http://www.fujitv.co.jp/O-PARTS/index.html
脚本：黒岩勉 演出：今井和久・植田尚
フジの毎年やってる4夜連続ドラマのやつ。
なんか原作があるのかと思ったけど完全オリジナルなのね。今年は思ったより面白かった！30分かと思ったら1話45分だから正味だと2時間の映画くらいはあるんでそれなり見応えあったし。
時間ものの、どちらかというと設定ひとネタもののSFで、突っ込みどころは微妙にあるけどこれならわりとよく出来てる方だと思うな。まあ設定ネタものといっても連ドラのボリュームだと結構突っ込みどころがありそうだし、これくらいでちょうどいいかな。4夜連続っていうのも見てる方の時間経過と、劇中的に彼らがそれを受け入れられるかどうかや、ミッションをこなしていく様とか考えると話の展開としてちょうどだと思うし。
基本、タイムパラドックスものって普通のSFに耐性のない一般の人はちゃんと理解出来ないと思うから（物語によって時間の取り扱いの設定が違うからね）、こうしたらこうなりますよーというガイドラインが引いてあるこのドラマの作りも分かりやすいし、そういう部分は案外しっかりしてたと思う。
なんとなく雰囲気的にというか、「仮面ライダー電王」を、仮面ライダーじゃなく普通のドラマできっちりやろうとしたらこういうものになるんじゃないかなあ‥‥って感じもあったような（笑） *1
あと原作付きかなあと思ったのは、劇中でのあの選ばれた5人に対する政府の扱いが有無を言わせなさすぎて、最近の近未来SF小説っつかバトロワとかリアル鬼ごっことか、あの辺の雰囲気もあったからかなあ。
どう考えても非人道的な扱いを理不尽に強いられてるのに、あの選ばれた5人が社会的には落伍者の類で、でもその中で自分にできることがあるならそのために命をかけてもいいと思えるまでになるその心情とかがちょっと悲しい感じだったり、悲壮感があったりするところがペシミスティックなSF的かなーと思ったり。
4話しかないから、何か裏があるんじゃないかなあというのもちょっと考えたんだけど、少なくとも牧村さん（吹越満）が信用できるかな？と思えたからギリギリのとこでもった感じ‥‥はある（^_^;）ああいうのって政府側の説明がどこまで本当か、信用できるのかっていうのが問題じゃん。牧村に指示を出してた補佐官が非情すぎてちょっと胡散臭かったから、ちょっと疑ってたしｗ 牧村がポジション的に5人寄りだってのがもっとはっきりしてるとかならね。
まあその中で柿沢（丸山隆平）と有紀（忽那汐里）の繋がりっていうとこもちょっと意外性があって面白かったし、有紀がテロに加担した理由とか、本物の宮前有紀と入れ替わってるとか、最後に寝返るくだりもちょうどいいくらいにハラハラして、エンタメ的には面白かった。
ネタバレしちゃうけど、「クローン」でいいのかどうかは別として、他の人が「子孫」なのに対して有紀だけは柿沢が年を取った時に作った「クローン」だから、やっぱり柿沢がここで死ぬと有紀もいない‥‥っていうのは、ちょっと考えオチになっちゃうんだよね。でもその設定自体は面白いなあ。（まあオレ最近の小説読んでないからこの手のネタがありがちかどうかもわからないんだけど）
だからその違いと、その二人に何か繋がりがあるってこととその伏線もちゃんとあったけど、もう少し話数があればよかったなあとは思うんで、ちょっともったいないな。話数があれば各人のエピも盛り込めるだろうし、キャラ設定はたぶん裏では結構ちゃんと詰めてる気はするし。
あのラストもほろ苦さというか、ああいう感じのは好きなんだけど、あのあと牧村さんが消されないことを祈ってるよ（笑）どうやって誤魔化したんだろ？
この話だとタイムパラドックスとかも気にはなるけど、まあそこは雰囲気でいいかなあｗ
要するに、未来で要人テロをやるのはいいけど、そのためにタイムパラドックスを利用して存在そのものを消滅させる＝この時代の人間を殺すことは許されないって話だし。そこのタイムパラドックスだけでなく、いない事でどれだけ未来が変わるか考えたら、どう考えても未来自体がただごとでは済まないよな。修正されたりするかもしれないけどｗ
あと一見超能力殺人かと思わせておいて、柿沢の元カノのしずかがいうように実現可能かどうかは別としてちゃんと科学的根拠があったとか、ちょっと捻ってきてるよね。でも未来人だから超能力よりもっとありえないけど（笑）
あの物質入れ替えで殺人とか攻撃するっていうのも、超能力（PKとか）でも出来ることを科学力でやってる（たぶん転移装置みたいな）ってのも発想として面白かったなあ。アイデアとしては目新しくはないけど、ドラマでこれをやるのはあんまないよね。というかそういうSFドラマがないもんなｗ（「HEROS」とかも見てたけどこの能力は出なかったし）そしてちゃんとそれをクライマックスの危機回避に使ってるのも上手いなと。
そういう意味では、わりと今の科学力から実現可能かもしれないレベルの未来人っていう設定が生かされてるし、それなりの説得力を生んでるからそんなに荒唐無稽ではなかったし、良質なSFに入るよね。
とにかくお話としては面白かったです。忽那汐里はこういう役ハマるからとてもよかったけど、丸山もいい仕事してるよな。役者の柄として「普通っぽい」って大切ｗ
フジも前の金曜深夜の枠みたいなのが復活すればいいのになー。
