そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ネオ・ウルトラQ #11〜12(終)

http://www.wowow.co.jp/drama/ultra/neoultraq/index.html
 

11話「アルゴス・デモクラシー」

監督:入江悠  脚本:いながききよたか
 
今回も見終わって「終」マークが出た途端、思わず「え…、え?ええ?‥‥えー?」っと言ってしまったよ‥‥ (;´Д`)
この手の作品を作る場合、描きたいテーマに対してそれが世間的には正しくても間違ってても作り手側の心情やメッセージ性がなきゃいけないと思ってるんだけど、これまでずっとそうだったように今回も何がいいたのかさっぱりわかりません。さっぱりです。
怪獣の生存権や生命を尊重しろといって被害者の会集会に乗り込んで人質をとったテロリストたちが、アルゴスという存在によって拉致され、無関係な人質+テロリストと総理大臣の命との天秤にかけられ、それを「デモクラシー(≒民主主義)」といい、どちらを助けるか国民の投票で決めることにする‥‥っていうこのプロット自体が何もかも間違ってるとしか思えないんですけど。オレの誤解じゃないよね?
そもそもそのどちらを助けるかという選別投票自体を民主主義とは言わないよね?アルゴスさんが意味を間違ってるってのはともかくとして、これ劇中って意味じゃなく作り手が素で勘違いしてるの?一応調べ直したけど、デモクラシーってのは政治体制のことで、民主主義は支配される側が支配する者を選ぶという、そういうやり方ってことだよね?全体投票って意味じゃないよね〜?
じゃあ何がやりたいんだよって話なんだけど。
 
南風原は「我々人類は試されたんだ」って言ってたけど、試すにしてもどっちも選べないでしょ。どっちを選んでも間違いでしょ。そもそもそういう投票に行ってしまった人たちはなんなの?どっちかなら殺してもいいと思ったってことだよね?実際投票はあったんだよね???一瞬ダークナイトか?と思ったけど、そんな高尚な選択の話でもなかった。全然違ってた。
というか、アルゴスがそういう実験をしたってことだけど、それは何をやりたかったの?彼らに得はないよね、たぶん。これによって人類が精神的に進化するかもしれないって話だと無理やり解釈しても、それについてそもそもこの劇中では何も描写してないし。
しかも正平が絵美子を助けたいっていうのも、ぶっちゃけお前の個人的な都合であって、絵美子一人助かればいいのかよ!ってことにしかならないし、逆に正平の無神経さにムカつくんですけど。一体何を試されたの、オレたち?
 
どうでもいいけど怪獣被害に苦しむ被害者の会(親子連れあり)に乗り込んでいって、いきなり怪獣の写真を見せて怪獣の生存権を訴え意見をするという絵美子はジャーナリストとしてどうかと思うよ。配慮なさすぎ。唐沢議員(室井滋)のいうことが正しい。
そしてそこに乗り込んできたテロリストの人たち(光石研他ほか)は、人質取って籠城してまで何がやりたかったの?アルゴスに操られたとかいうならともかく。
怪獣の生存権は認めて欲しいみたいだけど、自分たちの命を脅かした謎の存在アルゴスについてはどう思ってんのかな?怪獣じゃないから認めないっていうのかな?そこんとこちゃんと皮肉をきかして見せて欲しかったなあー。そういう話じゃないのかなあー。
これが本当に南風原のいうように「人類が試されてる」っていう話なら、むしろ普通は親怪獣派とアンチ怪獣派で世間がまっぷたつに割れる中、親怪獣派を人質にとったアンチ怪獣派のテロリスト”だけ”が怪獣にとらわれたのを助けるかどうか‥‥って話じゃないのかなあ?何者だよアルゴス
それなら一応主人公の絵美子たちは親怪獣派なんだし、視聴者目線(もちろん親怪獣派)としてはそれでバランス取れると思うんだが。何もかもが間違ってる。
 

