そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

009-1#6「ポップ」

http://www.tbs.co.jp/anime/009-1/
「スパイ」とは何ぞや?っていうだけの話ではなく、ちょっぴりいろいろ考えさせられる話。
この脚本もうまいけど、押さえた演出といい、作画がいいことといい、ホントレベル高いなあ。雰囲気的には完全実写向けですな。
感情を挟まないで任務を遂行するということは、完全に機械と同じであるということを求められているんだけど、体は半機械でありながら心はそうでない、それが命取りであり失敗になる。ルーキーの頃のミレーヌの失敗は若さゆえの自らの慢心であるけれど、老スパイ・アイアンハートは老いたゆえの情動で自らスパイを辞める決意をする。その心の揺らぎがなんだったのか。ミュータントの子供たちの書いた絵はそのきっかけに過ぎなかったんだけど、身体的にはどうあれそこで心が動いてしまうということ自体が彼の言う「老い」ということなんだよな。
ただそれ以上に、敵側のスパイであるアイアンハートに薬を渡す研究所のDrグリーン、おそらくあそこに子供たちの絵を貼ったであろう前任者の博士の想いが、この世界の二極対立以前の病んだ様相を見せているような。
そんな世界にあってもミレーヌは任務を遂行しなければならないし、スパイとして疑問を挟むこと、感情を動かすことは即ち「死」であるということ。アイアンハートは「何も判らない」といったけど、あの絵に心を動かされるということは、研究者達にとっては別の意味を持っていたのかも。少なくとも薬を処分したアイアンハートはその想いを受け取ったんだし。
そして自らの命を絶つことでホンの少しだけ何かを変えようとした老スパイが最後に残した絵が、カラフルだけど写実的な絵だったというのはあまりにも哀しい。そしてそれと対照的に処分されることなく生き続けることを許されてしまったDrグリーンも。彼は薬を世に出してはいけなという思いもあったんだろうけど、その研究を引き継ぐくらいなら自らが処分されることを望んで、アイアンハートに薬を渡したのかも。あそこに絵を貼りだしてあったことといい、前任者はひょっとしたら自殺か?
良心の呵責を感じるということはスパイや研究者としては失格だけど、逆に言えば人間としては正しいということになる。若いミレーヌがそんな葛藤を感じることはあるんだろうか。
 
ところでこれも来ました。

009-1 Original Sound Track

009-1 Original Sound Track

全体的にいい感じです。ドライブ感あるレトロフューチャーなテクノ、ややハウスっぽいのかな。(あんまりそっちの方は詳しくないんで)シンセっぽい響きはあるんだけど安っぽくなく、音の厚みもあるしそれなりお金かかってる感じ。ワイプアウトな感じっていうのかなー。でも完全にジャズっぽいのもあるし。まだ聞き込んでないんでそんなとこですが。
絵がついてるとついそっちに気を取らてテーマ曲くらいしか頭に残ってないけど、単体で聞いても十分聞けます。本編が好きなら買ってそんはしないと思うな。ブックレットのイラストは書き下ろしのような気はするけど(中はEDイラストばかり)、コメントがないのが残念。