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世界の果てへのいざない

特ニューの米村インタビューを読むと、終わった今となっては明かされなかった謎について考えても無駄かなーと思いつつ、ちょっとどうしても引っ掛かってるところがあるんで、考察としては多分これで最後かも知れんが(総括はやるつもりだけど)せっかくなので考えてみるよ。
ひよりについての考察から始まった、失われた物語と設定についてのオレ補完。考えても仕方ないところは華麗にスルー。大ざっぱな骨子のとこだけで。
追記:そういやこんな記事書いてたのすっかり忘れてたよ!(笑)→「暴走スイッチ設定」 これの完全オレ補完版って感じね。
更に:米村インタビューのネタバレ←ネタバレも何もないんだよ…っことではずします。(自分が面倒くさいだけ)


結局ワームとネイティブって?とか、ZECTってなんだったの?とか、そもそもマスクドライダー計画(以後MR計画)って何?とかいろいろ置き去りにしてるし語られてないんで材料と展開から想像するだけですが、オレが一番引っ掛かってるのが35・36話でした。大本は天道の何がどう間違ってるかを考えようとしたんだと思うけど。
以降の感想でもチョコチョコ矢車さんのヤサグレ理由とか、ネイティブ胡散くさーとか言ってたのはその辺なんですね。
あと終わってから考えると35・36話を監督したのは1・2話と最終3話をやった石田監督ってのも、実はあの話って結構なターニングポイントというか重要な話じゃないかなと思ったんですね。
というかあのエピソードの違和感て、あの時点ではすでに失われてた物語と設定が取り残されてるって感じたことなんです。なのであの話の意味を考えてみて、そこから何が見えるのかを考えてみました。

全体から見たあの話自体の意味は、ワームと別種の「ネイティブ」という存在がいるということ、カブトとガタックに暴走設定があるということ、天道にひよりの居場所を教える立川大吾という存在(ただし立川はこのエピだけで退場)を描写するためのものですね。


まず、立川は何をしたかったのか?
彼は「ワーム」とは違う「ネイティブ」という存在であり、人間の味方だと。(この際ワームとネイティブの種としての違い云々は置いといて、ワームとネイティブは敵対しているとだけ認識しときます)
立川は天道にひよりを助けるようにその居場所を教えに来た。ZECT(=ネイティブ)は立川を守ろうとし、ワームは立川を消したい。ということは、立川のやろうとしてることはワームにとっては都合が悪く、ネイティブにとっても(真意はともかく)多少都合が悪い。立川は保護しときたいけどそれは天道と合わせないためでもあるんではないか、ということになる。
その立川がひよりをそのどちらでもなく天道に預けたいと思ってるということは、ひよりはワーム・ネイティブにとって特別な存在のネイティブだということになる。(シシーラワームの姿が違うというか最初からあの姿なのもそのせいではないかと)
加えて立川は35年前のMR計画のファイルにあったガタックについての記述とさらにカブトについての記述も知っていた。ということは立川こそ35年前からMR計画についてかなり詳しく知っていて、ひょっとしたらその中枢だったかも知れないってことです。
彼がライダーに変身出来ることを考えると、ひょっとしたら実験体としてライダーの開発にかかわっていたのかも知れないですね。
とすると35年前にMR計画を立ち上げ、日下部総一と加賀美陸ZECTに協力することになったこと、その時まだ生まれてもいない息子を資格者として差し出してることについても何か知ってるはず。もちろん18年前に日下部夫妻がネイティブに擬態されたことも、その息子がどうなったかということも。
だからその日下部総一の息子である天道総司にひよりを保護してもらう必要があったわけです。(ここでひよりが日下部夫妻の娘であるということは、米村インタビューにあったひよりがネイティブの「女王蜂的存在」になったかも知れなかったということと同じく、多分関係ない。それこそ製作者の思惑次第なので、その存在がどういうものかというより、物語のポジションとしてそういう重要な位置にいるキャラだった…ということです。問題なのは「日下部総一の息子に預ける」ということだと思うんで。あとそういう意味ではひょっとしたらひよりは妹である必然性もなかったのかも。米村さんの本当にやりたいことが「兄妹愛」ではなく「Boy Meets Girl」だとすればね)