12話「ホミニス・ディグニターティ」

監督:中井庸友  脚本:いながききよたか
 
‥‥?????‥‥困惑 (・A・`)
意味がわからないというより困惑。というか、意味は分かんなくはないよ。ただ何やってるのかまったく分からないんだけど。
古代生物のソーマってのは寄生主の老化を防いで限界寿命の144歳までほぼ老化無しで生きながらえさせる生物ってのはともかく、これって不死化を扱った話なの?選別された人間の自意識の問題って話なの?隔離されたことでの自由への渇望を描いた自立意識の話なの?南風原がIQが高い選別された人間側だったって話なの?これが本当に最終回なの?
劇中で老化を防ぐのがミトコンドリア云々って言ってたけど、そうだっけ?老化と不死のシステムプログラムを持ってるのはテロメアじゃなくね?というかテロメアのほうがわかりやすくね?ウロだったんでちょっとミトコンドリアと老化で調べたけど、つまりミトコンドリア内のQ10酵素(最近流行りの)の働きがなんちゃらで、ミトコンドリアのエネルギー効率が下がるとアポトーシス(細胞の自死)で細胞が減り、それが結果として老化につながる‥‥ってことね。了解。
そしてあまりにもソーマと人間の関係が説明不足だったんで補完すると(そもそも古代生物ソーマがどういう寄生生物なのかも説明なかった気がするけど)寄生主が死ぬと自分が困るから、自分が生きるために出来る限り宿主(の寿命)をサポートするって理屈だよね。共生的な意味で。でも剥がされたら死んじゃうんだっけ、ソーマって。
まあこの場合ソーマになんの得があるかというと何もないような気がするから、一方的な人間の搾取だと思うけど。ソーマこそ勝手に蘇らされてクローン作られて利用されてご苦労様だよ。
というか冒頭で、寿命は限界寿命まで伸ばされたけどソーマが発見されるまでは事故や病気からは逃れられなかった‥‥って言ってるんだから、それらも回避可能になったってことなのかな?するとあれか、ソーマってのはハリガネムシのように宿主を操って事故や病気すら回避することが出来る、病気はともかく事故も回避ってことは、ソーマには予知能力もあるってことになるよね?もしかしてそれが最後の橘さんのあの夢だか幻視だかのシークエンスなのか?謎が謎を呼びすぎて、すでに妄想力で補完だよ。
 
それでIQの高い天才少年少女たちにソーマを移植して、将来的に社会と国家の役に立つ人間を作ろうってことなんだよね。
これって子供じゃないといけない理由ってあった?だって普通に考えて、これから何者になるのかわからない人間に寄生させて教育するより、すでに実績のある天才科学者に寄生させたほうが絶対効率いいよね?しかも実際そこの人間だったっぽい南風原だって、猶予期間とか言ってホムニスの望む活動はしてないわけじゃん。自由じゃん。
というかそもそも橘さんのお友達みたいに、洗脳するなら最初からそうしとけばいいし。思春期のまだ人生の楽しいことを何も経験してない子どもたちを隔離して、一体なんの効果があるというのか。
何を描きたい話かまったくわからないけど、話の成り行きからいうと、選別されたことで隔離されて自由を奪われてるから外に出たいと願い、たまたまそういう考えを持ったから自分の置かれた状況と存在意義について疑問を抱く‥‥ってだけの話だよね。でも、あの学園?を卒業すれば南風原みたいに好きな事も出来るんだよね?彼女は何が哀しいの?マジでそれじゃあ洗脳しとけよって話だし。洗脳された人間が「天才」としてベストパフォーマンスを発揮できるかどうかはわかりませんが。
施設から逃げる時に公平が南風原擁護な発言したけど、あれって何に対してなの?南風原が選別エリートの実験台だってことに対して?絵美子はそれこそ記事にしろよ。もう30年以上研究してるらしいじゃん。そもそも人間をIQで選別して、謎の生物を寄生させて実験台にすることが許されてるのかどうかっていうのもあるし。
もうどこに突っ込んでいいのかわかんないんだけど、突っ込んだら負けなんだろうか。
南風原と施設を抜けだした橘さんが夢に見た自由を手に入れて、夜中にメリーゴーランドに乗るという夢が叶ってよかったってことだろか。
そして最後に同じことを繰り返した‥‥って、えー?どういう意味?夜中のメリーゴーランドは橘さんの夢だったの?というか予知夢なの?最後のシークエンスの南風原の背中にはソーマが寄生していたの?何が現実で何が幻想なの?
このネオ・ウルトラQという番組は何がやりたかったの?
いや、この最後の話でこの世界がこういう世界だった‥‥ってのはいいんだけど、なんか毎回話の時間軸自体は続きものだけど世界設定は毎回リセットというかパラレル的なというか、そういうドラマだってことにたいして疑問を抱かないで連続ものドラマだと認識できるオレのメンタリティを褒めてやりたいよ。そこは突っ込まねーよ、そういう話ならさ。ある意味それもありだし、もう少し上手くやればそれはそれで面白かったと思うし。ただやり方も、世界構築も、ストーリーも何もかも下手だった‥‥というだけの話。
本当に今回はWOWOWさんが円谷に騙されたとしか思えない企画だったと思う。
いやなんとなく成り行きでものすごいアンチ的な批評を続けてきたけど、それくらいにはこのドラマには興味あったから。ダメすぎるって意味でも。
得たものは、あえていえばだけど、この同一時間軸上?、同一登場人物でパラレルな世界観の1話完結な連続ドラマも成り立つかも‥‥という可能性があったことを知ったってくらいか。企画としてはウルトラQという枠でそういうのがきれば面白かったと思う。すごくちゃんと上手くやれてればね。