そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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仮面ライダーオーズ#40「支配と誕生会と消えるアンク」

東映 http://www.toei.co.jp/tv/OOO/・テレ朝 http://www.tv-asahi.co.jp/ooo/
脚本:小林靖子 監督:石田秀範
『追い出してたよ。約束だから。刑事さん助けるって』


あーもう、石田監督の演出は好みすぎてたまらん!やっぱ平成ライダーで解釈も画面も一番好みです。というか一生巨匠についていってもいいくらいw
そんなわけで今週の後藤くんがやたらカッコ良くてウハウハです(笑)なんでいきなり意味もなく塀の上から援護射撃?塀に乗らなきゃいけない理由あったのか?でもいいの、カッコ良かったから(笑)「危なかったな!(キラーン)」「後藤さん!」「(無言で頷く)」とか、すごく出来る男っぽい!
というか、ふと気がついたらキミジー、演技上手くなったなあ。特に映司くんに「里中さんは?」と聞かれて、いうのもバカバカしいって感じで「支度が間に合わなかったそうだ!」って言うとことか、おっと思ったよ。それとも巨匠の演技指導のなせる技か?
後藤バースは伊達さんの大雑把な豪快さとは違うけど、むしろバースってヤミー専用なんだからオーズのサポートって職分に徹するのも、生まれ変わった新しい後藤くんのひとつの生きる道かもな。むしろ伊達さんバースの時よりも連携プレーが出来てるんだから、さすが何事にも分をわきまえて基本を大事にする後藤くん、カンペキ!
バイクから降りてくるとこもなんだか意味なくポーズが軽やかに決まってカッコよくて(巨匠GJ!)、ギャラの5%でお着替えなしで呼び出した里中ちゃんが、あっさり帰るのを呼び止めようとして「ええっ!?(困惑)」ってなるのもちょっと面白かった(笑)
それにしても里中ちゃんは鬼です。鬼というか徹底しててむしろ清々しい!(笑)予告でゴスロリ戦闘服じゃなくいつもの格好だったのはそういうわけだったのかー(笑)ああ後藤くんの苦労が忍ばれる。
そして5%だとこんなもんですよ、といってバースに補充用メダルを投げつけ(てか会長からはその分の給料もらってるだろうに!w)、終わった途端に勝手に帰り支度してタクシー呼び止める、なのにいいコンビだという里中ちゃんと後藤くんの今後が心配ですヨ!
 
そしてやっぱり巨匠を巨匠たらしめる、他の追随を許さないイミフ演出!(大変にホメてる)
えーとつまり、町内会長さんの奥さんの智子さんがヤミーの親で、支配欲を発揮するときにメダルが溜まっていく‥‥のはいいんだけど、その時に踊るのか?踊るというかムエタイだけど。智子さんが旦那の権造さんを支配したり、町内監視システムに喜びを見いだしているときに、突然エスニックな音楽が流れてその後ろに軍鶏ヤミーが現れムエタイを踊る‥‥って間抜けすぎる変すぎるシュールすぎる(笑)こういうことやらせると本当に巨匠の右に出る者はないなあ(笑)
いいけど前回いろんなモノを支配したかったお習字は「全部支配」って掛け軸一本に。潔すぎるw 究極の簡単さw
そして本筋である映司とアンクと比奈ちゃんと信吾の体の問題と関係性は、そんなトンチキな映像の中に現れた70年代青春映画のように幻想的な美しいシーンで語るとか、振り幅広すぎる。

河原のシーンの前の町内会長の家を見張ってる映司とアンクが、何も言わずその辺をブラブラして時間を過ごし、そして散歩のように河原へと向かう‥‥てとこから好きなんだけど、映像の間が仮面ライダーじゃないよね(笑)完全に監督の趣味でやってるんじゃないかと思うんだけど(笑)
映司とアンクのちょっと緊迫したやりとりに比奈ちゃんがお弁当持ってきて、さらに知世子さんの「うち、営業停止だってー」でなぜか河原で誕生日パーティ。しかしそれが物悲しいアコースティックギターでラテン風とか、何もかもがあまりに幻想的すぎて、夢のなかの出来事のようだし、なんだかジプシーの人たちみたい(笑)
そして一晩中あんな感じで、陽気だけどちょっと物悲しいパーティだったのか?誕生日パーティって触れ込みなのに?
でも朝焼けの中で佇む3人ってのもまた、なんだか物語のように切なくも美しくて、これ本当に仮面ライダー?(笑)
巨匠の演出は本当にスゴイよなあ‥‥すごく好きだな、このシーンは。今までのオーズの中で一番好きなシーンだよ。

