そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

リスクの神様#4

http://www.fujitv.co.jp/risk_no_kamisama/index.html
脚本:橋本裕志 演出:城宝秀則
 
今週は事件自体がベタなのでそこまで無理がなくて面白かった。少なくともオレは面白かったよ。
てかこのドラマはタイトルの問題じゃなかったね。
なんて言うんだろう、こういうドラマをやろうと思ったスタッフの心意気は買う。ただこれ、すごく難しいネタだと思うんだ。そもそもリスク管理なんてどうやってもドラマ的に楽しくなるとは思えないってのは今回の話でよくわかった。だって対処が厳しすぎて普通の一般の人には理解しがたいし共感もできないと思うんだもん。
このドラマのキャラや展開ってものすごく理屈では筋通ってるし論理的だと思うけど、感情的に共感できる人がいないんだよね。そもそも危機対策の方法論が初回でやったように細かいところまで心理学的に計算されてて論理的、時にはそういう一般市民の感情すら利用する高度な駆け引きや対人関係スキルが必要とされるわけだから、余程の問題児や正義感あふれる熱血人情家、もしくはドジっ子でもいない限りドラマ的な意味での共感てのとは相容れないよね。(別に花咲舞をdisってるわけじゃないよ!)
今回はあの入院中の子のお母さん(西尾まり)が一番共感しやすかったけど、それも「子がいる親」の不安と心配ということに対してだけだろうし。
前クールの「心がポキっとね」、今期なら「探偵の探偵」も同じくらい難しいよなあ。うーん、どうしたらこのドラマの視聴率がもっと上がるんだろか…今回みたいな話ならオレはいいと思うんだけど。
事故や問題があって危機管理対策をやらなければいけない現在進行形の案件を軸に、社内派閥のパワーバランスネタが有り、それは西行寺の父親の話が遠因になってるっぽいというストーリー構造が今回はわかりやすかったんで話自体はスッキリ理解しやすかったんだとは思うけどさ。

海辺の町のグループ企業で起こった薬品流出事故の危機管理対応に行った西行寺たちだけど、社長の塚原(浅野和之)の対応は完璧。しかし実はそれは別のもっと大きな流出事故を隠すためだったという話。隠蔽のために火事を起こした可能性はさすがにないみたいだけど、たまたま起こった火事(not人為的ミス)を隠れ蓑にし、異常があっても企業城下町の土地柄なので町の人間みんなが企業に逆らわない。塚原社長が地域貢献したいという気持ちも本当、でもそもそも危機管理はその場の言い逃れや保身のためではないということが正しいあり方だという話。
塚原社長の対応は立派だけど継続する意思がなかったということが廻り回って今回の事故を引き起こしたので、社長に無関係というわけでもない、自業自得な事故だったという結末。(すごい、話全部説明できた!w)
危機対策室の西行寺の方針はまったく立派で、どれほど自社の不利益になろうと真実を明らかにするために徹底的に調査をするということ、それが理屈では正しい。今回の案件はおかしいと思ってても子供の命がかかってるとしても、動けないのが普通の人ってのはわからんでもない。
でも何をどうしても今回の剛くんの両親の対応、企業城下町の事情と親としての心配をここまでハッキリ見せても、たぶん殆どの普通の人(ドラマの視聴者層)はこの浪丘町の人たちのように「そんなことあるわけない」「町に貢献してる優良企業のやることだから間違いない」という意識で危機管理が出来ないからマズイって話よね。意識の問題というか。でもそこをつこんで糾弾しても仕方がない話ではあるし、上に立つ社長その他が責任取る形なのは当然だけど、根本的には人々の意識の問題かと。
ドラマ感想としては飛躍するけど、一般視聴者が浪丘町の人たちと同じように思ってるからこのドラマの内容にリアリティを感じられなくて面白いと思われないってことかと。
そもそもリアルに派閥争いをしたり危機管理に興味がある人たちはドラマなんか見てないと思うしな。
だからといって、情に訴えて力技で状況を押し通してメデタシメデタシなんていう展開をするくらいなら危機管理ネタなんかやる意味ないしさ。(別に花咲舞をdisって以下略)
そういう意味でとてもむずかしいネタを真面目にやろうとしてるなあと思うんだけど、そのせいで思ったよりシリアスで重い話になってて、余計に普通の人にはそんなに響かないんじゃないかって気がする。
もうちょっとエンタメというか洋ドラのように上手いことどうにかアレンジできる可能性はあったんじゃないかと思うけど、西行寺の設定がかなり重いんでそこら辺のさじ加減がよくなかったんじゃないかなあと思わんでもないです。今回だいぶ明らかになったからそう思うんだけど。
たぶん洋ドラならもっとサラッとそういう過去がある主人公…くらいにして、メインはあくまで毎回の案件、真実の追求をするならもうちょい別の絡ませ方をするんではって気がするなあ。うん、なんかこのネタにしてもいろんな危機管理対策のパターンの中で、対策室の人間関係を小粋に見せるライトコメディって感じに、そっちをメインにしたもう少し上手いやり方があった気がする。
あとは花咲舞の裏じゃなければもうちょっと数字とれてたかもなあ。ネタとしては面白いだけにもったいない。かといって次回もちゃんと面白いとは請け合えませんが。