そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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妖怪人間ベム#3

http://www.ntv.co.jp/bem/
脚本:西田征史 演出:佐久間紀佳
 
今回はもういかにもな河野Pテイストでした(笑)途中で「Q10」見てるのかと思ったくらい。
チョイ役ゲストは細野よしひこだしなw てかQ10なら‥‥というより木皿泉が脚本だったらもっとつかみ所のない話になるような気はするけどさ。いやでもこれ、半端なくQ10っぽかったよ。(最後のバイク便が「Q10便」だったよ!)
つまり河野Pの本気は脚本家が誰でも同じ結果になるってことか?
そういやQ10もロボットだから死なないんだよな、寿命はあったけど。そういう意味でもこれは人間でないものが人間に受け入れられようと頑張ってる、そこに何か意味を見出そうとする物語か。世界の片隅で生きている人ならざる者たちの孤独と悲しみと存在の意味を問いかけるというか。
だったらやっぱりベム・ベラ・ベロは人間になっちゃいけないんだと思うな。人間じゃないからこそ人間の悲しみがわかるんだと思うし。
 
ベムたちの何もなさが和久井さんの何もなさと似てると思うのは、たぶん持ち物じゃないかなあ。
鞄ひとつに自分の生きてきた人生の全部が入ってる和久井さんと、定住してないから鞄ひとつに必要最低限のものだけ詰め込んでさすらって生きてるベムたち。特にベロの宝物って他人から見たらくだらないものばかりなんだろうけど、和久井さんの持ち物と同じく、他人にとって意味がなくても本人にとっては自分が生きてきた証の大事なものなんだよな。それを宝物だと思うか、どうでもいいものだと思うかで、自分の人生の価値って決まる‥‥ように思わないかな。
いやでも実際さ、和久井さんの何もなさ加減ってよくわかんないんだよな。まあガンで余命が限られてるって言われたから、そのせいでいろんなことが投げやりになったのかな‥‥とは思うんだけどさ。
途中、ひったくりにあったおばあさんが犯人のバイクの車種を覚えていたことで、「若い時に好きだった男がバイク乗りで、それでバイクが好きになって〜」って言ってたけど、あの年の女性でバイクが好きだってのは、それが相当楽しかったんだと思うんだよね。それが思い出というだけでなく今生きている彼女自身がとても幸せそうなことは、和久井さんとものすごく対照的だと思うし。彼女にとって、その思い出は宝物で生きてきた証だよね。それを大事なものだと思ってるから彼女はあんなにいきいきと楽しそうにしていられるんじゃないかって気がするし。
和久井さんだってたぶんネジ工場が上手くいってて、奥さんが生きてたときはそれなり楽しかったはずだろうと思うけど、今が何も無いからそれを忘れてるんじゃないかと思うんだけどさ。
でもそれをベロが大事にしてたネジで思い出して、自分が生きてきたことが無駄じゃなかったと気がついたこと、たぶんベロの「おじさんのネジが一番だ」というのも彼の大事なものを思い出したってことじゃないかなと。 *1
たとえ最後はボロボロになって壊れて無くなったり、死んでいなくなっても、室外機も人間も、その瞬間までそこに存在していたということは無駄じゃないんだし、決してひったくり犯が言うように年寄りだからといって踏みにじっていいわけじゃないんだよな。
だからベムたちが生きている意味だってあるはずだし、それは若い時に和久井さんの命を助けたことや、その和久井さんが残したものの意味を問うだけでなく、それがどんなに些細な、和久井さんのやり残したことリストの「雪男に会いたい」(妖怪だけど)の項目を一つ減らすというだけでも十分に意味があることじゃないかと思うのよ。
意味の大小でも、叶うか叶わないかでもなく、失敗しても行動することそのものに意味があるというのは、たとえ人間はいつか死ぬんだとしても、生きること自体に意味がないなんてことはないんであって、それは死ぬこともない自分たちの生きる意味を問い続けるベムたちにとっても救いなんだってことかな。
少なくともベムたちのせいで息子を思い出した夏目刑事の奥さん、その亡くなった息子さんにもたぶん生きてた意味はあったろうし、夕日を見てセンチメンタルになって涙してた日出子さんにもきっと何かあるはず(‥‥あるよなあ?w)だと思うし、ベムたちのせいで二重跳びをやったことがないと気づいて練習する緒方教授にも、それはきっと意味があるはずだと。
誰かがいたことで周りの人や残された人たちが動き、そこにいつか何か意味を見いだせるのなら、それは思い出というだけでなくちゃんと誰かがいたことの証、確かな生きる意味・生きていた意味なんだと思う。
和久井さんが死ぬまでに自分の生きた意味をちゃんと見つけられればいいなと思うよ。和久井さんが亡くなっても和久井さんの日誌は残ってるからそれは和久井さんがいた証だし、だからベムたちも決して和久井さんのことは忘れないだろうし、ベロも和久井さんのネジをいつまでも大事にし続けると思う。
それは「Q10」で、Q10がいなくなって平太の記憶からそのことが消えてしまってもQ10がいたことの意味は失われないような、そういうことだと思う‥‥から、やっぱりこれはすごく「Q10」な話だったと思うな(笑) *2
それにしてもベムって今まで出会った人たちのこと、メモってるの?なのになぜ同じ街に来ちゃうのか‥‥(それともたまたま和久井さんがあの街に越してきたのか?)
ベラは‥‥というより、杏はもうあのまんま生まれてきたんじゃないかってくらいメイクから何からハマりすぎ(笑)カッコイー!

*1:銀河鉄道999」のネジの話思い出したよ。鉄郎が最後機械の星でなるのもネジだし。ネジはとるに足らないものだけど、実はとても大切なものなんだよ!w

*2:「Q10」って価値観の転換の物語だったと思うけど、サブテーマはこれだと思う。