そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

続 "親友カ・ガーミン" —加賀美の役割って?

前エントリー「親友カ・ガーミン」http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20070104/p1
前回までのあらすじ〜> 剣にとって加賀美って何だったの〜?と思ったとこから「加賀美の役割ってなにさ?」というとこにまで発展してったエントリー?(コメント欄含む)
どうしようかと思ったんだけど一応別エントリーたててみました。あと3回残したままでまとめるのも気が早いんですが、坊っちゃん絡みってことで。言っても仕方ないことをウダウダ言ってみるエントリー。こないだから言ってることがだんだん変わってる(進化してる!)ような気がするけど、そこはそれライブ感てことで。(便利だなあ「ライブ感」!)
 
坊っちゃんエピが終わった今、加賀美の役割って何だったんだろうと考えると、コメントレスでも言ったように、第一に剣の過去の傷の共有で視聴者に感情移入させる役割だったはずなんですね。もともと加賀美のカブトに於けるポジションてそうだったし。ところがこれが上手く機能しなかった。どうしてかと考えると、結局坊っちゃんが長く出過ぎたから…としかいいようがないんですよね。
そもそも、最後剣が退場するときに今回のように死んでいくというのが最初から予定されていたのなら、親友加賀美と、友達じゃない(けど考え方の共有は出来る)天道の違いということで、立場・考え方の違いを際立たせるという意味だったと思うんですよ。だから剣が加賀美を親友と呼び、加賀美が剣の正体を知る、最後は剣に対して望みを叶えてやれない加賀美とそれを叶えてやる天道というのは予定どおりだったのかなと。
この剣についてはまたちょっと別の考察があるんで後述。


で、これは完全に憶測なんですが、坊っちゃんが長く出ることになったということで考えると、なんですが…
ふと思ったんですが、田所さんが途中退場の予定だったけど最後まで出ることになったという話が某所で出てたらしいですね。(オイラは未確認ですが)
それが本当だとすると、当然岬さんの扱いも2クール目以降変わったはずで、その分加賀美の役割を岬さんに振り分けたんじゃじゃないかと思ったんですね。これは、擬態岬さんと剣のエピは唐突で無理があるというのと、どうして岬さんは擬態されたのに死んでないのかとか。まあメインキャラは擬態されても死んでませんが。(岬さん、加賀美、天道も入れるなら)
25・26話、擬態岬さんと剣のエピのあの話の本筋はマスクドライダー計画の秘密の一端が明かされることと、ワームに人間のような感情が芽生えることがあるということ…なんだけど、それにしても岬さんと剣の関係をこじつけようとしてるとしか思えない展開を突っ込んでる…というだけでも無理やり布石を打ってるように見えるんですよね。どさくさに紛れてという感じ?そしてそこから剣の「ミサキーヌLOVE」が始まってるし。
ちなみに加賀美が、剣がワームだと知るのは29話で境遇を知るのは31話。どっちもすごくちょっとした合間に知って、その後の展開に繋がってない。その間坊っちゃんはミサキーヌLOVE。岬さんは相手にしてないけど、だからこそ長々とクリスマスまでそれをやってるんですね。友情は一夜で成るけど、年下男との愛情は一夜では成らんのですよ。(たぶん)
 
46話で岬さんは加賀美に「どうして教えてくれなかったの!」といってますが、オイラはこれは「知ってたら好きにならなかったのに」だと思ったんですね。その根拠は、今まで纏わりつかれても弟的にしか思ってなかった相手に対して、改めて年を確認するという女心を見たときに、そこで岬さん的に「GO」が出たんだと思ったからなんですよ。
ところが剣はワームだった。田所さんもワームだったけど岬さんはそれを認めた、でも剣は人間に敵対宣言したから岬さんは剣を諦めた。それでも最後に剣自身の意識があるのを知って、それなら田所さんと同じく剣も人間として生きていけるのでは?と思ったから天道を止めようとしたんだと思うんですよ。
で、これって丸々ホントは加賀美がやってもよかった話なんですよね。(恋愛以外は)だって岬さんと加賀美は立場も同じだし、こういう展開で持っていくと結局最後は、剣が人間として「あり」か「なし」かって話になるわけです。
岬さんに剣絡みでそういうおいしいところを持っていかれる展開がある以上、表立って加賀美に出来ることはなくなっちゃったんですね。
実は自分と同じ境遇だというのも同情することではあっても、加賀美にとっては4話ですでに結論が出てるから悩むことじゃないとすると、それ以上には絡めなくなったとしても無理ないのかなーと。(だから加賀美と剣の関係性って、それ以上には突っ込んでない)
例えば4話で加賀美は弟の姿でもワームだとして間接的に倒したけど、加賀美が知ってる剣はすでにワームだったということで、むしろワームとしての剣を認められるかどうかって話ですね。どの時点の人格に比重を置くかという意味では弟の時の真逆なんですよね。
 