その河原のパーティの前、映司とアンクのとこだけど、あの二人のやりとりがなんかものすごい引っかかるんだけど、考え始めたらいろいろ止まらなくなってしまったよ。(だから感想が遅れたのだ)
だってなんか、考えれば考えるほどどういう意味かわからなくなるんだもんな。そういう話はいらねって人はとばしてください。オレも何言いたいのかよくわかんないからw
 
オレは、映司くんはなんだかんだ言ってもアンクのことを信頼はしてるけど、アンクと人間とどっちが大事かといったら明らかに「人間」なんだと思うんだよね。だからどうもアンクのことも大事ではあるけど、未だにペットくらいにしか思ってないんじゃないかと思うんだけどさ。
信吾のことを気にするのは1話で言ってたとおり、ちょっとでも関わりが出来た人間とは袖すり合うも他生の縁で「みんな友達」だからなんだけど、実質、信吾より付き合いが長いアンクよりも、助けなきゃっていう気持ちは信吾の方にあるんだよな。というかそれは「比奈ちゃんと約束したから」ではあるんだけど。
そう考えるとアンクってやっぱりペットのオウム以上じゃない気がすんだよなー。もしくは映司にとってやるべきことが自分の手の届く範囲の中だというのなら、アンクは最初から自分の手の外にいる存在だって思ってるというか。
んで、河原のシーンの映司とアンクの会話が繋がってるようで繋がってないというか、映司の言ってることって全部微妙にはぐらかしてるようにも見えるというか、一度心の折れちゃった人が、それをさとられないように本心を隠してるってことなのかなあ。よくも悪くも本音は言ってないよねえ。
アンクが焦ってるのはそれなりわかってるんだけど、その上で映司がそれをどうにかしなきゃとは思ってないみたいというか、協力はするけど出来ること以上はやらないという前提でしか気にかけてないというか。
比奈ちゃんのために信吾の体を取り戻すことは自分のやるべきことだと思ってるけど、信吾の体から離れたアンクに関しては感知しないとでもいうような?相変わらず靖子たんの主人公は読めないよなあ(笑)
というかここのやり取り、なんかスゴイと思ったんだけどさ。
出会った最初の頃みたいだと懐かしんでる映司に嫌味をいうアンク、「状況」をいってる映司にお互いの「立場」をいうアンクなんだけど、

 「それが今じゃ、俺を追い出せる気でいるとは、偉くなったもんだな」
 「偉くっていうか‥‥、今の俺ならできるでしょ」
 「ちっ!バカが。そうやって力を過信して、800年前の王も暴走した」
 「そっか‥‥。まあ比奈ちゃんが嫌だって言ったらの話」
 「だから言ったら、の話だ。本気でできるつもりか?」
 「そう言わないで欲しいって思った。今はまだね」

