そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

地獄でなぜ悪い

http://play-in-hell.com/
監督・脚本:園子温

 
園子温監督の作品はそもそもあんま興味ないので「みんな!エスパーだよ!」くらいしか見てないんだけど、面白いと思うかどうかはたぶん好みの問題‥‥って話だと思う。
途中まではすげー楽しいバカ映画だった!
でも途中からは好みが分かれるかなあ。オレはどっちかというとダメな方かも。劇場予告だけでどういう話かはわかるだろうからネタバレじゃないからいうけど、殴りこみまでは大変面白かったです。
ああいうのを面白いと思うかどうかってとこが好みの問題だけど、途中までが面白かっただけにオレはあの殴りこみシーンを見ながら大変しょっぱい気持ちになりました。最後のあれで多少は救われたけど、それ込みでもオレはやっぱり園子温監督の作品は、面白いし楽しめるんだけどあまり好みじゃないかなあ。
オススメかどうかといえば、本当に好みの問題なので合わない人はしょっぱい微妙な気持ちになるかもしれないけど、それでも長谷川博己のハチャメチャぶりと二階堂ふみのカッコよさ・美しさ、堤真一の顔芸バカっぷりは大変面白かったです。
あとオレ園子温監督のテイストが好きじゃないから余計に思ったんだけど、長谷川博己堤真一っていうのは園子温作品的にはものすごく異質で違和感あるキャスティングで面白いかなあと。
あと二階堂ふみはサイコーです!サイコー格好いい! (*゚∀゚)=3 ムッハー
もし実写でジョジョをやることがあったら第6部の主人公、空条徐倫は絶対二階堂ふみにやらせるべき。断言するよ!二階堂ふみ徐倫が見たいです!(笑)
とにかくいろいろ盛り込み過ぎでハイテンションなので、見終わったあとやたら疲れてたよ(笑)濃すぎるw
あと2週め公開なのに思った以上に人が入っててビックリした。バルトの400席のシアターがほぼ埋まってるもん。お年を召した方も結構ちらほらいたし、もしかしてあさイチのハセヒロトーク効果?
以下ネタバレで。
 