とすると加賀美に出来ることは、あとは徹底して剣を庇って、天道と自分の正体に気がついた剣本人から余計なお世話と思われるか、剣との友情を犠牲に剣を倒すしかないんだけど、加賀美は剣の友情を全面的に受け入れてるワケじゃないから(ここ重要)、どっちにしてもそれをやるにはエピソード的に足りてない。ということでこの部分が、岬さんが剣のアタックを受け入れるかどうかにすり替わっていたのかなぁと。(だって恋愛絡みの方が判りやすいし)
結局加賀美としては中途半端な立場のまま、剣との関係は最後を迎えることになったんではないかと。
そもそも加賀美は最終回に向けて剣どころか天道と絆を深めないといけないんですね。これが秋くらいに岬さんが絡まないで剣退場なら、まだ加賀美と友情を深めて加賀美絡みで退場、その後加賀美は天道と対立・和解で絆を深める…でよかったと思うんだけどさ。
もしかしてカットされたところにそういう描写があったのかも知れないけど、加賀美が何の葛藤もなく剣に「信じてる」といった時点で終わったのかなと。ここに至るまでに何か葛藤の描写があれば、全然違ったはずなんだけどね。加賀美がそう言うに足る「正義」があったのかーと視聴者も納得出来るようなね。
推測で言うのもなんなんですが、もし加賀美と剣の関係に結論があったなら、この「ワームだけど剣は剣として認める」だったのかなと思うんですよ。例えそれが間違っていることであっても、弟の時とは逆にそう思えることこそが、加賀美の成長だったのかなって。天道に「俺は俺でしかない」って言って、余計なお世話を焼いて欲しかったかも。そんな空回りなら許すけどな。
もちろん剣は死ななきゃいけないから、そこで加賀美はまた成長するんだけどさ。でもそいうもんじゃないのか、「自分の正義を貫く」ってことは?*1
 
そう考えると、本来視聴者目線でこの物語を語るはずの立場にある凡人代表加賀美くんが、どうにもただの使えない人でしかなくなったのが何だかスッキリしないんだよね。
普通、視聴者目線のキャラって、いろんなキャラと絡んで、絡んだキャラのポジション確認をするためのものでもあるはずなのに、そういう意味では加賀美というキャラは途中で殆ど機能しなくなっちゃったんですよね。

死すべき剣のこと

ここでもたまにコメントくれる某Hさんとこにコメントしたことで、ちょっと考えたんですよ。(勝手に展開してスイマセン>Hさん)
Hさんは坊っちゃんの死に誰も反対しなかったことが納得がいかなかったということで書いてたんですが(と簡単に括ってしまって申し訳ないです)、坊っちゃんが死ぬことを運命づけられたキャラだってのはまあ誰が見ても判るんですね。それはどういうことなのか?ってとこから。
坊っちゃんは出てきたときから人を殺したワームで、たぶん当初の予定では「最初から正体がバレてる」「加賀美がその正体・境遇を知る→感情移入」「ワームであっても人間として有りなのか、無しなのか?」「剣、自ら死を望む」「剣の望みを真に理解してる天道が引導を渡す」だと思うんですよね。たぶん本来、これだけのキャラだったはずなんですよ。
それがミサキーヌと恋をし、ショ・ミーンの生活を知り、いつの間にか出るだけで心和む天然ピュアなキャラクターになってしまった。出てきたときは俺様だったのに、途中のキャラ立ては全く別物になってるワケです。しかも本筋には全く絡んでない。
坊っちゃん退場エピを見ると、記憶を取り戻してシリアス展開になったせいもあるけど、天然ピュアキャラの部分て殆ど要らないんですよね。マフラーのくだりがあるだけで。つーことはこの退場の仕方は当初の予定通りだと思われるワケです。
じゃあどうして死なないといけないのか、ひよりや田所さんと何が違うのかというと、それは剣が(正確には剣に擬態したワームが)「人を殺してるから」だと。
 