日下部総一はというと、彼は18年前にネイティブに殺され擬態されたにも関わらず7年前に息子の総司にカブトのベルトを渡している。カブトのベルト(とガタックのベルト)にはワームとネイティブを倒す「暴走スイッチ」が仕込まれていた。いつそれを仕込んだのかは判らないけど、少なくとも擬態後にも暴走スイッチの存在を知りながら天道にベルトを渡したのは確か。ということは、擬態日下部総一は暴走スイッチを「人類に残された希望」とした加賀美陸と同じ反ネイティブの思想を持っているってことになる。もちろんそうなると立川もそうだからということだし。
とにかく総司にベルトを渡したということで、日下部総一はネイティブであっても人間に味方をして、当然陸と志を同じくしてるということです。


そこでネイティブ。
ネイティブの目的自体はあとからやって来るワームという多分同種の生き物を人間の力を使って排除することだった。なぜ排除しなければいけないか?
理由は判らないけどワームとネイティブは敵対してる、ということはネイティブの邪魔になるワケです。なんの邪魔かというと、ネイティブが地球で存在するための邪魔。
それはどういうことかというと、そもそも、どうして人間がネイティブに加担しなければならなかったか?オレは感想では北○鮮的マッチポンプだと言ったんですが、要するにたまたま(かどうかも判らんが)地球にやってきたネイティブが、侵略されたくなければ協力しろと言ってるようにしか思えなかったんですね。
人間とネイティブではネイティブの方が強いけど、そのネイティブはワームには勝てない。でも人間の協力を得ればワームを倒すことが出来ると知ったネイティブは、侵略されたくなければ協力しろといって人間を脅し、ZECTを作らせたんじゃないかと。
そして加賀美陸を警察のトップに据え(これは擬態出来るネイティブがいる以上、どうにでも出来ると思うし)、警視総監&ZECTのトップとして傀儡として使えるようにした。多分日下部総一のことがあったから、陸は本性を現わさず、本心を押し隠し人間のままでネイティブに協力してたんでしょうね。自分が必ずしも総一と同じように自分を保ってられるかの保証もなかったろうし。
でも結局ネイティブの最終的な目的は人間を全てネイティブにしてしまうことだった。だからこそ、地球上にワームがいては困るんですよ。地球上を全てネイティブで埋め尽くすのが彼らの多分「種」としての目的。だから「侵略者」であると。この辺はかなりオールドSFですね。*1


根岸たち「人類総ネイティブ化」なZECT中枢の強行派に同調するネイティブは特に描かれてなかったけど、多分こっちの方がネイティブとしては多数派で、立川や田所さん、日下部総一の記憶によって感化された擬態日下部総一の方が少数派なんだよな。
儚いものに思い入れるという気持ちがあるけど、「儚い人間が愛おしい」って言ってる立川なんか明らかにそいう意味で人間に加担してる。
「最後の一人になっても人間を守る」といってる田所さんも元々ネイティブだったとすると、その「種」としての本能はあるだろうけど、エリアXで見たものが例えば擬態天道(人間の少年をネイティブに変え、更に資格者である天道総司に擬態させたもの)に対する実験だったとすれば、ZECTのありように疑問を抱いて辞表を出そうとするのも判らんでもない。
(余談ですが、エリアXにワームだかネイティブだかの胎児の標本があったんだけど、ワームが卵生だというような描写があったことを考えると、ひょっとしたら他にもひよりみたいなケースを作りだそうと擬態胎児の研究をしてたのかも知れんね。こわー)


