そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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平清盛#22「勝利の代償」

http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/
脚本:藤本有紀 演出:柴田岳志
 
視聴率が一桁、9.2%だったらしいですが、そりゃ裏でサッカーの五輪予選やってんだから仕方ないだろ‥‥といくらなんでもさすがにそうは思う。そういうこと考えないで叩いてる人はアホなのか。ウチだってさすがに録画で見たよ。ウチのテレビに機械が入ってたら、そりゃNHKにしとくんだけど。
今回は一週で終わった保元の乱の事後処理回。まあ視聴率が高くないのもしかたがないかもしれないけど、大河擁護の人たちほどこの内容をまんせーする気にはなれん‥‥というのは、うちは大河ドラマに骨太なものを求めすぎてるんだろうか?そんなことないよな、こういう話ってつまんないよね?
それはともかく、こんな記事があったよ。

もっともだと思う。
今回の大河を支持してる人たちは、どちらかと言うと登場人物同士のやり取りや、細かく張られた伏線や、女性らしい機微の脚本をありがたがってるっぽいけど、そいう細やかな人物描写と、丁寧に説明された全体の流れ、どっちが面白いかといったら後者に決まってる。
というか、世間の支持者の反応と今回の見て気がついたけど、キャラ萌え大河なんだよな。これって。
ぶっちゃけウチはオレも相方もキャラ萌えで見てるワケじゃないかから、話の流れが面白い時は面白かったと思うけど、今回みたいに全体の流れの説明よりもキャラ萌え描写中心の描き方されると退屈でかなわんなーと思うんだよね。(相方なんか毎週リタイヤ寸前)
あんまりくどくど感想で説明してもしょうがないから簡単に言うと、前回の保元の乱の話も、今回の事後処理の話も、平氏一門、源氏、摂関藤原家のそれぞれを対比で描いてあるだけじゃん。
もともとの原因とこれからの展開もあるから、そこの違いを説明するのは大切だと思うけど、ぜんぶが同じシチュで各々どう反応が違ったかっていう描き方をされても‥‥と思わんでもない。
どちらかというと見たいのはそれがどう繋がるのか?という全体の歴史の流れであって、ここで登場人物がどう思ったか、じゃないんだよ。いやそれも必要だけどさ、でもそれってキャラ萌えの領域だよね。だからこのドラマ自体が「キャラ萌え」でしかないんだよ。
一番如実なのは、当然藤原頼長だけどさ。みんなそんなに頼長のことが好きなのか?ホモだから?(苦笑)
まあ今的にキャッチーなキャラではあるけど、このドラマでは最初はちゃんと真面目で仕事が出来る堅物として描いていて、途中権力を握り始めてから策略家な側面を見せるようになり、そのキャラ付けがイロモノキャラ、しかも当時でもちょっと逸脱した男色家で、最後は増長して道を誤ったわけじゃん。
オマケで例の事細かな私的な日記を掘り起こされ、実はもともとはキチンとした公正な、朝廷のために尽くそうとした律儀な公務員であり、人間的にも優れた人物だったんだよ‥‥とまで言われ惜しまれつつ悲劇の最期を遂げたわけだけど、それが清盛の物語にどんな影響があんの?というね。ちょっとあれっと思って冷静になったよ(笑)
あまりに頼長さま萌えな話だろよ。一番気の毒だった崇徳上皇すら霞むくらいの大サービスw
まあ頼長はそれだけのキャラだったんだろうし、為朝や忠正の処分は次回やるにしても、頼長にキャラ萌えしてない人から見たらあまり面白いとは感じないと思うんだけどなあ。可哀想だとは思うけど自業自得だし。
まだ源氏が為朝を、平氏が忠正を切ることになる(処罰でなく一門としての処遇の方の「切る」ね)ことの葛藤もろもろのほうが、今後のお話的に重要だと思うんだけど。

