そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

トランセンデンス

http://transcendence.jp/
監督 :ウォーリー・フィスター 脚本:ジャック・パグレン

 
製作総指揮がクリストファー・ノーランってことで見に行ったけど、お話としては可もなく不可もなく。
面白くなくはないけどせっかくの人工知能による人類の脅威というテーマが、叙情的な夫婦愛でまとめられちゃっててとても残念。ぶっちゃけ日本でいうと渡辺雄介脚本みたいな感じ。
ただまあ一般向けには夫婦愛押しのこんな感じでもいいとは思うけど、それでももう少し細かいディテールには突っ込もうよっていうか、そこを期待して見に行ったら物足りないよ。
以下ネタばれ。(それも微妙)
 
 
人工知能を研究開発してる天才科学者のウィル・キャスター(ジョニー・デップ)、エヴリン・キャスター(レベッカ・ホール)夫妻がいて、反人工知能組織のテロで死にかけたウィルを助けようと脳内データを吸い上げたエヴリンだけど、蘇ったウィルは昔の彼じゃなかった…というペットセメタリー的なホラー。
ペッセメ的に言えばその土地は腐ってる、というか禁断の研究に足を踏み込んだんだけど、結局彼がやりたかったのは奥さんの理想の実現だったって、何じゃそらって思うよ。まだ「インビジブル」みたいに禁断の力を手に入れた科学者が道を踏み外したみたいな方が納得できる気もするし。
というかこの映画、ある意味すごくホラー。死体や殺人鬼が出てくるようなわかりやすいホラーじゃないけど、やってることを考えたら背筋が薄ら寒くなるようなホラー。まあ最後はああするとは思ったけどね、当然。(一応ネタばれ配慮)
そんで最終的にはそのすべてを見届けた親友の科学者マックス(ポール・ベタニー)が、仲間の科学者ジョセフ(モーガン・フリーマン)とFBIのブキャナン捜査官(キリアン・マーフィー)たちとともにテロ組織と協力してウィルを止めるってのが、流れとしては理解できるけど理屈としてはちょっと「???」な感じ。
面白そうなネタは随所にある割にそれを深くは突っ込まないで表面だけで流してるのがねぇ。
あとさ、ウィルがテロ組織について「人工知能の脅威を言いながら人を殺すことが理解できない」って言ってたから、てっきり彼の目的考えてもテーマ的にも目的のためなら手段は選ばないみたいな、そういう話になるのかと思ってたけどそこもあっさり流したし。というか絡めてないし。上手く絡んでないし(;´Д`)彼らを「良い人」でまとめすぎてるし。劇中で起こってることとその影響もスルーなのがちょっと物足りない。

最後だって、あの夫婦はそれでいいかもしれないけどあれたぶん世界中でめっちゃ人死んでると思うよ。それはもちろん仕掛けるジョセフたちも予測出来てたはずなのに、何も考えないでその手段使ったのがなあ。ストーリーが駆け足だからってのもあるけど、余計なとこに時間とってるからだよ…
そういや懐かしの「Y2K問題」とか言ってたけど、そんなもんじゃないだろよ、その影響って。
映画後しては冒頭からしてマックスがキャスター夫婦の思い出を語るっていう体になってるけど、それがもうすでに話の結末のネタばれだし、実際何があったのか知ったあとで見るその現在の状況が、それだけじゃ済まないだろうっていうの含めて冒頭に描いた以上の更なる追加情報も描かれてなかったのはなんともあっさりした終わり方。
そこはやはり冒頭でさわりをやったら最後はその続き、彼の残した良かったこと、マイナス面の影響で世界がどうなったのかは見せて欲しかったよ?でないと結局何が言いたかったんだこの映画ってことにしか……(ああこのダメ出しの感じも渡辺脚本っぽい)
そういやその構成「インセプション」みたいね。インセプションみたいなオチが欲しかったよ。
ただまあそこまで求めてない人には、見終わって夫婦愛の話だとわかればいいかなってくらいか。(ただそこももう少しわかりやすくダメ押しして欲しかったけど)
 
あ、ジョニデさんはいいジョニデだったよ。カッコ良かったし。あと奥さんが美人なのでとてもいいw
それとノーラン組常連のキリアン・マーフィーが結構活躍ってのと、脇役俳優の顔を覚えられないオレがポール・ベタニーをちゃんと認識してたことがw(「ロック・ユー!」の変な詩人の印象が強かった。そういやあの映画はヒース・レジャー主演だしw)
ポール・ベタニーのマックスは良いキャラだったんだけど、終盤ジョセフに手紙を出して呼び出した時「下手な字だな」って言われて「大学のとき以来だから」って答えたのが自分的にもあるある過ぎたw 日常的にパソコン使ってると手書き文字って書かないよな…w
まあそこのシーンあたりもなんで手紙なのかは当然わかるけど、全ネット情報を掌握されてる割に監視カメラとかチェックされてないのかなーとかね。まあAIっても人間の意識が処理できる情報は限られてるのかなと補完はしたけど。(最後エヴリンの治療と攻撃が同時にできないっていうのとかもそれかなーと)
 
画面や映像もわりとホラーっぽく、映像としては取り立てて斬新なことはやってないけどトーンが統一されてて見応えはあったかな。
隣のカップルの男もすげー怖かったって言ってたし。(彼女の方はよくわかってなかったみたいだが)
冒頭に人工知能の脅威をレクチャーする1分くらいのミニ映像が付いてたけど、全体に多少の科学的知識は必要。
「夫婦愛」だけで見るならどうでもいいかもしれんけど。
 
これも張っとく一応。