そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

平清盛#47「宿命の敗北」

http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/
脚本:藤本有紀 演出:中島由貴
 
オレたちの言いたいことは全部伊藤忠清藤本隆宏)が言ってくれましたよ。
まさに平清盛全仕事集的なまとめを、まとめサイト的にとてもわかりやすく(笑)
おまけに清盛もちょっとしたことで走馬灯のようにこれまでの人生の思い出が廻るもんだから、いろいろもういかにも死期が近づいてきてる感じ。というか平家がダメすぎる。マジもうダメなのか‥‥( ´Д`)
公式のあらすじ見たら「武士の心を取り戻した清盛」って書いてるけど取り戻してないよね?
確かに目つきや顔つきは爛々としてるけど、そもそも前回宗剣にすがって武士の心を取り戻したっていうなら、その宋剣がサビだらけで、しかも振り回せないってことくらいわかってて欲しいよ。前回からも普段からも一度も抜いてないだろ。誰も手入れしてないだろ。
だからもう抜いた瞬間、「あ、錆びてる!ダメだこりゃ」って思ったもん。そしてたら案の定振りかぶったとこでコケてるし。
てかあれ、年寄りで贅沢ばっかして足腰弱ってたからコケたんじゃないの?心の軸がブレてたから立てなかった〜って、そういうふうに描かれてるけどw
どちらにしても、清盛は武士の心を取り戻した気になってるだけにしか思えん。嗚呼、盛者必衰‥‥( ´Д`)
 
まあ今回の話はとてもわかりやすかったよね。
父・忠盛の悲願だった武士の世を作るために貴族の真似事をやってたらいつの間にか肝心の武芸は疎かになって、しかもそれすら気がついてないくらい清盛の心は武士ではなかった‥‥という。
7回前(時間的には6年ほど前)の第40回で、忠清さんは維盛たちのお稽古事のやる気の無さに「武力だけでは渡って行けぬ世になったものですな‥‥」と哀しげな顔をしてたことを考えると、もうそこから、というかとっくに平家は武士ではなかったんだよね。
いま第40回の公式のあらすじ見返したらあの頃はまだ沢山の人達が生きてて、ごっしーとの双六遊びも始まったばかりでなんか懐かしかったw そしてちょうど頼朝と政子の髭切の話もあって、まさにそこで頼朝さんは武士の魂に目覚めたっぽいから、それ考えても対照的だとしか言いようがないですな。
んでこれって、簡単にいえばもともと清盛の能力というか才能の特性が、武士と言うよりは政治家だったってことだよねえ。武士の家だから武功に優れているのは基本で、でも本人の特性は政治家向けだったという。
改めて言うまでもなく清盛がやろうとしたのは経済の観点からの国づくりで、そこに政治的手腕を発揮しまくった、ものすごく先進的で近代的な国を富ませるための真っ当な方法論だけど、それは武士の国ではないってことだよね。だって現に今の世の中は武士の世じゃないしなあ。
というか、ドラマ的にも劇中でもまだ突っ込んでないことに気づいたけど、清盛が言ってる「武士の世の中」って単に「貴族を廃して自分らの身分がトップに立つ」ってだけの意味合いで、ある程度システマチックになった国家を運営する人間はすべからく「武士」というもののメンタリティでなんかいられないってことだよな。ただそれだけのことかと。
だったらそういう国を作ってトップに立つ人間ってのは忠清さんの言ってるとおり、すなわち武士ではないって言ってるのと同じだよな。まあ近代化の過渡期といえばそうな気もする。社会学よくわかんないけど。
それを武士としての本分を見失ってる=心の軸がぶれてる と評するなら、このドラマではそうなんだろうと思うけど、それって根性論的な感じもしなくはないよ。だからそもそも清盛がいかにもな武士だ、という描き方ってされてないような気がするし。
 
それと対照的に武士であることを(ドラマ的に)望まれてる、このドラマ的に正義の側な頼朝軍は、まさに武士であることが正しいという価値観で挙兵してるんだよね。(でもトップに立ったらいずれ変わるという‥‥)
でもハッキリいって、頼朝の挙兵って清盛が武士であることをやめてまで(正確にはいつの間にか本質が変化してたってことだけど)作った今の世の中を、武士のままさっくりと頂こうっていう話だよね。このあとの戦いってそういうことじゃないかなあ。実際平家が民たちからいろいろ吸い上げて贅沢の限りを尽くしてるのは確かだし、それを擁護するつもりもないけれど。
本当になんで清盛は自分のなすべきことを見失っちゃったんだろうなあ。まさにお前は何者だという、初期の問に還っていくわけか。
まあそれがぶっちゃけライバルの義朝がいなくなって、同士だった信西もいなくなったから‥‥だといえばそうなんだろうけど。てかそういう話だという解釈だよね。友の子が挙兵して武士として挑んでくるといっても、手放しで喜べんわなあ。そうしむけたのは自分なんだけど(苦笑)そういう意味では、義朝が死んだあとの清盛はいろいろ屈折してるなあ。
やりたかったことは出来てるはずなのに、やりたいことを夢として語ってた自分はもういなかった‥‥ってことか。権力っていろいろものを見えなくさせるよね。その代償がこれなのか、それとも‥‥という他の何かがあるのかどうか。なんか今の清盛を見てると、本当にいろんな意味で激動の人生といものを感じさせるよ。いやそう思わせる松ケンがスゲエ〜って話なんですがw
あと2回なのかー‥‥って、2回で終わるの?東国では頼朝に義経が合流したばっかだし、戦はこれからじゃないのか?本当に終わるの?
そうそう義経も参戦したけど、結局どのタイミングで参戦しても、義経自身が兄のために戦うと思ってる以上いいように使われることに変わりはないんだよな。
今回は上総広常のエピでちょっと本気を見せた頼朝さんだったけど、本当この頼朝がなんでそんな無体を‥‥と思うと、やっぱり権力を握ることは変わることであり、なにもかにもが当てにならない諸行無常だよ‥‥( ´∋`)