※一応追加で逆視点。ネイティブ自体の本質は善であって、本当にひっそりと人間と共存しようとしていたのかも知れなく、根岸たちがやっぱり右寄りだったったという可能性もあるけどね。そうであれば根岸たち悪いネイティブをあのラストで一掃すれば、まあそっちの方が物語としてはキレイだと思うし。ワームにだって「人を殺して擬態する」という「習性」に目をつぶればいいワームだっているだろうし。(その習性は矯正可能ということも考えられんか?)
まあネイティブと共存して人類の得になるかというと別にそんなこともないかも…というかメリットがあればとつい思っちゃうんだけど、それがSF的な「階梯を上がる」(NextLevel)という壮大な物語ということではなく、米村さんのいう「9.11の後の世界」という物語を描きたかったんだとすれば、等しく災厄を被った者たちの再生の物語、「絶望の中の希望」なんだとすれば、まあそんなことも蛇足でしかないんだけど。(ちょっと横道にそれたよ)


とにかく、立川の役目としては「日下部総一の遺志を継いだ」天道に「特別なネイティブ」であるひよりを預けることだったと。
それと「ネイティブ」である立川が出てきたところでカブトとガタックの暴走設定、思わせぶりなパンチ&キックホッパー登場ということを考えると、普通、物語構造からして関係あると考えるわけです。
だから矢車さんがヤサグレた原因はと考えると、一番ありそうなのがZECTとネイティブの繋がりを知ってしまったということではないかと。
つまりZECTは人間にとっての組織ではなかった、しかもその先が人類総ネイティブ化だとすれば、ワーム(侵略者)と戦ってきた人間のメンタリティからすればなんじゃそらと。しかも行き着く先は人間にとっては…というより自分にとっては地獄。(人間でない異形になるんだからそりゃそうだろうし、ワームと戦ってる以上ある程度ワームとは何かを知ってるはずだし)
そうだとすれば、影山がネイティブになってしまったときも、たいして驚かなかったことが納得出来るんだよな。だってネイティブの目的を知ってるんだから。
以前陸が言ってたネズミの集団自殺の話は結局「人類総ネイティブ化」のことだったんだけど、あの時点では陸をはじめ、どっちにしてもネイティブ化は止められないって思ってたってことでしょう。ただみんなで渡れば怖くないってだけで。
で、たぶん矢車さんに陸がホッパーを渡して暴走したカブトとガタックを止めるように言ったんではないかと思うんだけど、矢車さんは登場時こそその目的を果たしたけどそのあとはどうでもよかった…というかカブトもガタックも暴走してないんで判りませんが(苦笑)
でも明らかにあの時の矢車はそういう目的で動いてたんですね。逆にどっか行っててもよかったのに、何だかんだで天道や加賀美の回りをうろついてたのはそのせいかとも思えます。話にもあの二人にも全く絡んでないのにね。
でまあ、だからといってZECTに協力してワームを倒すわけでもないのは、前にも言いましたがZECTに協力するということはネイティブに加担するということ。反ネイティブでヤサグレてる人からしたら、協力するいわれはないよなあ…ってことだと思うのですよ。多分影山はそんなこと全く知らないんだろけどね。でも矢車がポッパーとともに与えられた使命を考えると、ZECTからもワームからも見放された影山は都合が良かったんではないかと。どっちに与することもしないだろうし。東映MAXの対談で矢車は影山を「利用してやる」と思ってたってのはそういうことかなーとも思ったり。(それはなくなっちゃったらしいですがw)


