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もう明智くんは生き返ることは出来ません‥‥って前回いってたわりに、今回の話はそれに触れてもなかったよ?
というか最後は福原&塚原コンビ。
オレさー、このドラマのコンセプト自体はすごく好きなタイプの話なんだけど、(それが如実だったのは5話とか7話なんだけど)どうもやっぱりメイン脚本の福原充則さんの描く脚本世界がダメみたい。この人絶対わかってない。なんかパンクでアンチで反社会的なものがやりたいだけなんだと思う。この明智くんと二十面相の閉じた繊細な世界には向いてないよ。そういう意味で非常に不満。不満どころか、俺世界な仕事っぷりにちょっと怒りすら覚える。不愉快。こういうマッチョな人に弱者の気持ちを汲んだ薄ぼんやりした世界 *1 を描いてほしくない。仮にそういうつもりがあったんだとしたら、はっきり言ってそれは出来てないといいたい。
この際明智くんが死ぬとか生き返るとかって設定の話は置いといて、だ。(そんな設定すでにどっかいってるから)
最後の話は結局大人になりきれない名探偵の孫と怪人の孫が、お互い共依存であることでその役割を続けることができるという、生温かい気持ちでそういう「ごっこ」遊びを楽しむ閉じた世界、過酷な現実と折り合えない人間の弱さを肯定した世界の話になってるんだけど、ものすごく引っかかったのは二十面相・田中くんが妻子持ちでそこそこいいマンションに住んでるってことなんだよ。結局旦那の二十面相ごっこに愛想つかして奥さん実家に帰っちゃったみたいだけどさ。というか会社も有給使ってクビとかねえよ。何いってんの。
万年青年の39歳・明智中五郎ならそれでもいいけど、田中くんは単に社会の落伍者でしょ、あれじゃあ。社会人として、ではなく家庭人としての責任を取らないでいつまでも子供でいましょうっていいながら明智くんと「ごっこ」遊びをするのはどうかと思うよ。
それなら会社リストラされて奥さんにも愛想つかされて離婚され、どうしようもない状態の二十面相のところへ明智パパが現れて、その存在意義である「名探偵と怪人」ごっこをするように仕向けた‥‥っていうなら全然見方は変わるのに、この最終回の描写だと仕事も家庭もろくすっぽ回ってないのに怪人ごっこをした挙句、会社はクビ、奥さんは実家って、それは違うと思うんだけどなあ。そういうキャラに対しての目配せができてない脚本が嫌なの。
「名探偵」は街のなんでも屋な探偵さんではないし、「怪人」は単に社会的な意味での変態ではない。明智くんに挑戦するために8万円かかっても黒ペンキを買い占める怪人二十面相・田中くんを肯定してやらなきゃカワイソウだろ(笑)そういう「世界」、というか「社会」でなく「世界」なんだけど、そこにいていいよといえるのは今の世の中だからだと思うし、彼らを「名探偵」「怪人」たらしめるものはお互いの認識のみ‥‥っていうのは好きなんだよ。存在論的で。バットマン(「ダークナイト」)も同じこといってたよな。
それを見守る保護者目線の小林少女も、「まったくもうしょうがないんだからー!」といいながら生温かく「名探偵と怪人ごっこ」を見守って欲しいんだよ。
たぶん田辺と片桐はわかってやってただけに、あと小林少女の里奈ちゃんもその二人の保護者的ポジションでハマってただけに(小林少女が分かりやすくSキャラ、明智と二十面相が分かりやすくMキャラってのもいいw)、こういうマッチョな自意識で書いてるような脚本は残念でなりません。企画意図と出来上がったものが違いすぎる。なんで福原さんにこの仕事振ったんだ?
そうでなければ結構いい感じに閉じた世界を作っていって最後は世間の片隅で、現実ではダメ人間な名探偵と怪人が永遠に追っかけっこをする幸せな結末になったと思うのになあ。ああもったいない。キャストがハマっててよかっただけに残念すぎる。もう、バカ!この企画とか設定、キャスト選定はすごく良かったのに!
あ、警備員の人が言ってた「田辺さんは私服でも七分丈のズボン」ってのはいい情報(笑)さすが田辺w