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おかめ日和 1〜17巻(完)

おかめ日和(1) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(2) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(3) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(11) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(14) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(12) (BE・LOVEコミックス)おかめ日和(17) (BE・LOVEコミックス)

 
全巻一気読み!巻数多いからレンタルですいません(でもTSUTAYAなので作者にお金は入ってるはず…) *1
ちょっと前のモラハラ炎上がキッカケで読んだんで、最初は先生の横暴さ(完全にDV)、やすこさん(やっちゃん)の性格にイラッとしたし(まったく好きじゃないタイプ)、そもそも絵柄も苦手なタイプだったんだけど、マンガ自体は面白いから読み進めていくとどのキャラクターにも愛着が湧いてきてあっという間に読んでしまったよ。(ちなみにオレはKindleの1〜3巻無料のフェアで読んだ)
お話としてはものすごい破れ鍋に綴じ蓋な夫婦の話で、最初は単に日常を描いてるだけかと思ったんだけど、この話の核心はやっちゃんと先生の出会いや馴れ初め、それに伴うアレヤコレヤの騒動から結婚して今の鍼灸院を開業するまでの話で、全部読むとどのキャラクターもとても好きだと思えるように。
こういう日常話を読ませてしまう作者の漫画力とステレオタイプじゃないキャラクター描写力は正直すごいです。こういう絵柄が苦手なんで慣れるまでは読みにくかったけどw
 
炎上の件は旦那さんがモラハラだ…ってことだったけど、これモラハラどころじゃないよ。先生、完全にDVだよ、アウトだよ。
無料配信の頭の方だけ読んで旦那モラハラで頭にくるっていう人いるのはわかる(オレもそう思った)
全巻読んでも好きじゃないっていう人がいるのもわからんでもない。
ただ全部読めばわかると思うけど他所の家の幸せを他人があれこれ言うのがどうか、彼女らが幸せならそれでいいんじゃないかとは思う話になるんだ。現実と違って漫画は登場人物の裏の気持ちも見えるからそういい切るんだけど。(現実でこんな家庭あったら奥さんには早く別れろって言うよ当然)
先生、昔の昭和の親父的な「愛情はあるんだけどそれを表現するのが不器用な男」くらいかと思ってたけど、たしかにそれはそうなんだけどそれを差っぴいても全然アウト。考えすぎて勝手に切れて最終的には暴力に訴える破壊衝動を押さえられない子供っぽさ、しかもそれを謝らないある意味潔さ(そのことで逆に自分が傷ついてしまう繊細さw)は傍から見たらどっからどう見てもDV事例。愛情があるからといってDVしてもいいわけじゃないし、やっちゃんがいいならいいっていう話でもない。
ただそれでもなぜかこれが全然不愉快じゃないし、最終的に(特に最終回の最後)むしろやっちゃんが幸せなら全然いいんじゃないのかなと思えるこのマンガがすごい。
誤解されないように伝えるの難しいんだけど念のため言うと、もちろんやっちゃんは先生の切れやすいところや暴言をいいとは思ってないし(マインドコントロールはされてない)、自分だけが大変なことも良しとはしてない。(あとの方ではちゃんと自分でガス抜きはしてる)もちろん話だけ聞く周りのママ友たちはみんなおかしいって突っ込んでるしアドバイスもしてる。それでも、なんだ。
ネタバレかもしれないけど言うと、先生はバツイチなんだよ。前の奥さんはいい人だし性格は合ってたけどダメだった。でもやっちゃんは大丈夫だったってだけ。その理由もちゃんと延々と描かれてる。
だから現実と同じく相手によりけり、組み合わせの相性とタイミングの問題だと思うんだ。旦那は旦那で何もかも奥さんに依存して癒やしまで求めてる…けど、その上でこれはこれで良いとしか言いようがなく、こういう家庭もあってもいいのかなと。
 
それにしてもこの作者の物語を伝える力とか人を描く漫画力は凄い。むしろ周囲の人間がいい。
主人公一家だけじゃなく周囲の人、お父さんやおじいちゃん、ママ友たち、あと後半いきなり出てきた先生の師匠の大川先生とかみんなすごくいいキャラしてるんだよねえ。
しかもやっちゃんと先生の歴史って、やっちゃんが小学生の時から高校生→大学生→OL時代→現在…と20年くらいあるんだけど、登場キャラが年取っても(若くても)なんとなくキャラクターが一貫してるんで、フィクションのはずなのに妙に親近感を感じてしまうんだよ。近所の人たちの過去や成長を見守ってる気分になるというか。
ママ友の時代劇好きの野中さん、最初はイラッとしてたけどだんだん好きになったし、坂田さんは頼もしかったw
先生の弟の明くんが出てきたあたりから話自体も明るくなってきたんで、やっぱり家庭にはツッコミ役、たしなめ役というのは必要だなとw
子供らは相変わらずだけど、最初の方に生まれた娘ちゃんもいつの間にかおませな幼稚園児になってて可愛かった。とにかくキャラクターが予定調和じゃないところがいい。
あとこの漫画自体は泣くような話ではないんだけど、やっちゃんのお父さんがやっちゃんの結婚にOKするところ、そして最期のところ、二回も泣いてしまったよ。先生のお父さんもなかなか複雑ないいキャラだったけどやっちゃんのお父さんはいかにも下町のお父さんって感じでかわいくて、でも筋の通らないことは許さないって感じなのがとても良かった。そういや最初の方の弟一家の話のところで(ネタバレ)なんだよね… それに気がついてあっと思ったんでよけい泣けたのかも。
2013年に17巻で終わってるけど、今の亀田一家の話も読みたいなあ。(なんか後日談っぽい話はあったらしいけど)
 
これすごく実写で見たいなあとも思ったけど、DV描写とかあの人間関係とか難しそうだから無理かなあ。
先生は最初佐々木蔵之介あたりどうだろうと思ってたんだけど、もうちょっと神経質な感じって考えるとトヨエツあたりかもしんない。トヨエツいいかもw
でもそうなるとやっちゃんは森三中の大島とかあの辺になるような気がするし野中さんはどう見てもおかずクラブのオカリナなので、やっぱり実写化しなくていいや。漫画でちょうどいいのかもw
ところでこの作者、オレと同い年で、しかも新井英樹先生の奥さんだとあとで知りました。なるほど〜w

*1:あちこち探したけど電書だと購入しても無期限レンタルでも同じように400円くらいなのですが、TSUTAYA DISCASのネットレンタルにコミックで全巻ありました。巻数多いとかなり安くなるのでこちらが良いかと。