そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

SHORT PEACE

http://shortpeace-movie.com/
「オープニング」監督:森本晃司
「九十九」監督・脚本:森田修
火要鎮」監督・脚本:大友克洋
「GAMBO」監督:安藤裕章 脚本:石井克人
武器よさらば」監督・脚本:カトキハジメ 原作:大友克洋

 
さくっと見て来ました。出来はさすがによかった。海外輸出用ジャパニメーション万歳!w
全体に世にも奇妙な風の短編集っぽいね。そう考えると感動する話が足りないけど。
あと二番目と三番目の話のオチがなくてびっくりした。間にCMが挟まってればともかく、切り替えのアイキャッチとかないからマジで「えっ?」って思うレベルだよ。なんか間に挟んで欲しかったなあ。まあその原因は話にオチがないからだけどさ。
当然というかなんというか、話よりもアニメーション、アニメーターの皆さんが好きなものを好きなだけ動かしたいという欲求に忠実な作品群というか、これはこれで悪くないです。
むしろ本当にジャパニメーション的な意味でのデモに近いような印象。海外デモ用(いい意味で)なら、出来れば時間的な意味でももう1本毛色の違う話が欲しかったかなあ。それこそおおかみこどみみたいな現代の話を1本欲しかったかも。時代物が多いからちょっと物足りないしバランス悪いかも。
というかこれ、68分しかないのに料金普通なんだよね。てっきり特別興行料金で1200円くらいと思ってたよ!高いよ!しかもパンフ、盛りだくさんっぽいけど(まだ見てない)1500円だよ!高いよ!
いやまあその収益がちゃんとアニメ業界に還元されているならお布施だと思うからいいけどさ。いやそれはホントに。それくらいの価値はあるよ。
 
ざっくりとした感想言うと、「オープニング」は導入としてはちょっとわかりにくいような。キャラがコスプレっぽいことするのも誰に向けてるのかってのを考えるとネタとしては微妙かなあと思うが。
「九十九」だけが3DCGなのかな、ただちょっと背景と馴染んでないとこがあるのと、あとこれまんま「モノノ怪」だしw 話はちゃんとオチは付いてるからいいんだけど。(そこかよ)
火要鎮」これだ、オチがついてなくてビックリしたのはw アイデア自体は「八百屋お七」だけど、いくらアニメーションを見せるものとしても話しのその先くらい見せて欲しかった。オチつけてもあと数分くらいじゃん。画面自体はとにかくエフェクト関係全部手描きなのが‥‥(笑)こういう技術を残すって意味ではこの作品必要、マジ必要。
どういうことかというと、同じ事やるならCGのほうが絶対安いはずで、たぶんこういうのって普通のアニメ映画では予算や人的資源的に組み込めないと思うのね。この作品はこれを見せるためのものだからこれだけで成り立ってるけど、普通のアニメ映画に部分的にこれだけ手が込んだ手描きエフェクト入れるってこと自体がたぶん無理だよなあ。
「GAMBO」そういやOPで貞本さんの名前があったような‥‥と、幼女のキャラ見て思い出したw ネタとしては好きなネタだけど、少女の願いが白い熊(山の神の使い?)に通じて、墜落した異星の鬼を退治するという、これもまんま大魔神ガメラ的な話。見どころは赤鬼対熊のプロレス!ブレンバスターする白い熊!w
鬼が手鎖付けてたり、さらった女を孕ませてたり、いろいろ話を膨らませようと思えば膨らませられるネタなんで、ホントさわりだけなのがもったいない感じ。でも最後のオチはちゃんと言って欲しかったよ?これも「え、そこで終わりかよ」と思った。
武器よさらば」なんだかんだ言いつつ、結局最後のこれを映像化したかったんだよね‥‥という話。だったら全部大友原作ものでもいいんでないかなあとは思ったw
これこそもうこういうのだけやりたかったんだよね、という超クオリティの作画の嵐。スバラシイね!原作ははるか昔に読んでないはずはないと思うんだけど昔過ぎてまったく覚えてません。AKIRAはオタクの嗜みとして持っていたけど、そこまで大友好きなわけでもないし。
オチそのものは今となってはたいして捻ってもないし気が利いてるわけでもないけど、そこは問題じゃないか。ただ誰と誰が戦ってて何が起こってどういう世界なのかは知りたかったかな。もう少し時間があれば、彼らの会話からそれが推測できるような脚本ってのは当然出来るはずだろうけど。
それよりもとにかく上手いなーと思ったのは、作画はもとよりだけど、あの短時間の作品の頭数分くらいのやり取りで、そこで何が起こっていて誰がどう動いて、その指示が妥当なのかどうかまでちゃんと分かる戦闘シーンの演出が素晴らしすぎです。そんなに長くない作品なのに中盤辺りでは各々が何をしているのかがきっちり把握出来るような見せ方してるから、何が起こってるのかわからないままなんとなく話だけは分かった‥‥という状態でなく、ちゃんと楽しめますよ。演出上手すぎる。
絵コンテがカトキハジメさんと片山一良さんだったんで、たぶん演出的な意味での見せ方の上手さは片山さんの絵コンテのお陰じゃないかと思うんだけど、どうなんだろな。(そこまでは詳しくないけど片山さんが上手いのはわかってる)
 
とにかく作品としては楽しめました。
ただ世界的な流れでいうと、アニメ映画は3DCGの立体的で当たり障りない画面のものに移行していってるんで、これはもう大人でもマンガやアニメを見る日本特有の文化として残すというか保護しないとマズイんじゃないかって気はする。まあこういう作品があって、作画の素晴らしさが伝わればちゃんと残るだろうけど。結局アニメーターさんってこういうのが描きたい人たちなんだしねえw
こないだも「風立ちぬ」の感想でちょっと言ったけど、ジブリなんかはもう独特の手描きアニメになっててそういう文化として認知されてると思うけど、あれはかなり癖があるし特殊なものだと思うから、こういう普通の神作画・良演出のものも、ちゃんと技術として残って欲しいのよ。あ、おおかみこどもはCGだから。たぶんあれが一番他のアニメにも流用できるポピュラーなものなのかなあ。(背景が動くこと以外w)
 
1500円のパンフ。「火要鎮」冒頭の絵巻がついてる。裏はスチル集。いや、まあ、普通のパンフだけでいいと思うんだけどね…