そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

イニシエーション・ラブ

 
どうしようかな〜とは思ったけど、この小説の内容自体は自分にとってそこまで面白いものではなかったので、あくまでも映画との比較という形での感想を書きます。
小説のネタバレはしてない…と思う。

 
まあ映画も見てるし叙述トリックだというのもわかってるんだけど、それでもこの内容自体、80年代懐かしネタとこのトリックの見事さに集約してるので、内容じゃなくこのトリックの見事さに感服です。
だってオレオタクだったし、冷静に見てあのバブル時代の恋愛とかホントクソくだらねえと思ってたし、あの頃のワンレンボディコントサカ頭ディスコディスコで浮かれまくりな(ジュリアナお立ち台とかアッシーメッシーミツグくんとかはそのもうちょいあと)もしくはDCブランド全盛時代でマヌカン風な黒ずくめな女たちが気取ってクリスマスは1年前から赤プリ予約的なバブリーな浮かれた恋愛とか馬鹿じゃねーのと思って見てたし。いやまあそういう時代に一生懸命に恋愛する青年たちの恋愛話ではあるんだけど、そこに全然感情移入出来ねーっていう話。
主人公たちは作者のドンピシャ世代で、オレはその3つ下でもう東京で働いてたからその空気はわかるけど、それなり楽しくはやってたけどああいうのはまったくないな。合コンとかなw
あ、スンマセン、クソミソに言い過ぎましたw 当時楽しんでた人ゴメンナサイ。でも30年間ずっとそう思って生きてるので。今も昔もトサカにボディコンやソバージュ頭はダサいと思ってましたw
まあネタとしてはとても面白いけど、もし何の前情報もなくこの本を読んだとしたら途中で投げてたと思う。別に文章も上手かないし。
あとこの小説はネタバレ解説込みだよね。
本編では明確に「1987年」とはいってないってのは、映画を見てたので細かい描写はあるわりにあれ〜?っと思っていたので。(映画ではA面が「年月日」表示だったのにB面で「月日」だけになってたところであれっとは思ったんで)
あと映画を先に見てるからってのはあるけど、小説は「たっくん」の見てくれに関しては特に描写はないよね。(性格は明らかに違うし、あとタバコを吸うか吸わないかってのも)
だから映像化不可能だと言われてたんだろうけど、それ故作者は出来るというアイデアがあったんだとw
基本的にはこういう話だと知ってなければこんなベタでありがちな恋愛ストーリーを読むことはとても苦痛。映画もそうだったけど、キャスト含めてあとで何かあると思ってなければとても退屈な内容でした(自分にとっては)
それとこれ、セックス描写長すぎだしいらないと思うわー(^_^;)何だろ、単に作者がエロいものを書きたかったのかなあ?(苦笑)あれだけページを割くのはバランス悪いよね。
なのでとにかく書かれてる内容ではなく、この叙述トリックの小説そのものが面白かったし画期的!とまで思ったです。よく思いついたなあ(笑)
そして作者自身がこの叙述トリック映像化の必殺技として「デブを使う」という提案をしたことは素晴らしいアイデアだと思います(笑)オレはほとんどミステリー小説は読まないんだけど、こういうアイデアって他のものでもあるのかなあ?これはスゴいよね。
そのトリックに自信があるからこそ、この作者はトリックについてとても自覚的に情報の管理をしているし、確かに言われてみれば「国鉄」と「JR」とかなるほどなーと思った。覚えてなかったけどw
ただまあ「男女七人〜」もオレそんなに見てなかったし、他の風俗的な意味での歌手のアルバムとかも引っかかってないので、トリックを見破るためのヒントとしては自分的には弱かったなと思う。
あとそれって、さすがに国鉄JRネタくらいの公共的なものはともかく主観の好みである当時の風俗に興味ない人は引っかからないし、ネタバレ解説読んでも今のアラフィフ年代より若い人にとっては何がヒントなんだろうとしか思わないんじゃね?ということは冷静に突っ込んどく。本当はそれじゃ全然ミスリードにも引っ掛けにもならないと思うので。
小説自体のネタバレはしないでおくから他にいうことはあんまないんだけど、そういう意味ではこの原作はどんでん返しというにはちょっと弱いとは思うのよね。単純に「え?」と思って考えオチになって、だから読み返してしまうんだけど、それは小説形態の限界だから仕方ないのかな。
だからオレは、あの映画はこの原作を150%活かした、とてもよく出来てる素晴らしい出来だと思いました。堤監督作品としてもとても良い出来。撮っててすごく楽しかったろうなと思うw
たしかに原作派からしたら映画のあの最後のホテル前でのアレはいらないと思うんだろうけど、映画としては絶対必要。あそこはオレも後で「あれ?SideAの時、繭子はどうしたっけ…?」と思ったし。たしかスルーだったよね?TVでやったらそこは確認したいw
まさにあそこは「男女7人〜」のラストよろしく、「SHOW ME」がかかりそうな勢いって意味でも絶対必要。絶対に必要(笑)
あと原作からの改変、たっくんへのプレゼントが財布からスニーカーになったとこ、なんで靴?というプレゼントアイテムそのものは「はぁ?」っていうか意味がわからないけど、あそこのA面からB面へのスライドは上手かった。しばらく騙されたw さすが堤監督(笑)
原作の繭子を地方のちょっと頑張ってる、今でいうオシャレ女子(なんだよw)から天然とっぽい系にみえる前田敦子のあのルックスにしたのも素晴らしい。最初からオシャレ女子にして恋愛ゲームをやる気があるように見えるとあのオチは弱くなるしなあ。
それと原作が解説込みでのオチ解説になってるのと同じく、映画が松田翔太前田敦子主演とうたって予告編でもそう見せかけておきながら最初に出てくるのがデブたっくんだというのもミスリードを呼ぶ仕掛けとして使われてるという意味で、メタな部分にはみ出すその構造込みで騙しにきてるのがとても良くわかってるなあと思った。
あの映画は宣伝をやってる今見るべきだと思うし、どっちを先にと思ってるならこの原作は映画を見てから読むべきだと思う。