http://www.tbs.co.jp/jin-final/
脚本：森下佳子 演出：平川雄一朗
最終回見たら原作の終わり方も思い出しやした。ドラマは原作とはだいぶ違う終わり方で終わったなあ。まあこれはこれでよし。
確か原作の「JIN」は、仁先生があのタイミングで戻るのは同じだけど、咲さんの治療薬云々の話はなかったような気がするけどなあ。違ったっけ？
それで戻ったら仁先生のいた病院（東都大学附属病院）は名前が変わってて仁友堂病院とかになってんじゃなかったっけかな。診療科目も東洋医学科とかあって、まさに仁先生が仁友堂でやってたことの発展形だし。その創始者が橘咲で、仁友堂の佐分利先生や山田先生に助けられつつ女医をめざしたとかじゃなかったっけ。南方仁の名前も公式に残ってたよな。
野風さんはフランスで暮らすことになって、向こうで生まれた娘の子孫が仁友堂の創始に関わってたってこと知って日本にやってきて、仁先生と出会って、仁先生もそれが野風さんの子孫だと知って縁を感じるという話だった（というか多分そのまま付き合うとかそんな感じ？）と思ったし。まあもともと未来さんは原作にはいないんだからそうだろうけど。辻褄はともかく、そこら辺のドラマのアレンジは上手かったなあ。
で、ドラマのほうだけど、たぶん視聴者が気になってるSF的な考証はあの仁先生の後輩の野口先生（山本耕史）が説明したやつでいいんじゃないかと思う。
ただ野口先生説は完全に並行した可能性世界で理論上はパラドックスが起こりえないパラレルワールドで、原作のタイムスリップは、多分時間軸一本の、タイムスリップが起こった時点で歴史が変わって、それ以外の可能性は消滅するって方のパラドックスが起こっちゃう方のパラレル解釈だね。その方が分かりやすいといえばそうなんだけど。（電王もこっちだよな）
まあ相談されただけであんなにキッチリパラレルワールド的解釈でその矛盾点を説明してくれる土方副長（違）はどんだけSFマニアなのかって話だけど（笑）
もうむしろSFにも歴史にも疎い仁先生じゃなく野口先生がタイムスリップしてればよかったろうにってくらい？そしたらきっとそのまま新選組に（以下ry
補足的にちょっと考えると野口先生の言うとおり、違う時間軸の南方仁が次々と別の時間軸の過去にタイムスリップして幕末の江戸に存在してしまうんだけど、時間軸Aは医療関係で特に目立った発展をしてないことからおそらくタイムスリップした仁先生はこの物語のメインである時間軸Bほどの活躍はしていない、もしくはどっかで何かに巻き込まれて功績を残す前に死んでしまった‥‥んだとマズイから、元の世界に戻ったんだろうな。つまりそれがあの1話で運び込まれた仁先生ってことで、この物語の仁先生と入れ替わりに‥‥ってことじゃないかなあ。他の時間軸も然り、ってことだけど。必ずしも今回の時間軸Ｂにタイムスリップした南方仁と同じくらいに活躍したとは限らないと思ったほうが平行世界としては納得出来るかな。お初ちゃんのこともあることだし、仁先生が過去に行ったことによって、その時間軸の南方仁が医者の南方仁にならない可能性だってあるだろうし。
そして未来に戻る時はすでにその時間軸の仁先生はいないわけだから同じ時間軸に戻るようになってると。そこら辺がもしかしたら「入り口と出口が違う」ってことなのかもしれないしな。
そしてまあここが一番ウヤムヤなんだけど、時間軸Aの南方仁の頭の中の腫瘍は胎児様腫瘍だったけど、時間軸Bの南方仁は普通の腫瘍だったんだよな。手術のタイミングとか、同時に二人存在した事実といい、もしかして腫瘍を手術するところで平行世界の各時間軸が交わってるのかもね。
そして時間軸Aの仁先生は無事に西洋医学と東洋医学が融合して発達した現代に戻ってきて胎児様腫瘍の手術を受け命をとりとめ、押し出されちゃった時間軸Bの仁先生は医療用バックを持ったままタイムスリップ。というか落としたはずのあのホスミシンの小瓶がちゃんと恭太郎さんとこに届いてるってことは、あの非常階段の踊り場が入り口ってことかあ。（仁先生拾わなかったもんな）良かったなあ咲さん！ｗ あ、じゃあ10円玉も誰かがあの踊り場で落としたってことか！てかあれ消えてないけどー？佐久間象山の医療用ネットはもうあの時代の物ってこと？ああそうすっと、1話で仁先生がホスミシンを拾ってポケットに入れちゃったからあの時間軸の咲さんは助からなかったのかもな。だから仁友堂病院も橘醫院もないと。なんとなく辻褄はあってるなー。
いいけど咲さんの傷、あんないかにもな緑の膿かな緑膿菌って。緑膿菌ってあんなもんなの？オレも1年前にひと月くらい知らずに緑膿菌飼ってたけどさ、もっと血と混じってドロッと赤黒くなってたから（緑っぽいと言われたらそんな気も）あんな鮮やかな緑ってのもなあ（^_^;）破傷風でなく緑膿菌ってのがありがちかどうかはわかんないけど、破傷風だとペニシリンが効いちゃうからドラマ的にダマズイってことなんだろうな‥‥ってことにしとく。緑膿菌も一応常在菌みたいだから可能性はあるだろうし。