 
冒頭からし仁義無き戦いで深作監督リスペクト。
過去の話はフィルム風の荒い感じの画面でそれっぽいけど、そこに入ってくるファックボンバーズのKYっぷりがスゴい。おまけにそれ自体が全部、10年後の現在への伏線という濃さ。
そして長谷川博己演じる平田は現在でも大変ハイテンションの映画バカ(しかも口だけっぽい)で、彼らファックボンバーズのあの状況に関して何もツッコミが入らないところはスルー(苦笑)みんないい年してダメすぎる(^_^;)(どうでもいいけど30後半の役者を30前の役に持ってくるって‥‥w)
國村隼の武藤組長はもとよりその妻をやってる友近の妙な鬼気迫るリアルさと、その娘のミツコ(二階堂ふみ)たちの本気度高めのヤクザたちは、ヤクザなのに映画班を作るっていうの含めてシリアスなほどやってることが滑稽に見えてくるというギャグだなあと思う。
しかもそれに巻き込まれた公次(星野源)の唐突さもありだなと思うし、そのヤクザの話に平田たちファックボンバーズがどう絡んでくるのかというドキドキ感も含めて、殴り込みの抗争の本格化までは本当に笑った(笑)
ところがこれ、そこまでの段取りとか平田の映画バカすぎるKYっぽさ、それと反する公次の普通の日常性、ヤクザの人たちの非日常性の組み合わせはスゴい面白いんだけど、池上組への殴りこみ以降、たぶん日本映画の低予算でチープな部分も含めての園子温監督のオマージュなんだろうけど、途端に嘘くさくなるとこが正直ビミョー。
好きな人は好きだと思うけど、自主制作映画っぽいというかチープというか、最初からそのチープさを逆手に取るつもりにしても急にお遊び的なものに感じるとこが残念かな。途中まではほんと面白かったからよけいに。
これ、例えば話自体は似てないけどデビット・フィンチャーの「ゲーム」とかガイ・リッチーの「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」みたいに「ちゃんと」作ればちゃんとした映画になるだろうに、あえてこういうパロディまがいの演出をしたってとこがオレはとても残念というか、うーん、あんまりこういうチープさって見てて気分良くないんだよなあ。
こういうテイストの作風だってのは分かるんだけど、オレはこういうのって日本映画の悪いとこだと思う。
どこまでを嘘だと思わせるかってことに関して、平田はともかく堤真一の池上組長までは許せるけど、あの乱闘殴り込みシーンのチープさは何もかも嘘っぽくなりすぎて萎えるよ。トドメが警察の銃撃だし、完全にナシじゃん(^_^;)
あれ見てるとき、途中もしかしてこれって夢オチとか妄想オチなのかなあと心配したくらい。
普通に真っ当に考えると、最後にフィルムを回収して逃げていった平田はあの怪我で絶対生きてるとは思えないから、あの惨劇現場で死んでいく時の妄想‥‥というには単純すぎるんで、なんとか持ち帰ったフィルムを部屋で編集しながら何もかもが演出だったというそれを、あの映画館で公開してる夢を見ながら死んでいく‥‥というのが妥当な、普通の映画のクライマックスかなと思う。ありがちすぎてつまんないけど(笑)
ただそれをそういう妄想を見ながら本当に平田が無事だったかのように見せつつ、最後の最後に園子温監督の「カット!」の声を入れるというのは、逆にあの殴り込みシーンのチープさを救ったとは思う。メタのメタで更にメタだけど。ちょっと煙に巻かれた感じ(^_^;)
それを良しとするかどうか、まああのラストを怒る人もいないと思うけど、十分「なんじゃこりゃ?」な映画にはなっちゃう気はする。
お話としてはあれでも構わないんだけど、ただ作ってる方がそういう虚実ないまぜな入れ子構造としてストーリーを作ってるかというと、そういう感じでもないのがちょっと‥‥というか。園子温監督にそういうテイストを好む雰囲気が感じられないからってのもあるけど、そういう構造的なものを狙ってるとも思えないという。そこがオレは残念かなあ。いやあくまでも好みの問題だけど。
まあただあの嘘っぽさを成り立たせるためには堤真一のあのコメディな雰囲気が強力に必要だった‥‥とは思うから、そこまで無自覚でもないってことだと思うと、やっぱり日本映画ってこういう内輪的な自主制作映画ノリを抜け切れないかなあという感想になるというか。まあそういう部分が好みじゃないから余計にちょい辛めの感想になるんだけど。
 
あとキャストはみんなド嵌まりしててよかった。
長谷川博己弾けすぎだけど、彼はああいうテンションの役大丈夫な人だよなーと思ってたし、やっぱりああいうリズムとテンポの芝居が出来る人は見てて楽しいなあと思った。本当にナチュラルハイの人に見えるし(笑)切り替えの速さとかぶっ飛び方とか、本当に笑ったw
あと坂口拓とのアクションシーンが意外と多くて、身体能力も高そうだったんでいろいろ堪能したw もちろん坂口拓のアクションも体もすごかった。
上でも言ったけど國村隼のヤクザなんてもういうことないくらい迫力あるし、友近が本当に思った以上にハマりすぎてて、しかもなんかカッコイイんだw
あと星野源も、やっぱりあの公次の変さがにじみ出ててよかった。あのキャラは何気に一番最初の「携帯をなくした」ってのとコカインが効いてると思う。そういやパンフをチラ見したらあの最後のシーンは監督のアドリブで追加したって書いてあって、それはそれですごいと思った。
二階堂ふみはとにかくカッコよすぎる。何度でもいうよw 二階堂ふみってオレの中ではルックス的に宮崎あおいと被って覚えにくいんだけどやっと分かった、タイプはまったく違うし、二階堂ふみはアクション出来るし決めポーズが美しいのがいいね。
彼女のキャラも微妙に素と似てる気がするんだけど。狂気っぽく見えるけどやってることを自覚してるとこは普通っぽい、ただ元々の基準がぶっ飛んでるだけみたいな?
まあとにかくいろいろ全体の3分の2までは面白かった。劇場でもかなりみんな笑ってたし。でももうちょっと脚本はひねっててもいいんじゃないかとは思う。ストレートすぎるんだよね。