そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

http://html5.warnerbros.com/jp/elic/
監督:スティーヴン・ダルドリー 脚本:エリック・ロス

 
ぶっちゃけ、泣いたよ。まあ最近よく泣くんだけど、これはなんかもう最後でただただ泣けた。
面白いしいい話だと思うんでオススメですよ。人によっては「癒された」と思うかもね。 *1
9.11で父親を亡くした少年がそれを乗り越える話‥‥と言ったら簡単すぎだけど、これをこの時期に公開するのはやっぱり3.11を意識してるんだろうかと思わざるを得ないんだよなあ。まあ、たまたまだろうけど。
当事者じゃないから簡単には言えないんだけど、失ったものの大きさで言えばもちろん津波被害のほうが果てしなく大きいんだろうけど(原発のことはとりあえずスルー)、納得いかなさでいえば自然災害よりもテロの方が納得いかない気はするんだよね。事件そのものがあまりにもありえないことだったと思うし、オスカーの父親の場合はツインタワーに勤めてたわけでもないから、どうしてそこにいたんだということも含めて。
自分はもちろんあの中継をTVでリアルタイムで見てたんだけど、本当に呆然としたし、あの中にまさに家族がいた人たちの気持ちを考えると、当事者でなくても留守電のくだりでのオスカーの受けた衝撃も多少なりとも感じられるんだよな。当時のことちょっと思い出したし。
でも何とかその事実を受け止めて、納得しようと努力する話だよな。オスカーも、オスカーの母親も。
 
ニューヨークの中での話だけど、普通とはちょっと違った子供であるオスカー少年の場合、「父親が残したヒント(だと思っていた)鍵を持って鍵穴を訪ね歩く」ということがそのまま映画のスタイルとしてはロードムービーに近くて、ロードムービーってのは大抵の場合、通過儀礼だったり死のあとの再生の儀式だったりするから、そのこと自体がまんま父親の死から立ち直る物語になってるわけで。
お話としては、結果的にオスカーは得るものはあったし失望もするけど、失望しても何もしないよりいいし、最終的には報われたんだよな。彼を取り巻く世界を知ることと、実際彼のしたことが影響して状況が良くなったってことでは。
正直オスカーのキャラの特殊さもあって、行く先々で出会う人たちのリアクションとか、喋れない間借り人との行動とか、全体にちょっと奇妙な話だと思ってたんだよね。奇妙というか、逆にいえば何かを探すロードムービーだというのはわかってても、オスカーの反応が普通の子と違うから予想がつかないってのがいい意味で面白かったし。
そういう場合って話がどう終わるのかが気になるんだけど、鍵の真実が明らかになって、留守番電話のくだりのストーリー的な巧みさ、何が彼をそうさせていたのか‥‥とか、何より最後の母親の行動を明かされてとうとう涙腺決壊。何が、というわけでもなく、これは泣くわー。
母親は大人だから夫の死を納得することはできるけど、それでもオスカーのためのこの行動が再生の儀式として救いにはなったんだろうし、オスカーもその死に向き合うことで父親からの本当のメッセージに辿り付けたってことだから、やっぱりどんなに辛くてもどうしようもなくても、現実というものを受け入れなければいけない‥‥ということなのかなあ。立ち直るための通過儀礼は必要だよな。
これを見て同じような目にあった人が癒されるとか元気をもらえるというものではないと思うけど、人はつらい現実と向き合うことで、ちゃんとこうやって立ち直るというか前を向いて歩いていくことが出来るっていうその大変さとか辛さを感じることは、多かれ少なかれ何か思うところはある気がするよ。
 
そしてどうでもいいけどどうでもよくないくらい、主人公のオスカー役のトーマス・ホーンくんは美少年すぎる。あんな漫画みたいな顔立ちで目が大きくて睫毛バサバサで手足が細長いって、現実に存在するのねーw どうかそのまま育って欲しいよホントに。まったくの素人っていうわりに上手すぎるしなあ。アメリカはどんだけ優秀な人間がいるんだと思うと、本当にオソロシイところよw
お父さんのトム・ハンクスもお母さんのサンドラ・ブロックもよく考えるとあんまり出てないんだけど印象としてすごく残ってて、とてもよかった。そして喋れない間借り人のおじいちゃん、マックス・フォン・シドーもちょっと剽軽でクールなところがよかった。
劇中的に、あの人たちってマンハッタンのいいとこに住んでるから結構いい暮らししてるんだよね、そういう雰囲気もあって良かったな。

*1:最近、つか3.11以降、そういうい耳障りのいい優しい言葉を考えなしに多用することにちょっと反発してるんですがw