というか、6年前の仁先生が持ってたかもしれないものならそれらしいとこ探せよなあ。あてずっぽうすぎる‥‥（^_^;）
でも仁先生、病院のこと調べてたけど、成り立ちが変わったんなら病院の名前も変わったろうに‥‥というか、あの時間軸では最初から「仁友堂病院」だってことかなあ？突っ込めよ仁先生と思うけど。病院名出てなかったっけ？今録画確認できないけどさ。背景の後ろの方にうっすら見えてた気はするんだけどー‥‥
まあドラマでは仁先生のいた痕跡は消えてて、これが歴史の修正力の力か！って感じだけど、咲さんだけは覚えてて手紙を書いてたと。坂本龍馬と一緒に撮った写真も仁先生は消えてるし、それだけが証拠かー。
でもちゃんと橘家は橘醫院になってて、野風さんの娘の安寿は咲さんに引き取られていた‥‥からこそ、あそこに野風さん似の橘未来さんがいたわけで、ちゃんと仁先生がいたから変わった歴史というものも今に続いていたと。
まあ原作とどっちがって話じゃないし仁先生のキャラ自体も違うからってのはあるけど、そんな原作とに違いやタイムスリップ考証のことを書いたのはそこに突っ込みたいわけじゃなく、そもそもこのドラマの方は、原作のように「南方仁が現代の医学に何を残したのか」ってことではなく、江戸の幕末期を生きた普通の市井の人々がどういうふうに時代を動かしてきて、その想いがどのように現代まで続いているのかということを描いていた物語だから、仁先生が現代に戻ってしまったあと、歴史の修正力によって南方仁がいたということすら修正されてしまったとしても、その成したことはちゃんと伝わって「今」の時代まで残っているっていう話でいいんだよな。前のシリーズから一貫してそこを描いてたもんな。
仁先生によって助かった恭太郎みたいな市井の人間や、龍馬さんみたいに歴史通りに死んでしまったけど、仁先生と出会ったことによってまさに今に伝わってる「坂本龍馬」として時代そのものを変えてしまった人間がいたり、そんな歴史の大人物でなくても歴史に名前のない人々の人生や運命を変えたことで、そのちょっとした変化がこの未来を作っているということであるわけだからなあ。「今」は過去からちゃんと繋がってるんだよな。
そういう意味で幕末からこの現代までのこの国の歴史に想いを馳せると、やっぱり未来はその時々の人々の想いや行動で作られているんだなと感慨深く思う‥‥という話であった。今回はEDだったけど、昔の町並みと今の街並みがダブるやつ、本当にいいよなあ‥‥！あれこそドラマ「JIN」の想いだよな。
咲さんの仁先生宛の手紙の揚げ出し豆腐のくだり、泣けた‥‥というか、揚げ出し豆腐かー。未来さんが手術で生きてれば作ってもらえばいいよ。うん。今度こそ自信を持って手術できるだろうし。
結局咲さんとは結ばれなかったけど、そもそも仁先生は現代人なんだから、あそこで咲さんと結ばれて子孫ができて…っていうのはそれこそ一番重大な歴史の改変、本来存在してない人間が子孫のこしちゃマズイだろうってことだよな。咲さんがそこに気づいてたのかどうか、あのプロポーズを断った辺りのことがちょっと思い出せないんだけど、だからこそ咲さんは頑なに仁先生を拒んで仁友堂が子どもの代わりだと自分に言い聞かせていたのかもね。子孫と先祖の関係も理解してたんだし。
まああんなにも鈍くてボンクラでSF的思考でない仁先生を責めるわけにはイカンけどな（^_^;）咲さんは聡明すぎるよなー。
それにしても、このドラマの制作陣はさー、原作がまだ終わってない時からドラマをやって、完結編シリーズはやるつもりなかったとかいってたけど、ちゃんとここまでは考えてたんじゃないかなあって気がしなくもないんだけど（^_^;）まあ辻褄合わせに2年かかりましたってんでもいいけどさｗ
そういや野風さんの万華鏡は、最後までこのドラマのSF設定をうまく表してるいい小道具だったなぁ�！
少なくともこの物語ってエピソードの内容の問題じゃなく、その積み重ねがあって、そこにどういう想いがあるのかってことが重要だから、映画やSPドラマじゃなく、ちゃんと連ドラでやりきったってのは素晴らしいよなあ。日本ドラマ界の良心だよな。常にこれくらい本気でドラマ作りして欲しいもんだよ。
完結編は頭の方はイマイチ微妙だったけど、終わりかけ最終章近くからちゃんと盛り上がってきて良かった。というか仁先生、6年も江戸の町にいたのにあんなだったのかー。それはどうかと思うよ？40歳もとうに過ぎたいい年したオトナなのに（苦笑）
どうでもいいけど、最近最終回近くなるとツダカンが出てくる確率高くね？ミスター最終回？