ぶっちゃけ、頼長様はいい面白キャラだったし、義朝はカッコイイけど、あまりにも脚本家のキャラ萌えが清盛よりもそっちのほうにあるってのがまるわかりなのはどうかなと思うよ。
もう一回いうけど、オレが今年の大河の発表があって大いに期待したのは、松山ケンイチが海賊王・平清盛をやる!ということであって、のんびりした貴族中心の世の中を武士の世に大転換させたアウトローの生き様が見たいと思ったからなわけで。
ただでさえよくわからない(あとイメージ先行の)平安時代の時代背景や人間関係が説明不足だってのは前から言ってたけど、そういう歴史の流れが一本太く中心にないように見えるんだよね。まさに忠盛が言うところの「芯がぶれない」ような縦に筋の通った骨太のドラマが見たかったわけで、横糸ばかり丁寧にやられても全然ワクワクしないんだよ。
一話目の平氏滅亡後からの導入や、頼朝目線のナレーションが入ってるっていうのがそもそも未来から過去をたどっていくという意味ではちゃんと歴史の流れのガイドラインはあるはずなのに、その縦糸が全然見えないんでやんの。それでなくてもこのドラマって、血筋や血統を重視してるわけで、それって人と人を縦に繋ぐものなわけじゃん。横にばっか広がってもなあと。
この時代の政治を描くのに愛憎劇は必要だとは思うけど、そこが重要なわけじゃないよね。しかも清盛自体は運命として翻弄はされても、そういう愛憎とは結構無縁のとこにいるっぽいし、むしろ平氏一門のアットホームダッド(笑)
毎回コメ欄でも言ってるけど、いちいち見終わったあとで個人的に公式サイトやwikiを確認して初めて面白みが分かるようなドラマは、本来ドラマの本道じゃないと思うのね。それでなくても世間ではイメージが悪い平清盛なら、そのイメージを払拭するような人物像が見たいと、ドラマを見ただけで印象に残るようなものとして見たいのよ。
そういう意味で、毎回脇キャラのキャラ萌えな話ばっかやられても、大河として面白いかと言われたら「微妙?」としか言いようが無いなあと思うわけですよ。
何が足りないかって、時代背景の説明や描写もだけど、脚本家に平清盛という人物を魅力的に描こうというヤル気と愛情が無いんじゃないかと思わざるを得ないことですよ。
あと現時点の説明不足って意味では、崇徳上皇がもし天皇になってもたぶんダメだったろうなーと思わせるだけの描写はあったものの、後白河天皇がいきなり本気出したのはどうしてかさっぱりわからないことですよ。あんなうつけだったのにw
しかも得子にこんな天下は続かねーって言われてたけど、そもそも後白河が慢心してるもなにも、もともと得子さんは璋子さん系統の後白河を支持してなかったんだから、単なる嫌味だろ。相変わらずやな女!
 
なんかダメ出し語りをしたらもういいやって気分になったけど、まあちょこっとだけ内容にも触れとく。
まあ一番メインは宇治の実家に尋ねて行ったけど入れてもらえなかった頼長様が舌を噛み切ってお亡くなりになったと。魂はオウムとともに父上のところに戻ってきて超泣ける! (´Д⊂ヽってとこか。いや父上の号泣は泣けたよ。ヤマコーもお疲れ様でした。たしかに最後はいい最後だった。
いいけどあのオウムって連れてきたの?それとも京都から宇治まで飛んできたからあんなにボロボロになったの?結構な距離だよねえ。
頼長が実家を頼ったのはともかく、入れてもらえないだろうと思ってたかどうかで哀れさが変わるよなあ。源氏も平氏も一族で敵方の身内を匿ってるわけだから忠実公が家に入れてくれないのは当然だとしても、それに何を思って死んだのかと思うと哀れ‥‥でも一応もう一回言っとくと、彼の自業自得。みんな家盛を死に追いやった恨みを忘れんな!
でも冷静になって考えると、悪左府・頼長様よりも信西のほうが悪者に見えるよ?信西と比べたら頼長様は純粋なだけだったんだよねって気すらするw あいつ得体が知れないよ!眼の奥に闇があるよw
それでいったらこのドラマ的には崇徳上皇のほうが本当の意味でお気の毒っつか、まさに「なんと、思うままにならぬ我が一生よ。生まれてよりこのかた、何一つ‥‥」と嘆く気持ちのほうがより分かる、そっちの方がどう考えても可哀想だよ。もっと気合い入れて描いてやれよ、藤本さん〜。
こないだも言ったけどいかにも不遇の貴族然とした井浦新がハマりすぎて、もう見るからにままならなかった一生涯不幸だった人という印象。オレの中に「モリのアサガオ」のイメージもあるせいかも。
それに対する後白河天皇は相変わらずわけわかんなくてエキセントリックでそれはそれでステキw 新人類的に何考えてるかわからない風情。
あと清盛と義朝さん。友切の名前をめぐって仲良くケンカ(笑)ほのぼのしたw
「貴様を友と言うたのではないぞ!?」「え、わ、わかっておる!」「いやいやいや、わかっておらぬ。図々しいやつじゃ」もうこの二人は天然ドSとツンデレすぎる‥‥(苦笑)というか、それって頼朝さん、清盛を切る気満々ってことじゃね?
友切をちょっと見てから義朝を見る松ケンの目線と表情がよかったし、友じゃないと言いながらなんでか「鬚切」でニヤニヤする、義朝さんが‥‥(^_^;)
義朝さんのツンデレは次回為義さんにも発揮されるのか。今回、忠正叔父を自分が探せと命じたと言った清盛と対比するように、由良姫の手回しを余計なことという義朝さんだったけど、両方共処罰は同じってことで、どういう葛藤になるのか。
どちらにしても崇徳上皇流罪なら、そっち方についた武士たちがそれより軽い刑になるとは思えんだろうしなあ。というか、清盛は若いうちにもっと信西と仲良くしとけばよかったのに‥‥
為義さん的には、義朝が殿上人になったというだけでもう本懐だろうからいいよな。義朝さんからしたらまだまだ野望の第一歩でしか無いんだろうけど。
そういや今日初めて気がついたけど、頼長のナレーションって、前から「様」付けだっけ?頼長様とか忠実様とか。いや、客観的じゃないなあと思って。