そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ズートピア

http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html
監督:リッチ・ムーア、バイロン・ハワード 脚本:ジャレッド・ブッシュ、フィル・ジョンストン

 
普通に面白かったです。
ぶっちゃけ実はそんなに興味なかったんだけど、なんか評判いいみたいだから見とこうかなあって感じ?
ていうかストーリーテリングは80年代によくあったライトコメディな警察もの映画そのまんまだから面白くないわけないって感じ。そこに今的なPC(政治的正しさ)ネタを入れて差別や偏見に対しての考え方をバランスよくまとめてるとこは上手いけど
ただ話は上手いんだけど、キャラクターの振り当て自体に動物のイメージをそのまんま当てはめているところがネタがネタだけに微妙な感じというか、もうそういう話にしかならないじゃんよとは思った。
だってめちゃ美人なガゼルのスーパーアイドルの後ろでマッチョなイケメン虎ダンサーが踊ってたらカッコいいに決まってるじゃん。それを草食動物と肉食動物は仲良し、政治的な正しさだと言われても…みたいな釈然としないとこはあるかなあ。
ストーリーはよくまとまってるしこういうバディモノは好きだけど、なんかモヤモヤしたものが残るんだよね。いや話は面白かったんたけどね。
もちろん映像はすごかった。
羊のモフモフとカワウソのぬめり感スゴいw ぬいぐるのモフモフ感というかフェイクファーな感というか、リアルすぎないとこがいいのかもしれないけど。
背景とかはもうこのレベルが普通になりすぎてヤバイよね。大都市ズートピアはいろんな居住エリアがあるとこがなんだかジュラシックパークっぽくていい。確かに住んでみたくなるリアリティ。
 
話自体は最初は狐のニックが主役だったってのを見かけてなるほどとは思ったけど、それこそお話としてはちょっと古くなるかも。差別と偏見の話としては弱いよね、諦めちゃった中年男がバディになった若い娘に感化されてもう一度上を目指すって話は。
だから今的に正しいのはむしろ差別(区別)されてる側、数的にはマイノリティではないけど肉体的に弱い立場であるウサギ目線の「望めば叶うかもしれない」「努力すれば何にでもなれる社会の実現」っていう理想社会での現実と挫折、それにより更により良い社会を目指すことを描くことだよね。
ジュディの願いと理想は子供向けというよりいろいろ諦めた真面目な大人が思う、世界はこうでなければいけないという「あるべき正しい世界」って感じだし。
ジュディとニックはいいコンビだけど、なんかズートピアの住民たちが結局何だかんだ言っても同じ種族で付き合ってる(家族という意味で)こと考えると恋人にはならないような気はする。というか実際種の違いは違いだよなあ?住むとこの違いも超えられない壁って気がするし。
あとあそこの肉食動物たちは何食ってんのかと。もしかしてハラールみたいな宗教的・政治的に許された肉とかかしら?みたいな。
でもちょこっとしか出てないけど、たぶんあの街(ズートピア)はそんなにキレイな理想郷じゃないよね。
本質がどうであれ理性を保って社会生活を営むことが正しのはいい。でも差別や偏見を持たないっていいながらある一定の種族的色眼鏡があるうえでの動物の種族的イメージは結構強いから、なんかあの社会構成に納得出来ないんだ。
自分的にはこの映画はあいつが黒幕でなきゃもっと楽しめた気がするんだよな。(一応ネタバレ配慮)
あまりにも短絡的、もっというと感情的な女性の言い分すぎて政治的な駆け引きですらないってのが、黒幕が分かってあーあっていうか。せめてもう少しまともな理由か描写が欲しかったかも。その辺の短絡さもなんか80年代なストーリー展開だと思ったんだけど。
肉食と草食の割合が1:9で(おそらく現実の自然界の割合と同じ?)それだけの数の差があるから社会的には草食たちは肉食動物と仲良くやっていけるけど、個人的には力の差は歴然ってのは仕方ないわけじゃん。
そこで常に脅威を感じる肉食動物すべてが犯罪者予備軍だから規制したいという政治的ポリシーがあるならともかく、この黒幕の理由は草食動物だからバカにされるという怒りだけだよね。というか肉食草食の違いじゃなく、実際は体の大きさの問題じゃんよ。羊もウサギも草食だからというより体が小さくて温厚だと思われてるから侮られてるってだけだよね。実際裏社会の大ボスMr.ビッグは小さなネズミ(肉食)だし、大柄な警察署長は草食の水牛だし、差別の原因は種族じゃないよね。
凶暴化の薬(花)も本当はどの動物にも効くのに肉食動物しか狙わなかったってのは、あのオバサンがこじらせてるとしか。おまけにヒロインのジュディがそのハンデを実力で跳ね返してるから余計にやり方が汚いと思うし。
だから映画としては動物の種族の特性としてそういうキャラを当てはめられてるけど、実際はウサギにもいろいろいるし羊にだっていろいろいるけど(羊にだって武闘派がいるじゃんよ)、種族としての気質と個性が一緒くたになって差別と偏見の話として描かれてるのがなんかすっきりしないんだよね。
あとここって猫とか犬はいないのかなあ。野生動物に限るのかな?
 
次は同じディズニーだしオリンピックに向けてクール・ランニングみたいなのを動物でやればいいと思うよw 動物でやればちょっとヤバいドーピングネタも大丈夫かもw
 
企画の経緯がよくわかるブログ。こういうのをきちんとまとめてくれてる人がいるのはありがたいですね。
でも最近のディズニーアニメは全方位的に収まり良くするためにスタジオ総出で最大の力を注いでる(良い意味で)気がするけど、そういうやり方オレはあんまし好きではないな。ズートピアベイマックスよりは面白いと思うけど。(好き嫌いとかそういう話でなく)