そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

カーズ

 
http://www.disney.co.jp/movies/cars/main.html

しまったなあ!マックィーンの声がオーウェン・ウィルソンだと知ってたらあと1.5倍は楽しめたのに!くそ、オレのバカ。ってことでキャスティングを知らないまま字幕版で観賞。
もうね、泣いたよ。余りにも面白くて。素晴しいね、ピクサーピクサー作品は実はトイストくらいしか見てないけど(インクレがウチにあるのにまだ見てない)冒頭の短編を見た感じ、どうもオレは3DCGの人間キャラはダメみたい。だからといってバグズを見たいかといえばそんなことはないけれどさ。
それはさておき。
もう車だよ、車!人間を車に置き換えたというだけなんだけど車が人間のように振る舞ってるというだけで何だかシュール。前輪で旗とか振ってるし。
人間キャラだとあまりにベタな話すぎて、たぶんそんなにそそられなかったと思うんだよね。もともと車って人の顔に似てるんだけど、車種や外見でキャラを表してて人間キャラ以上に判りやすいね。しかもカワイイし!マックィーンのダイキャストのミニカー欲しいな、どこで売ってんだ。
もともとこの映画を見ようと思ったのはピクサーだからってワケじゃなく、劇場で見た予告編が良かったからなんだけど、車のデザインといい画面の雰囲気といい、硬いはずの車がとても柔らかく見えてそれこそ人間のキャラクターと同じ様に感じたからかなあ。何だか判んないけどこりゃスゲェと思ったんですよ。
その辺含めて、もう画面の美しさにただただ圧倒。初っぱなのレースシーンはテンション上がりまくり。ピストン・カップって要はインディ500だよね。F1はともかく、基本的に自然の中でのレースが好きな欧州人と違って米国人はサーキットでグルグル回るの好きだよなー(笑)なので熱狂ぶりと興奮が違うんだけど、それが伝わってくるような臨場感溢れる派手なレースシーンがスゴイ。サーキットにボロボロこぼれてる黒いカスはあれ確かタイヤのカスね。地面との摩擦で千切れるらしいよ。そんなだからタイヤもバーストするんだけど、それでも舌出しで同着1位って有りえない(笑)お茶目だなマックィーン。


ピクサーのテーマ性とストーリーが巧いのは定評ありますが(トイストくらいしか見てないオレがいうのも何ですけどね)、今回のこのカーズは本当に良かった。巧すぎるよなあ。
自分中心の俺様野郎でも強ければいいのか、チームの奴らも周りもマックィーンに結構優しいなあ。それとも彼は俺様だけどそんなに我がままってワケじゃなく人柄はいいんだろか?友達いないけど。まあ声がオーウェンだもんな。
そんな彼がちょっとしたアクシデントで小さな町の人々と触れ合って思いやりのある人物になっていく…ってのは実はよく判らんかった。独りじゃやってけない、支えてくれるみんながいるから…ってのも実はちょっと。だって最初からそれなりいい若造じゃんよ、ちょっと天狗なだけの。しかもみんな彼を必要としてるし。どっちかというと駄々っ子みたいなんだけどな。ただの子供?
それより何となく感じたのは「夢よもう一度」。
高速道路が出来たせいですっかり町は寂れて地図から名前も消え、ゴーストタウン寸前の町に住む古ぼけた昔懐かしなアメリカ車たち(イタ車もいるけど)の中で、もともとよそ者のサリー(しかもポルシェ911カレラ)が賑わってたころの町を見たかった、そういう町に戻したいと思っているけど、現実的にそういう町おこしって難しいんだよね。でもサリーやドックみたいな車が居着いてしまうだけの魅力はある町なんでしょうかね。人も土地も。
この話のテーマになってる高速道路が出来て忘れ去られてしまった昔ながらの小さな町の問題って、もちろんアメリカだけじゃなく日本でも身近な所にある問題ですが、それに対して何とかしないといけないんだと問題提起するわけじゃなく、そういう忘れられた町にもいいところはあって、暖かい人たちが住んでいるんだということを見せることで、高速道路で効率を優先することも必要ではあるけど、その影で忘れられた町にも良いところはあるし、そういう寄り道をあえてしてみることで得られる何かがあるんだ、というメッセージが伝わってくる。それがちゃんとストーリーとして面白く見られるというのがスゴイです。(この辺はパンフを読むと、実際スタッフ達が「取材」ではなく行き当たりばったりで旅をしたという実体験からくる感情の部分が大きそうですね。)
というかこれは異世界譚だよね。異世界に迷い込んだ若者が人間性を取り戻して都会に戻っていく話。