アンクの窮状を知っていながら、それなのにいつでも追い出せるとプレッシャーをかけるようなこと言って、力を過信してるといわれても「そっか」で済ませちゃうって、それでいいんだ?ってちょっとびっくりしたよ。今持ってる力にあまりに無頓着じゃないか?しかも自覚的に。
しかも本気で追い出せると思ってるのかって聞かれてるのに「比奈ちゃんがそう言わなければいい」って、アンクの処遇に映司の意志はどこにもないんだよね。
なのに今追い出さない理由はアンクが偽物に狙われてる弱い立場、下手したらアンクがロストアンクに取り込まれて消えるかもしれないからで、アンクが「それがお前に何の関係がある」って言うのは強がりだけじゃなく、そこまでの会話で映司がアンクに対してまったく情がないこと言ってるから、そりゃアンクからしたら「映司は味方じゃない」から弱みを見せられないのは当然なんだけど、それに対しての答えが、「困る‥‥アンクだって困るでしょ」って、お前どんだけアンクを利用したいんだ?って風にも取れるんだよなあ。
こないだの毛利さん脚本の時にはお互いがお互いのことを必要としてるから今は協力するぜ、みたいな熱い何かがあったし、だから条件付きのバディものに見えた、少なくとも「味方じゃないけど今は仲間だから」っていうのはあったんだけど、今回の靖子たんの描くこの二人の一連の会話の中に、オレはそういうものをどうやっても見出すことは出来ないんですけど‥‥おそるべし靖子たん(^_^;)
だからオレが感じるのは、映司って、あくまでもアンクのことをペット的な位置にしか思ってなくて、もちろんペットなりに気にはかけてるんだけど、それは人間に対してのそれと同じではないっていう明確な線引きがあるような気がしてしょうがないんだよね。前から言ってるように映司はその点に関しては妙にドライだし。
もちろん知らない仲じゃないから利害関係だけで信頼を築いてるわけじゃないし、それなり思いやりはあるけど、それってあくまでも飼ってる動物に対しての愛情とか気にかけようって気がするんだよなあ。
だからアンクがどんなに強がっても映司にはまったく響かないんだよな。だって犬が足元で吠えてるみたいなもんじゃん。
その上で映司自身は、明確にアンクをどうしたいのかっていう決定権はないと思ってるんだよな。信用はしてるし一緒に戦う理由はあるけど、相手は人間じゃないから自分たちとは同じようには考えてないのかな。それこそ人間同士でも分かり合えないことはあるんだから、人間とグリードが本当に分かり合えるわけはないと、根っこのほうでは思ってるみたいな。
アンクの体は信吾のもので、それは比奈ちゃんがどうしたいかが優先だし、アンクを追いだしてもそもそもグリードだから、それでどうなるのかなんてそれこそ人に迷惑かけなきゃたぶん映司には関係ない話だしっていう。
映司って誰とでも仲良くなる割に、こないだの北村くんのことも覚えてなかったくらいだから、情は薄いのかもしれないなあとか思ったり。一見人当たりよくて仲良くなるけど、心の底は人間不信があるみたいなドライさだよね。

信吾の体を追い出されたらロストアンクに狙われやすくなるからアンクが困るのは当たり前だけど、映司が「困る」って言ったのは何が困るんだってこともあるんだけどさ、単純にメダルがなかったらオーズに変身できないから‥‥というだけでもないと思うんだけど、何が困るのかっていうことに、今回の劇中では答え出さなかったよなあ。
アンクの方は口で言ってるより確実に映司や比奈ちゃんに懐いてきてるし、比奈ちゃんの方も、信吾でなくアンクとして認識してるんだよな。
その比奈ちゃんの認識もちょっと変だと思うんだけど、

 「あの時私が思ったのは、お兄ちゃんなら戦いに協力したいんじゃないかなとか、意識のないお兄ちゃんをずっと見てるのがつらいって勝手なこととか、でもたぶん大きな理由はなくて、時間が積み重なっちゃったのかなって‥‥好きとか嫌いとかより前に、一緒にいる時間が‥‥」