ネイティブでもライダーに変身出来るかどうか、ってのは立川さんがやってたけど多分最初はネイティブはそのつもりだったとか?でも変身は出来るけど何か足りなかったんでしょうね。でなきゃ少なくともサソードとドレイクに変身出来る立川さんが、放置されてるはずないし。その辺が人間のメンタリティが必要だとか「人間でないといけない」理由というか、そういうことなのかも知れないですが。資格者はみんな俺様だし。(そういえば1話でZECTが遣わしたカブトの資格者がワームに擬態されたってのは、何か意味深ですね)
だから今度は人間をネイティブ化して、更にライダーに変身させようという研究をした結果が擬態天道だったということでしょう。ダークカブトはプロトタイプだって特写写真集にもあったしね。
まあそうすっと実験体にされてた擬態天道も可哀相なんですが、人間のためにネイティブも全滅させる暴走スイッチを仕込んで置くということは、擬態日下部聡一にとっても立川にとっても自らを滅ぼしかねない装置なわけで、それら全てを最後の切り札として抱えていた加賀美陸も相当なもんだと思います。
陸が日下部聡一の意志を継いだってことはそういうことで、天道はそれを判っていたから陸の言うことを「天の道」と信じたんだと思うけどね。
ただまあ天道は、結局は自分を犠牲にしてでもネイティブを滅ぼす覚悟だった父親世代と違って、ネイティブであるひよりを生かすために人間とネイティブ(多分いいネイティブだけ?)との共存を有耶無耶のうちに決めてしまったんだけさ。


あとどうしても判らないのは、陸が言ってた35年前のMR計画に加賀美新の名前があることを天道が知ってるはずだ、ということと、息子を恨まないでくれということなんだよ。これはさすがにネタにする材料もないんでどうにも想像の域を超えないんだけど、ハイパーカブトが時を超えてカブトを助けに来たり、ハイパーゼクターやパーフェクトゼクターを送り込んでたことを考えると、何らかの過去への干渉はあったんじゃないかという気はしなくもないんだよね。それは未来(物語が終わった時点以降)の天道自身によってだけど。
この場合どこまでがタイムパラドックスになるのか?ということだけど、その危険性を回避するためには、MR計画はもともとネイティブの計画であってライダーのベルトが作られるのは必然であるということは変えられないんだよね。
じゃあ何に干渉したかというと、多分その時は人間側には知らされてないだろうネイティブの最終的な目的「人類総ネイティブ化計画」を父親達に知らせ、その対策を(例えば暴走スイッチ)取らせるくらいではないだろうか。
それであればファイルに「加賀美新」と「日下部総司」の名前があってもおかしくはない。天道がそのあとに起こることを知っていれば、加賀美の名前はともかく、自分の「天道総司」の名前を出さなかったのは、万が一の保険だという気もするのですよ。だって35年前時点で「天道」は関係ないし、「日下部」で通すほうが自然かと。
で、多分日下部総一の身内に「天道のおばあちゃん」がいて、総一はことあるごとにその話を陸にしていたのではないかなあと。その人生訓を語る様とか、名前そのものが「天の道を往き…」だということを。まあそう考えれば多少の辻褄は合うかなあと。
あともしくはそれを知らせに来た天道自身が、名前を問われて「天の道往き、総てを司る…」とだけ答えたとか。(こっちの方が萌えだなあw)


とりあえず、ざっと35・36話で引っ掛かってたとこからこのくらいまでは、終わり間際でなんとか憶測してたんですが、まあそれ以上になんかあったんだろうとは思うけどね。米村インタビュー自体が結構あやふやで、どの時点で設定が復活したり転んだりしたのか判らない以上はどうにも。
まああのエピソードのあまりの話のつながらなさに、あったとすればこんな話や設定じゃないかなあ…というとこから思いつくままに考えてたことなんですが、物語がなくなってもストーリーのエピソードとして布石だけは打っておかなければならなかった…というのが、この話なのかなと、それが結論。
あとZECTは悪なのか正義なのかということにしても、結局ZECTという組織は人類にとっての悪の一味だったけど、陸の本心は正義の側だったしなあ。
その点番組初期のコピー、ゼクトルを背後に従えたカブトで「俺が正義」ってなんか違うなあと思うし、最後に天道が言った「俺が正義だ」も同じセリフを言ったって言う感慨は全くなくて、シチュエーション的には合ってないんだよな。その辺から当初、ZECTという組織はどういうつもりだったのかは何となく読み取れはしたけどね。
まあそんなとこでしょうか。

*1:本当に「共存」を望むような種がいるとは思えないし。結局は全ての生物の根源的な目的は「同質化したい」だと思うから。