にはそれ以降のタイトルも製作が進んでるということを考えると、真の意味でターニングポイントではないけれど、それ以降良作に恵まれたこともあってオタク的に注目されるきっかけになったという意味で、その功績はあるかな。
それにしてもオタクの人的には何がツボに入ってんだろう?まあゼブラーマンを面白いという人がいるくらいだから、オレにはきっとと判らないのかもな。

*1:ムックによるとメインライターはいるんだけどフリーの脚本家が持ち込みをして面白ければ採用されるものもあるらしい。一本の脚本を時間をかけて手直ししていくのは他のドラマでもそう。だから向こうのドラマは新作半年、再放送半年のローテーションでやってる