そういうのを情が移るっていうんですよ比奈ちゃん(^_^;)としかいいようがないんだけど、実は比奈ちゃんの気持ちもよくわからなくて。
少なくとも今まで18年くらい一緒にいたお兄ちゃんよりも、アンクが入った状態の信吾のほうが普通になってるってことじゃないのかな。この二人仲の良い兄妹だったんだよね‥‥?早くもとの信吾に戻って欲しいって思わないのか不思議なんだよなあ。それこそ映司じゃないからアンクがいないとオーズに変身できなくて困るってことはないんだし‥‥
「時間が積み重なっちゃった」って、なんとなく3人でクスクシエでわいわいやってるのが楽しいから、情が移ったってことだよね。
まあ次回は元のアンク抜きの信吾に戻るから、比奈ちゃんがどう思ってるのかは次回でいいんだけど、比奈ちゃんがアンクに対してそう思う気持ちって何なんだろうというね。
だって他の人はアンクの誕生日だと思って祝ってるけど、比奈ちゃんはもっと実感的に信吾の誕生日だと知ってるわけで、その上で信吾の代わりにならないアンクに誕生日プレゼントをわざわざあげるって、どういうことなんだろうと。餌付け?(笑)少なくとも「恋」でないのは確かだと思うけど。(それは子供番組的に微妙にマズイしw)
この話って最終的には映司が人間不信と折れた心を癒して、昔のような人間性を取り戻す話だと思ってるんだけど、それと力の関連で、映司自身のベクトルとして力が欲しいというのはあっても、それがどういう力なのかっていうのは明確じゃないんだよな。誰かを助けるための力って今やってるような戦うための「パワー」だけじゃないだろうし、あの3人の関係を考えると「絆」だって力になるような気がするし。
それってつまり、グリードに足りないものはそういうことなんじゃないかなと。グリードが完璧になるために必要なものってのは。それが何かってのは実は語られてないよね。グリードがどうして完全に成れないのかは語られたけど、何が足りないのかは語られてない。ただそれが何かはわからず足りないことでの「欲望」が生まれてるだけだし。
えーと、映司を見てても足りないのは「欲望」じゃなく「心」だと思うけど、この流れで「心」って何かといったら気持ちや関係や時間の積み重ねだと思うんだよね。
電王の時だって靖子たんは「記憶の積み重ねが時間を作る」とか言ってたんだから、気持ちと時間の積み重ねが心を作るとか言いそうな気がしなくもないなあとか思ったり。
今の映司の中にあいた穴は、単なる過去のトラウマというよりそれによって無くした心であり、グリードに足りないものもコアメダルじゃなく心なんじゃないかなあ。よく考えたらコアメダルは10枚揃っててもダメだったんだよね、そもそも。
(胸の)穴といい、心とか感情って話になると、やっぱりなんかだんだん「寄生獣」っぽくなってきたなよ?(笑)こないだオーズとはまったく関係なく読み返したら、余計にそうとしか思えなくなってきたんだけど(笑)
そしてアンクはロストに隙をつかれて吸収されちゃったしー‥‥ますます、最強生物後藤に取り込まれたミギーだ(笑)
 
今回のこの話のオチは‥‥というか、エサが家の中にある以上外に出る必要のなかった軍鶏ヤミーをおびき出し、朝で鶏だからおはようとか、さすがに早起きだとかベタに鶏ギャグで攻めて、後藤くんの「すぐに寝てもらうがな」というユーモアある切り替えしあり。軍鶏ヤミーが倒されたらちゃんと「おやすみ」という礼儀正しい映司くん?
そして軍鶏ヤミーの断末魔の鳴き声でまさに智子さんは「目が覚めた」‥‥という上手い流れ。完璧!(笑)
権造さんは相変わらず奥さんに支配されてるようだけど、まさに家の中でやってる分にはOKってことかw

ただちょっとばかし分からんのは、演出的にはカットバック的に見せてるから流れとしてはあってるけど、結局監視カメラがエサだってのに映司たちが気がついた時には、もう後藤くんがカンドロイドでそれを壊してたってことだよね?それとも映司たちが連作したのか?後藤くんは夢見町町内会の事情なんか知らないはずだし、関係あると思ってないなら映司たちが言うはうはずもない=情報がないってことだと思うけど。それより軍鶏ヤミーとの戦いは9時5時ですか?里中ちゃんは何があってもそれ以外の時間には働いてくれそうにないよ?(苦笑)
そして比奈ちゃんはどう見てもアンクのことはむしろ信吾の生まれ変わりのように思ってる節があるんだけど、信吾まだ死んでないから!w プレゼントはアンクじゃなく信吾にあげようよw
アンクの方はなんとなく今までと違って映司たちに心を開いてきた‥‥?って感じで、後藤くんに続いて新しいアンクくんにハッピーバースデー!な感じ。
あと気になるのは、腕アンクは依然アンクのままだけど、ロストは腕アンクのことも「僕」なのな。
今じゃロストのほうが支配力が強いってことだろうけど(だから今回このネタなのか!)、果たしたそうかなって事になるのかどうか。絆がある方が心が強いなら、腕アンクのほうがロストよりも強いっていう理屈になると思うんだが。「器」にしても、800年前の王のように暴走したら意味ないわけで、そうならないためにはやっぱり何が必要って「心」じゃないのかなあ?何のために「力」を必要とするのか。欲望を満たすため、じゃない‥‥よなあ。
ともかく、石田監督最後のオーズ、お疲れ様でしたー!あとはネットムービーを楽しみにする!
 

予告。
信吾がダメダメダメな子っぽいのがすごく気になるんですけど‥‥(^_^;)
今回の比奈ちゃんの言動もあって、そういやマトモに信吾が描写されるのって初めてだよなあ。もうそろそろ終わりだよ?w