これがマックィーンがレースに負けて失意のうちの自分探しだとありきたりなんですが、彼はスーパールーキーで待望されてて、もちろんこんな町で寄り道してるわけにはいかない状況なのに、それでも罰を受け、いわれた通りに泥だらけになって道路舗装をしてるのを見ると、やっぱりイイ奴じゃんと思うんですよ(笑)
メーターのことでサリーがマックィーンに言ったのは、どうせ通りすがりの他所者なんだから適当なことをいってこの町の善い人たちを悲しませるようなことはするなということだったと思うんですが、彼は今どきの若造にしてはどうも真面目ないい奴で、だからメーターは彼を親友に選んだといい、彼のやったことをサリーやドックや町の人間が認めたんでしょうね。そして何となくいい気分のマックィーンは町で消費し更に彼らを喜ばせた。それが彼の心に残ったのは、町の人が良い人たちばかりだったというのもあるけどやっぱり彼のクルマ性がいいからだと思うんですが、そこからレースに戻って彼のチームが出来てた辺りは泣けたね。
見捨てられた町で見捨てられた元チャンピオンのドックが通報したことをなじるサリーは随分きついなと思ったんだけど、その辺はさすが元弁護士ってことでしょうか。でもサーキットにやって来たメーターはじめ田舎の人たちならではの気の良さと、引退を余儀なくされてくすぶってたドックの華やかな返り咲き(笑)いやマジカッコいいと思ったよ、ドックが。マックィーンがゴール寸前、クラッシュしたキングを気づかってゴールしないところはちと微妙なんだけど、これはもう感情優先でしょうか。速く走って空っぽの栄光を掴むことより、過去の偉大な存在に敬意を表すことを選んだマックィーンにこそ道は拓けるってことかな。マックィーンを勧誘するダイナコとのやり取りは、こういう大きな企業の懐の深さとマックィーンが代わりにとお願いしたことのささやかさで、イイ話すぎて泣けた(笑)


それにしてもメーターとマックィーンですが、メーターの押し掛け親友っぷりはどうかと思ったんだけど、夜中に牧草地に行って悪戯をするところがやたらおかしかった。あれだな、夏休みに田舎のおばあちゃんちにやって来た都会っ子に、田舎ならではのちょっとした悪さを教える田舎の子みたいだよ。マジで和んだ。メーターいくつだよ(笑)
サリーがマックィーンをドライブに連れ出すところ、とても良かったんだけど、休憩所の小バエが車だったのに全部持っていかれた。バグズ・カー・ライフ!(笑)

あとはトレーラーのマックを囲む暴走族のビジュアルが超キレイだったとか、とにかく画面はキレイだねー。荒野の背景とか実写みたいだし。CG画面で実写みたいってオレは褒め言葉じゃないんだけど、この映画のはもうそういうレベルじゃないね。
マックィーンの「カチャウ!(ka-chow)」は何だろ、最近アメコミのセリフで「gotcha!」っていうのをよく見かけたけどそういうやつかな?
そういやドックが教えたターンの極意って確かスピンを防ぐやり方だったような気がしたけど…違ったかしら?理屈は忘れたけど走ってて急に障害物を避けるときに、避けるほうと反対側にハンドルを切れとかなんとか。
良いものは語るとつい長くなるね。とにかく素晴しかった。インクレも一応見てみよう。
あ、EDはイイね。やはり映画は最後まで全部見ないと!