そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

妖怪人間ベム#9

http://www.ntv.co.jp/bem/
脚本:西田征史 演出:狩山俊輔
 
前回の話だけど、むしろ夏目さんは自分の悪意やネガティブな感情に自覚があるから、なるべく良い人であろうとしていた、それが人間だという理想を持って生きてたってことなのかなあ‥‥と思ってたんだけど、自覚してなかったんですかそうですか。
とりあえず刑事やめたほうがいいかもと思うくらいなら、一度休職して考えてみるのもいいかもね。というか、どうして刑事なんていう、少なくとも余程の正義感がなければ(普通はね)できないような、しかも危険なのもわかってる職業を選んだんですかね?
まあ大体の予想通りにベムたちが人間になるためには悪の心が必要だってことで、この際まあ肉体的なことは置いとくとしても、わりと単純で簡単ストレートな話だなあ。子供と一般大衆向けだからいいのかな?
一応何度でも突っ込んどくけど、「正義」と「善」は違うと思うから一緒くたに語られても困ると思う。正義がひとつの解釈でない、立場によって変わるものだというのは、2001年以降大人としてはもはや常識でもいいと思うし。まあ西洋的な「正義」という考え方でなく東洋的な「義」であるなら、近いといえばそうなのかなあ。なんとなく「正義」は社会的なルールや倫理観だけど、「善」って人間的な立場で言うところの「真理」に近い気がするんだけどな。

まあそれは置いといても、名前のない男は実は博士の死体で博士は研究途中で死んじゃってた。だから中身はベムたちと同じホムンクルスな細胞生物、しかもなぜか「悪」の塊だったと。どうしてそうなったのかはこの際いいや。たぶんそれぞれの特性があって、ベムの細胞が「善」なら名前のない男のそれは「悪」だったってだけなんだよな。付与する属性は1つだけで、だからこそ彼らは人間にはなれなかったと。
肝心なのはベムたちが正義の心を持っている限り人間にはなれない、なぜなら人間とは善と悪の心を持っているからだ‥‥といわれたことだけどさ。
でもさ、これも前から言ってるけど、その悪の心を抑えることができるのは人間の正義の心の部分なわけで、両方を持っていてなおかつ正義でいられるから「人間」じゃないかなあと思うから、このドラマのこの対立展開の描きようはなんだか微妙にはぐらかされてる感があって共感できないんだよねー。
それに前回ベムは言ってるじゃん。理想の人間である夏目さんが憎しみに任せて人を殺めるようなら、自分は妖怪のままでも構わないから代わりに自分がそれをやるって。それがベムの正義なんだよね。てことは、ベムはもうすでに悪と融合するくらいなら(つまり自分の正義に反することをするくらいなら)妖怪のままでいいって言ってるも同然なんだよな。ベムの倫理観として妖怪のままでいいというのは、行動としてたとえ何をしたとしても自分の正義を貫いた結果なんだし、ベムの正義って当たり前の人間の思う正義だから、彼が「正しいと思う内容」は間違ってはないんだよね。だってベムの心には「善」しかないんだからね。
夏目さんが罪を犯さなかったのはベムとの約束が良心回路のように働いたからで、ベムだって夏目さんという理想の人間が良心回路だと思うんだよ。良心回路っても別にキカイダーってわけでなく、ストッパー的な意味での一般的な歯止めってことね。
まあただ悪を取り込んでも正しい正義の人間でいられるっていう可能性はあるんだから、というかオレが思うにそれが人間というものだと思うから、このドラマの単純さは余計に話を複雑にしてるような気がしてしょうがないです。
だいたい夏目さんだって名前のない男に緑の液体を注入されたわけでもないのに憎しみで悪意を暴走させたけど、ちゃんと抑えたじゃん。そんなベムにとって「理想の人間」である夏目さんを見習えばいいんじゃないかな?
人間の悪の部分を開放して救ってやってるという名前のない男の言い分は一見尤もだけど、人間の本質が善だと信じたい側からすればそれは詭弁でしかないと思うし。どちらが正義かではなく、いいか悪いかで判断して絶対的に「人間は善であることを良しとする」ってことね。そこら辺にどうも頭が単純素直すぎるベムたちが突っ込まないのはともかく、ドラマ的なお話としては突っ込んで欲しいと思うなあ。
 
あとはベムたちの過去が明らかになったっつー話で、まあこれも大枠は予想通り、記憶を失ったのは生まれた時じゃなくて名前のない男と戦ったからだったと。そこら辺微妙にはぐらかしてたけど、はぐらかす理由あったのかなあ?ドラマとしてよくわかんないよその意図が。
それにしてもさらによくわからんのが、ちょっと親切にしたら仲間として迎え入れてくれたのに、怪物だとわかった途端に手のひら返しで追いだそうとする村人だよ。なんか理由があるの?かつて怪物にひどい目に合わされたって云うならともかく、ベムたちが何か悪いことしたわけじゃないよなあ。何かしたなら追い出されてもしょうがないけど、そもそもちょっとした親切をしただけでまだ村人と交流もろくすっぽしてないよね。理由もなく親切にした人たちから外見だけで迫害されたって話で、夏目さんのケースとも違うよね。そりゃ中身がわかってない相手の見た目が怪物なら、恐れるのは当然だと思うんだけど。
というかその前に差別された村人の話があったけど、たとえ妖怪人間でなくたってそういうふうに鍬持って追い出されるシチュエーションはあるような気がするよ。妖怪だからってことじゃないよね。特にあんな山間の村じゃ何があるかわかったもんじゃないし。(いいけどあれ、何時の時代のどんな山奥だよw)
まあその理不尽さそのもの、見た目が人間と同じじゃないというだけで迫害対象になるという理不尽さこそがこの「妖怪人間ベム」という作品なんだけど思うけど、だったらそこはなんとなーくでなくでなくちゃんと説明欲しいなあ。
実際夏目さんは先にベムたちの中身を知ったから見た目があれでも受け入れてるんだから、外見だけで差別する人間の心の狭さ描写は欲しい気がする。せっかくベロと交流した朝比奈さんとか、ベラといい感じになった大久保さんとかの話があったのになあ。正体知ったけど受け入れた余命半年の和久井さんの話なんかも、もうちょっとうまく使おうよ。ベムたちってまったくそこら辺振り返らないよな。(脚本もな)
そしていいけど後半15分くらいの名前のない男の語りがあまりにも長くて寝そうになりました(^_^;)狙いはわからんでもないけど、いっぺんにセリフで説明しすぎなのはちょっと。語ってるのが柄本明だからこそ(というかそういうの狙ってのキャスティングだろうなあ)集中して見られてたけどね。

今週の萌えベムたんは、小春のアルバムを見て盛り上がってる時に、生まれた時に体重が3980グラムあったっってとこで間髪入れずに「それは大きい方なんでしょうか?」って聞いたとこです。重いよ、つーか突っ込むところそこかよ(笑)それとベラの何気に鳥ダジャレ3連発w
あと部屋着レベルでくつろいでたとこにいきなり夏目さんがやってきたらちゃんと着替えてフル装備ってとこがなんかアイツら素直で律儀だなあと(笑)部屋の中だしいくら夏目さんの前でも角とか肌とか隠す必要ないだろうに(^_^;)そういうとこはカワイイです(笑)