そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ゲゲゲの女房 22週目「おかあちゃんの家出」

http://www.nhk.or.jp/gegege/
まさかこのドラマにおいて、「約束の手作り鬼太郎ハウス」が貴司の死亡フラグだなんて思うかよ〜!突然過ぎてビックリ。死はいつも突然に。これがご都合でない実話ドラマの展開クオリティか。
前半部分、茂さんの仕事の話にまったく関わらせてもらえないこの時期が、布美枝さんの貧乏じゃないのに一番辛かったってやつかな。
ドラマなのはともかくとしても、ずっとこのドラマ見てる限りでは茂さんは変人で偏屈であっても、心がないわけじゃないし人をぞんざいに扱う人間ではないってのがわかってるから、それでもこの布美枝さんに辛い展開でもガマンできる…かな。
端から見てたら(ドラマだしw)茂さんが急に許容量いっぱいな水木プロの運営のことや仕事のこと、アシスタントはもとより子供や親とか家族への責任でいっぱいいっぱい過ぎて頑張りすぎてるって話なんだけど、それを布美枝さんにわかれってのは無理だよなあ。
や、布美枝さんがわかってないってことはないんだよな。(ドラマ的には)茂は何の疑いもなく今まで通り自分の仕事の大変さを理解してるもんとして扱ってるってだけなんだよな。ある意味信頼してるってことだろうけど。
見てる視聴者は、というか脚本はそこら辺も理屈としては分かるように描きつつ、そういうことでもないという気持ちの問題を丁寧に拾ってて、本当にこの脚本は気持を見せるのが上手いよなあ。うん、やっぱり基本は論理的に筋を通してるんだよね。その上でちゃんと気持ちを理屈で描いてるから誰が見ても分かりやすいし、好きなところに感情移入して楽しめるんだよなあ。スゴイなあ、このテクニックというか力量。
だってこれってさ、こないだの貴司の言ってた夫婦の会話が重要っていう話なんだけど、わかってても口で言ってくれなきゃわかんないよねえ‥‥っていう、よくありがちな話でありながらもそうじゃないんだよね。ありがちな夫婦の話としてもちゃんと見られるようになってるけど、実際、茂の仕事とその状況ってそういうありがちな状況じゃないよね。家族総出の自営業の家って訳でもないし。ものすごく特殊な仕事だよね、漫画家って。一応水木プロはそれなりシステマチックに時間区切ってやってるけど。
子供の藍子ですらお父ちゃんに迷惑かけちゃいけないって思ってるくらいには、お父さんである茂の仕事状況が家族に見えてて、でも本来それは会社員なら見えない部分のはずだから、見えちゃってることで布美枝が気になるのは理解できる。
でも茂からして布美枝を仕事から切り離しとくのは、余計な心配を掛けたくないと「守ってるつもり」なんだよねえ。だよね?水木プロの他の役員を身内で固めてるから公私混同しそうになるんだけど。
でも茂はそれを気持ち的にもはっきり分けるため家から仕事場への入り直しという妙な習慣をつけたりしてるんだし、布美枝には仕事の愚痴は言わないようにしてる‥‥んだけど、やっぱりそこは「これからはこうする」って言わないと…(苦笑)
だからもろもろ、布美枝がそれを寂しいと思うのも分かるんだよな。でもさ、貧乏時代からずっと茂って仕事のことは布美枝には相談してなかったよな(笑)仕事を手伝ってたからなんとなく布美枝さんは自分も頼られてるような気になってたんだと思うけど、サポートしてたのはホントのところ、仕事以外の部分だよなあ。
そういう意味ではそもそも好きなようにやってる茂は、稼いで忙しくなってからも全然変わってないし、年だって10コも上なんだから、布美枝が思う以上に家族や仕事場の人間を守って引っ張っていかないとっていう気持ちがあって、でもそれを口に出して言わないのも昔と同じじゃんねw
だからずっと同じように、「家のことは任せた」なんだけど、でもやっぱり、仕事の状況くらいはとは思う。オレでも思うw でもそれを茂に面と向かって言えないのも布美枝さん‥‥(苦笑)
まあでも布美枝さんの気持ちはすごく良くわかるので、家出があんなもんですんでよかったよ。しかも茂もちゃんと心配してくれてるしなあ。なんだかんだ言っても頼りにされてるし信頼もされてるというのがわかれば布美枝だって我慢のしようってのがあるんだし。
でもこれ本当にドラマだからこんなもんで済んでるんだろうけど、実際きっと酷かったろうなあ。酷いというかつらいというか。どう見たって茂って暴君タイプだよな、やってることだけ見れば。ドラマだから性格も悪いわけでもない仕事一筋の人間だって分かるけど、実際の人間の人生はそうじゃないだろうし。きっと絶対、布美枝さんの心労はそんなもんじゃなかったはず。
たださ、実在の人のことをそう言うのは気が引けるけど、茂が布美枝に仕事のことを何も言わなかったのは、布美枝さんが人はいいけどあんまりそういうことに向いてない、ぼんやりとした気の利かない人だったからじゃないかなと思うんだ。そもそも夫婦の会話が少ないってのはそういうことじゃないかと。家族のこと以外、共通の話題ってなさそうじゃん。学があるわけでもなし、芸能や教養的なことに興味が有るわけでもなし。そういう意味でまったく普通の人だよね。
人ってさー、というか茂ってさ、暇なときならともかく忙しい時にまで打っても響かない、話の通じない相手に対して懇切丁寧に話をしてあげるほどいい人でもないと思うんだよね(苦笑)そりゃ布美枝さんの方にも原因はあるんじゃないかなあと思うんだよなー(^_^;)
さらに、ドラマ的には直後だけど実際もそうだったのかな。弱り目に祟り目って奴か。久しぶりの飯田の家とか、いつの間にかいずみが見合いして結婚してたとか、ビックリ。いや一番のびっくりはその貴司が亡くなったことだけど。つい2週間前にこれから心機一転とか言ってたのになあ‥‥オレも悲しいよ。
でも最後に久しぶりの美智子さんの訪問で明るく終わってよかった。
貴司が死んで悲しいところに、「死んでも傍にいるから」というこみちのおばあちゃんの話は、なんとも言えずほっとするというか。
なんというか、この時代まではやっぱり今より人間関係が単純だなあと思うのは、「子供が親より先に死ぬのは親不孝」なのは、いい意味でだけど子供の成長しか楽しみがないからだよね。
子供が親より先に死ぬことなんて珍しくない時代だからこそ、ちゃんと大人に育った、関係性として親にとっての子供が亡くなることは不幸ってことだろうと思うんだよな。
あと娯楽という意味では他にたいして楽しみがない時代だからこそ、子供を育てることしか親のやることはないから、子供が先に亡くなるってことは親にとっては生きていく意味が無いくらいに不幸なことなんだろうなーと思うんだけど、人というのはそういうもんなのかなあと、40半ばになってやっと思い至るようにになりました(笑)
このドラマ見てるとしみじみそう思うよ。
貴司の死と仲間はずれの布美枝さん(長女はしっかりしてるw)に美智子さんのおばあちゃんの話で、まとめが「見えなくても傍にいる」ってのが良かった。ホロリ。それでこれが次の週の茂のスランプ話に繋がる‥‥ってのも構成が見事だなあ。