他所にコメントした自分のコメントを引用するのもあれですが、一応こんな感じで。

『今回の坊っちゃんの行動は傍目に見ても理屈で考えても「自殺」でしかないんだけど、実は神代剣としては自分自身が許せない対象だからという自殺ではなく、神代剣という人格としてみたときに(本来の神代剣ね)ワームの身体を持つ神代剣自身も倒すべきワームであるということなんですよね。
そういう意味では神代剣オリジナルとしては「自殺」ではないんじゃないかなぁと思ったんですよ。
この辺、米さんの作品世界って実は善悪判断に天道と同じ主張が流れてて「人を殺した悪いワームは許されない」という前提が最初からあるのかなと。それがあるから登場キャラクターの誰もがそこに関しては思考停止してて異議を申し立てないのかも。』*2

前にカブト世界で天道がどうして間違ってないのかということを考えたときに、それは天道が正しいということが正しい世界だから(天道の正義=物語の正義)みたいなことを書いた気がするんですが、*3 天道の善悪判断がカブトという物語の善悪判断のひとつの基準であるとすれば、「人を殺したワームは許されない」と考える天道、及び米村世界においては、剣がワームである自分を許せないのは当然です。そして加賀美が、悪いワームだと判っていながら剣を庇うのは「悪」になるんじゃないかと思うんですよ。
だとすれば恋愛フィルターのかかった岬さんはともかく、加賀美は剣を庇ってはいけないってことになる。それを回避しようとすると、46話のような有耶無耶な立場にならざるを得なかったんじゃないのかなって気もしたり。(上とちょっといってること違うけど、考え方の前提を変えてみたってことで)
作品世界において主人公が正しいのは当然なんだけど、物語の正義が主人公の正義じゃなくて、主人公の正義が物語の正義なのは、似て非なるものじゃないのかなーと思ったり。天道の行動に納得いかない人が多いのはそのせいじゃなかろうか?*4
本来その俺様であるがゆえに本当に正しいの?と視聴者が思う天道に対して、カウンターとして視聴者目線で正しさを確認するはずの加賀美がやっぱり機能してないってのも、更に状況を混乱させてるんじゃないのかなー。
そうなると何となくだけど、「お前のいうことは正しい。だが、気にくわない」は加賀美が天道に対して常に言い続けてこそ、加賀美のキャラとして効力があったんじゃないかなあと思ったんだけどさ。
だって天道の正義は絶対正義だけど、加賀美の正義は感情的正義でいいと思うんだよ。それが本来主人公が二人いる、その二人が対立・和解する過程でドラマになるっていう醍醐味なんじゃないのかなあ。(なんだかすごくカブト否定風味だね)
 
などといろいろ考えてしまいました。もっと簡潔に書ければいいんですが、良く判らなくなってきたよオレも。つか書きながら悩むなよって感じですが。スイマセン、判りにくくて。

*1:これもそもそも22話のマコトくんワームの時にやってるんだけどね。あれって布石じゃなかったのかー?

*2:これを受けてHさんは「人殺しのワームは悪」と断じることは米村世界では違和感ないけど、人でもワームでもいいヤツもいれば悪いヤツもいるという価値観の井上世界だと逆に米村世界の問題点を浮き彫りにするんでは…といってましたが、そもそも白倉さんの正義って絶対正義ではなく相対正義なので、そこで米村さんの世界観がどんづまってるような気もしてきたよ。

*3:カブトエントリーが多すぎて自分でもどこで書いたか判りません…。まあでも、だから32話辺りの迷走天道や自分を犠牲にしてひよりを助ける天道は明らかに間違ってるってことで、オレは違和感あったのよ。

*4:微妙に違うかも知れませんが、id:quon913さんがよく「対人感情描写が納得出来ない」って言ってらっしゃるんですが、本来物語の作品世界内でキャラクターのやり取りって説明出来ないといけないと思うんだけど、どうもカブトってこのエントリーみたいにキャラ描写を納得させようと思うと製作者の目線や考え方で見ないと納得出来ないことが多くて、そもそも物語展開に「絶対こうなる」って前提があること自体、変だなとは思うんだけどね。その辺を粗とみると、ダメな人はダメだという理由なのかも。上の脚注の「米村世界」と「井上世界」じゃないけどさ。