そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

秘密 THE TOP SECRET

http://himitsu-movie.jp/
監督:大友啓史 脚本:大橋泉、大友啓史、LEE SORK JUN、KIM SUN MEE 原作:清水玲子

 
大友監督だし、メインは生田斗真岡田将生のたぶんイケパラ以来9年ぶりコンビのキャスト目当てで見に行ったんだけど、うーん、これたぶんストーリーは面白いんだろうけどキャラの感情に全然ついていけねー。
薪や青木がなんであんなに激って感情爆発させているのか、そもそもキャラの性格もさっぱりわからないし感情にも全く共感できないからすごく見ててぼんやりするよ。
映画というより良く悪くも大友監督のイメージ映像の垂れ流しっぽかった。ストーリーの整合性や面白さよりも自分が撮りたい映像だけを寄せ集めてる感じ。(いやどちらかというと悪い意味で言ってるけど)
映像はきれいだし眼鏡スーツ男子の岡田将生カッコいいし、生田斗真は少女漫画そのまんまの耽美ビジュアルで、全体に一昔前のサイバーSFっぽい美術もこれはこれでいい。
かなりグロいけど映像自体は面白いし脳内映像の構成とかもサイバーチックでカッコイイと思う。
きのこの中の人は新人らしいけど、二階堂ふみがやりそうな(「脳男」かよ)役だけどすごいキモかった。キモすぎてエロい感じだけどサイコパスにはあんまり見えなかったけどなぁ。
でも映画としてはあんまり面白くない印象。しかも長い。でも別につまんなくもなかったかな。
一応ざっくりwikiでキャラとか内容把握して試し読み(1巻分)も読みました。
以下ネタバレで。


なんとなく内容は把握したし、やりたい事は分かるんだけどなあ〜ってとこ。
教訓、うかつに上から目線で施しをしてはいけない…ってことかしら。
青木が第九に配属されるとこからと、貝沼の少年28人殺しの話で薪と鈴木の美しい友情の話メインでまとめればよかったのに、現在進行形の露口家一家惨殺事件の話をくっつけていろいろ盛り込んだせいでなんかいろいろ中途半端。
というか露口絹子の話いらないよね?まあそれがないと青木と真鍋のいる意味殆どないんだけど…って時点でやっぱりこの話(プロットが)ダメだと思うんだよなあ。
wikiを見るに露口家の性的虐待の話をサイコパスの話にして、サイコパスつながりで貝沼と接点を持たせたけど彼らが何で繋がってるのかわからない話になったし、焦点がぼやけた感じ。結局絹子の首から下がっている鍵(貝沼に掛けてもらった)には突っ込まなかったし。
この話って要は拾った財布をネコババしようとしたおっさんに薪がいらん情けをかけたせいでそのまんま頭のおかしなストーカーに着け狙われるハメになり、その薪を守るために鈴木が命をかけて貝沼の見ていたもの=秘密を守ったって話だよね。
なぜかっていうと、変質者のサイコパスが他人を殺しながらそれに薪を重ねて何度も何度も変質的に殺してる記憶を、親友として本人に見せたくなかった…という鈴木の過剰な友情なわけで。(それこそ同性愛的な感情に見える)それでなくても自分が殺される映像なんか見たくないだろうと思うけど。
そしてそこがこの死んだ人間の脳内の映像を見るという事、つまり彼らが見る脳内の映像は客観的映像じゃなく妄想や幻覚の入った主観的映像であると言う事が最大の肝の、すごく大事なところだよね。(ただ原作を見る限りそういう描写にはなってない、単に仕入れた情報が国家的な意味でのトップシークレットであるみたいな感じなので、その面白味の部分では原作の方があやふやなんだけど)
だけど結局貝沼と絹子のつながりもよくわからないし、露口家の事件の真相を明らかにすること自体も貝沼の事件とは関連性がないから、現在進行形の事件を入れたかった以外の何物でもなくってなんかよくわかんない話になってるんだと思う。
つーかキャスト目当てで見にきた女子たちには下手したら何がトップシークレットだったのかすらわかってないかもよ?隣の子たちワケわかんないって言ってたしー

あと薪は第九の存続がどうのこうの言ってたけど、この手法って明らかに危険だと思うよ。それ言ったら映画自体成り立たないけど。
少なくともサイコパスの頭を覗いちゃいけないと思う。なんでそんな捜査手法がまかり通っているんだっていうね。あと真鍋も完全に無駄に巻き込まれたよね。その脳内映像を見る危険性がわかっているのに見せて引き込んで結局殺したってことを考えると相当ダメだし、普通の人をこの捜査に引き入れるってこと自体がどうかと思うよ…と突っ込まざるを得ない時点でやっぱり穴だらけなんだと思う。
というか死んだ人間の見た映像ネタって、脳内映像を再現するんじゃなく死んだ瞬間に見た映像が網膜に焼きついているという設定の話なら割とあったような気がするんだけど、そもそも死んだ人間の脳を…ってかなり無茶な設定じゃないのかな。むしろ使うなら生きてる人間の脳を使えばいいのにと思うんだけど。そしたら露口教授も死刑にされる事はなかったよなぁ?
あと劇中で「マルコビッチの穴」のことを言ってるけど、あれは仮面をかぶるって言うことじゃなかった気がするし。誰でもマルコビッチの脳内に入り込んでマルコビッチ体験ができるっていう話じゃなかったっけ?

でもわかんないんだけど、他人の記憶を見たら自分の自我との境界線がなくなるって言うけど本当にそうかなぁ。どんなによくできたドキュメンタリーを見たって自分は自分だし他人の記憶は他人の記憶だと思うけどなぁ。それがショッキングであればショッキングなほど。