そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

家族ゲーム#10(終)

http://www.tbs.co.jp/tantei_tokage/
脚本:武藤将吾 演出:佐藤祐市
 
前回が結果発表で、今回は家庭教師記録。途中経過の答え合わせってことか。それを踏まえた上での総評が、「沼田家は最低の家族だった」と。
なんかもうすごい見事な展開でドラマをきれいに畳んだよ。すごかった、面白かった!
今までの吉本のやり方から考えて、そういう話からああいうオチになるのはある程度予想してたし、吉本荒野こと田子雄大が殺したと言ってたのが自分自身だったってのも予想できてた。それでも目が離せないくらい面白かった!
前回の感想で「慎一は吉本荒野になり得る人間で、茂之は真田くんの状況になってたかもしれない人間。だから最初から吉本の狙いは慎一だった」って言ったけどまさにそうだったよ。まあそれ予想通りというより当然の展開だよな。
しかし吉本は人間にはルーツがあるって言うけど、そうすっとすべては環境じゃないのかな。本物の吉本荒野のことも、そういう意味で「彼も被害者だ」って言ったんだろうし。
真田くんが死んで、贖罪のために自分を殺してその悪を体現するために吉本荒野になりきって、自分を犠牲にして生きている。だから吉本荒野として人を殺した、それが真田くんだってのは方便だとしても、どっちも本気だよな。
 
その吉本にメチャクチャに家族を破壊され、関心のなかったお互いがそこまでぶっちゃけたことでやっと沼田家は変わろうとして、一番素直そうな茂之が変わったことで他の家族も変わることが出来たと。
茂之は家族の前で変わってみせたよ。茂之に本当の友達たちが出来てよかったよかった(*´∀`*)
確かセラピーの一種でこういうのなかったっけ、本音をぶちまけることでわだかまりをなくして一体化するとかいうやつ。それとも新興宗教的なあれだっけ、あんまそっちの方詳しくないからわかんないけど。
まあ錯覚とかじゃなく、確かにあの大破壊は沼田家に効果があったんだよな。
持ってるものを何もかも手放して狭い家に引っ越して、みんなで顔を突き合わせないといけない状況で生活して、お互い目の届くところにいることで絆が生まれたと。吉本は絆がない家族は破壊のあとに再生なんかしないって言ってたけど、その絆を作ることが家族の再生じゃないかしら?というね。
まあそんなことも最初から吉本にはわかってたんだろうけどw

最後に慎一が今にも相手を殺しそうな顔で(神木くん鬼気迫りすぎw)吉本に対する感情を洗いざらいぶちまけて吉本を否定したかったのは、自分が正しいって意味の「あんたは間違ってる」じゃなく、尊敬という意味での「そんな生き方は間違ってる」だと思うんだよ。彼はそれを言えたことで心から「あんたのせいで家族の絆が生まれた‥‥ありがとうございました!」と思えたってことが救いになったんだよな。
慎一はだから最後に吉本に会わなきゃ再生出来なかったし、それがそもそも慎一に与えられた試練で、吉本=田子雄大の過去を知り、彼の考えとそのやり方を知ったうえでそれを認めないとプライド的には吉本を尊敬出来ないってことだよね。
劇団のチラシを置いて水上沙良の正体に導いて、結果として真田くんの命日にたどり着くのも、そこまでに半年近くかかるのも当然わざとというか計算済みだと思うんだけどw
ただ吉本は「田子雄大として久しぶりに思い切り笑った」って言うけど、どっちかというと田子雄大として笑った=嬉し泣きに見えるよ。まあ確実に吉本の家庭教師の成果として実った瞬間なのは間違いないだろうけど。
 
まあでもそこで終わらないのが良かった(笑)
吉本が「大事なのは想像力だ」ってよく言ってたけど、このオチ、水上沙良が慎一に話した吉本の話自体が本当かどうかわかったもんじゃないぞ?と考えられるだけの想像力があるってことが大事なんだよね。
もちろん視聴者はあれが本当のことだったとある程度わかる、慎一が知らない部分で確かに8年前の話がある程度真実だと思える確証はそれなりあるんだけど、劇中人物の慎一にはその真偽はわからないんだよね。だから慎一が吉本のやったことを疑ってかかるというプロセスも(視聴者的には)重要になってくるってことなんだけど。
そこをまるっと信じるような人間は単に騙されてるだけだし、そうかもしれない、でも違うかもしれない(そしてそのことは徹底的に疑って調べること)と考え続けることが、常に公正で正しい人間であろうとすることだって話だよな。
そう思うことに対しての吉本の「いいねえ〜」だと思うと、いろいろ奥が深いです(笑)
本当に最後の最後まで面白かった!
 
キャスティングも全部が上手くハマってたのもよかった。
茂之の浦上晟周くんは小心者だけどいざというときの爆発力はある感じだったし、板尾にしても保奈美にしてもこの役の心ない感じにすごくピッタリだった。神木くんの得体のしれない一筋縄ではいかない小暗い優等生がまたハマり過ぎだし、何の文句もないよ。
神木くんと櫻井はお互いの雰囲気でも、このドラマの中でも異質ではあるんだけど、その異質さも含めての違和感が良かったし。
そして何より櫻井が演じる吉本荒野の底知れなさと苦悩の表現と、吉本ならやりそうだという行動の嘘かホントかわからなさとか、そういうのをひっくるめた気持ち悪いくらいの胡散臭さは良かった。そういうとこを人当たりのいいアイドルのガワでちゃんと包めるところがとてもいいよ。いいよねえ〜w
櫻井って普通の役をやると普通なんだけどなあ。こういう胡散臭い役をやるときは一体何のオーラを出してんだろ(笑)やっぱり櫻井は見てて堪りませんよ。底知れねえw 黒櫻井を堪能しましたw