そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

チャッピー(IMAX)

http://www.chappie-movie.jp
監督:ニール・ブロムカンプ 脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル

あえてIMAXで見たんだけどIMAXでなくてもよかったかな?スクリーンは大きいほうがいいと思うけど。
 
何かすごいことやってるけど、基本的には「第9地区」と同じかな?舞台もヨハネスブルグだし、ストーリーの流れも構成も似たような感じで、第9〜が人が人ならざるものになっていく過程の話ならこっちはロボットが人になっていく話。
ただ後で言うけど、この監督は本当に人が人の形を保ってなくても「それは人間なのか?」という問いかけをしていきたい人なのかなw
ざっくりといえば第9〜よりもより漫画っぽいというか、見ててどうにも士郎正宗の「アップルシード」だなあ、チャッピーはどう見てもブリアレオスじゃんよと思ってたんだけど、どうも本当にそうみたいでしたw(ブリアレオスはサイボーグですが)
これたぶん日本の漫画SFだよ。あの監督の描くヨハネスブルグはいつもなんとなくアップルシードな世界観な気がするし。(というかアップルシードがもう10年発表が遅ければオリュンポスは南アになってたんじゃないかしら?w)

 
そういやこれってどこカットしたんだっけ?グロ表現?特に問題ないように思ったけど。
話自体は社会問題的に大事なことをいろいろぶっ込んでるけどご都合なとこもあって、まとまりきらず成り行き展開多かった気がする。クライマックス以降のグダグダは第9地区と似たような感じかなあ。最後の方は相変わらずの物量作戦、スゴい力技とスピード感とアクションで押し切るっていう。ちょっと泣きそうになったけど (/ _ ; )
でも余韻は第9地区のほうが哀れさを誘ってよいかなあw
 
以下、すごいネタバレはしないけどネタバレもあまり気にしない感想。というか第9〜と同じでそんなにネタバレどうこうという話ではないです。
あと「第9〜」や「エリジウム」と同じく、社会問題なテーマとかいろいろ考えるところはあるんだけど、感想はそこまでも突っ込んではないです。たぶん。
 
話が初っ端からものすごい勢いで進んで、大した説明もなく廃棄ロボットにAI積んでチャッピー誕生ってことになるんだけど、生まれたてのチャッピーがまたえらいカワイくて、その時点でもうそんなご都合なことはどうでも良くなるっていうかw
チャッピーはカワイイ。チャッピーの声とモーション・キャプチャーは第9〜でエビになったシャールト・コプリー。本当に動きカワイイ ( *´∀ `* )
追い詰められたギャングの一味がチャッピーを育てて強盗に使おうとしてるうちに、情が移って何だかいい人になっていくのも若干ご都合かなあと思ったんだけど、どうやら南アで人気のヒップホップグループがそのまんま実名使って役として出てるってのをあとで知って納得。そりゃいい人になるよなあ(笑)
オレも途中からあれっと思ったけど、でも最後は泣けた。アメリカはわりといいやつだったけど、キレ気味のニンジャですら最後あああ…と思った(;´Д`)あとヨーランディ。子供の育て方って大事。チャッピーは不良だけどええ子や…ヽ(;▽;)ノ
チャッピーを作った天才エンジニアのディオン(デーヴ・パテール)は「スラムドック・ミリオネア」のあの子だとやっぱりあとで知ったよ。あの子供がこんな大きくなったのかー。
そしてヒュー・ジャックマンはあんなキチガイの役で良かったんだろか?(^_^;)
ヴィンセント·ムーア(ヒュー・ジャックマン)のムーアはどう見ても過剰出し警察というより軍に売ればよかったんじゃないかなー?どうみても戦争の道具よ?
というかそれでうと、ディオンが警察のロボットにAI搭載しようっていうのもオレは反対。会社の上司(シガニー・ウィーバー)は正しいよ。あんな危険なことをやらせてるのにAI搭載してどう死んだっていう。それって人間と同じ感情を持つってことだし。当然恐怖を感じたり、ためらうこともあるんじゃないかなあと。
特に描写はされなかったけど、ディオンがチャッピーの成長を見て考えを改めればいいなあと思ってたんだけど、ストーリー自体はそういう話じゃなくトンデモ明後日な方向へ飛んでいって、ちょっとビックリ。というかそれがまさに漫画だというか(^_^;)
ディオンは馴染み過ぎだと思うし、最後のあの展開、なんかものすごく変だったわー(苦笑)いや安心はしたけど。それでもいいんだ、いいならいいやってことだけど。いやなんかいろいろヒドい。とにかくいろんなことが大雑把すぎてヒドい(^_^;)
あとそうだ、PS4スゴい!(笑)さすがPS4、意識まで移せるよ!スゴい!
実は途中、冒頭のシーンのことがあったんでもしかしてネットに上げるのかな?とも思ったんだよね。でもそれじゃ「トランセンデンス」だしと。ただトラン〜はある意味ハードSFがやりそうなAIの未来で(ある意味つまらん)それとはまったく別の、本来AIロボットが生まれたらどうなるのかという意味で、とても漫画チックだけどこっちのほうが世界のありようとしては面白いし、問題提起としても面白いかなあ。
劇中でチャッピーがヨーランディに教えてもらったこと、見た目は重要じゃなく心が大事、特別なことはいいことだ(意訳)というのはAIだけじゃなく人と違うということはどういうことなのか、そういう人に対してどうするべきか、ということでもあると思うのですよ。
そして人を形作るのは意識やそこから生まれる感情で、AIというのは本来そういうものを指すんだよねってことかなと。個人を形作る大切なことは記憶じゃなく意識だと。そしてAIの意識が人に近づくにつれて、外見的な特徴(生物であるとかメカであるとか)は重要でなくなるということから、人とは何か?を問題提起してる話だったなと。
チャッピーは赤ん坊状態からあっという間に学習して立派なギャングスタの若い子になっていくんだけど、そのギャングっぷりがなかなかリアルでよかった(笑)
それとチャッピーが廃棄ロボットを使ったせいで最初から寿命が5日ほどだってわかってて、だんだん死ぬということをすごく恐れて恐慌状態になっていくというのがとても人間っぽいというか、若い人間の意識だなあと。それもたぶん重要なんだよな。
創造主(=ディオン)から暴力はいけないと教えられたんだけど、暴力はいけないと言いながらヴィンセントを半殺しにするのはある意味すごくリアリティあるし、それで最後に「あなたは悪い人間だけど、でも赦す」っていうのもすごく論理的でないというか感情的でとても人間っぽいなあと思った。人間ってもちゃんとした人間でなく何が正しい正義か、何が社会の常識なのかを取り違えたまま素直に育ってしまったギャングスタの若い子って感じのリエリティがあった。そういうキャラを描写できるってブロムカンプ監督はまだ若いのになんかスゴいなあ。いやスゴいってもたぶん日本の才能ある漫画家なら描けるレベルだとは思うけど。

そういやよくわかんなかったのは冒頭のシーンの18ヵ月前にこの事件があって、結局いま現在どうなってるんだってこと。
エンドロールのあとになんかあるのかなーと思ったんだけど、見落としてないよね?想像つかなくはないけど漠然としすぎ?というか本当にチャッピー後の世界はどうなるのか。もちろんディオンもいるしw
 
あ、これは新宿ピカデリーにあったチャッピーの立看と胸像。見たのはTOHO新宿のIMAXのほうね。