そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

http://www.foxmovies.jp/saruwaku-g/
監督:マット・リーヴス 脚本:マーク・ボンバック、マット・リーブス

 

名作SF映画猿の惑星」をリブートした「猿の惑星:創世記ジェネシス)」「猿の惑星:新世紀ライジング)」に続くシリーズ第3弾。
高度な知能を得た猿と人類が全面戦争に突入してから2年。猿たちを率いるシーザーは森の奥深くの砦に身を潜めていたが、ある晩、人間たちの奇襲を受けて妻と長男の命を奪われてしまう。敵の冷酷非道なリーダー、大佐への復讐を誓ったシーザーは仲間たちを新しい隠れ場所へ向かわせ、自らは3匹の仲間を連れて大佐を倒す旅に出る。道中で出会った口のきけない人間の少女ノバや動物園出身のチンパンジー、バッド・エイプも加わり、一行はついに大佐のいる人間たちの基地にたどり着くが……。
ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム役で知られるアンディー・サーキスが前2作に続いて猿のシーザー役をパフォーマンスキャプチャーで演じる。大佐役は「ハンガー・ゲーム」シリーズのウッディ・ハレルソン。第2作に続き「クローバーフィールド HAKAISHA」のマット・リーブスが監督を務める。(「映画.com」より)

 
前の晩になんとか前2作、創世記と新世紀を見返してから劇場に行けました。
やっぱり基本的には1作めが好きなんだけど、マット・リーヴスが監督をやるとストーリー自体の面白さじゃない方にいっちゃうのかなあ。それはそれでだけど。
それにしてもこの未来は猿の惑星になるのはわかってても、途中本気で人間(軍隊)は滅べばいいのにって思って観てた。完全に猿たちに感情移入してみちゃうのはあまりにも猿たちの演技が素晴らしいからですよ。猿めっちゃ演技上手い(おい)
以下ネタバレです。あと見るのが遅くなりうっかりシネマハスラーを聞いてしまい、ネタバレはしてないんだけどあのキーワードが刷り込まれてしまったせいでそう見えたってのは否めないかもw(後述)
 
 
2作目から2年しか経ってないのに戦ってる相手が(おそらく2作目の最後に連絡がついたという)北の軍隊なせいか、一般人が全く出てこなかったとことはちょっと物足りなかったかなあ。あのサンフランシスコにいた一般人の人たちはどうしたのさ。
そのせいか前の2作に比べると、2年しか経ってない割になんかよくわからないというか軍隊と戦争状態ってことで、シーザーに戦う気があるにしてもないにしてもちょっと今の猿たちのあの状況に違和感あったり。あそこって橋の向こうの山奥ってこと?どこなんだ。なんで戦ってんの?いやそれが新天地に移動するまでのことだとしても。
シーザーが新しい住処に移動する猿たちと別行動で復讐のために大佐を探す旅に出たのに、いつの間にかその猿たちは大佐に捕まって強制労働させられ壁を作らされてるっていうことの意味がわからないし(どこに向けて移動してたんだ?)、話もかなり重くしかも尺も長いので、途中で話の行く末を見失いそうになってしんどかった…
シーザーが苦悩し続けてるってのもあるんだけど、どうも彼が妻と息子を殺されたせいで復讐の虜になってるってことにイマイチ共感できなくて。シーザーには素晴らしいリーダーであって欲しいと思ってるからかなあ?新世紀のシーザーのイメージが大きすぎたのか、あの最後でコバを倒したことでいろいろ思うところあったにしてもシーザーってそもそもそういうキャラだっけ?
しかし映画はほぼほぼ最後近くまでシーザーの復讐の話なのが重い。いつになったら復讐は何も産まないと悟って群れに戻るのか…と思いながら見てた。なので途中拾った喋れない女の子、ノヴァがちょっと癒やしだった。メチャ可愛いしシーザー以外はみんな良くしてあげてたのに。バッドエイプはちょっとうぜえ(と思ったらコイツの吹替が柳沢慎吾だしw)
軍施設についてからはこの話はどこが上がりなの…ともっといろいろ辛かった。というか大佐が頭おかしいってのはもっとはっきり描いても良かったのでは?他の兵士たちみんななんで大佐についていってるの?よくわからないよ。
そもそもシリーズ自体が原典である「猿の惑星」の前日譚だと思って見てるから、ここからどうして猿の惑星になるのかと思ってたんだけど、まさか猿インフルのせいで人間たちが喋れなくなり知能も退化していったからだとは。その辺のつじつま合わせは猿インフルウィルス蔓延からの人類の破滅もだけど、なんとなく納得できるかな。生き残った人たち、せっかくキャリアでも耐性があるって思ってたのにねえ…人類絶滅というか人類文明衰退は避けられなかったのか。
そしてこの話はどう終わるんだろうと思いつつ今にも死にそうなシーザーつら…という状況から、軍基地に囚われた猿たちが上手く逃げられてよかったと思ったところで別の軍隊が…と思ったところへのあの自然の猛威。正直もうそのへんで泣けてきてな…
というかこれ、シーザーが磔になってる辺りからシーザーの苦悩はキリストの受難にしか見えなかったし、何をどうやったら猿たちは助かるんだろうと思ってたから、ほんともう「シーザー生きて…(´;ω;`)」ですよ。
まあネタバレといってもこれ以上は言わないけど、お話自体は今回のリブート版の締めくくりにふさわしい最後だった。まるきり旧約聖書のようなエイプたちのエクソダス。彼らはエクソダスして約束の地にたどり着いたんだよ…これは神話なんだと思ったら最後でもまた泣けた…(´;ω;`) 
なんかさ、むしろここまでが〈創世記〉な内容でここからがエイプたちの〈新世紀〉だよね。そういう点ではこれは猿の歴史ということなら完全に旧約聖書をなぞった猿たちの出発点の物語で、神話の創造だよね。
まあ宇多丸さんがシネマハスラーで〈エクソダス〉って言葉使ったせいもあるけど、だからすぐにああそうかこれはエイプたちの旧約聖書か…!って思ったんだけど、映画の最後の演出の猿たちの旅の過程の描写は完全にエクソダスっぽいし、約束の地の光景も完全にそういう雰囲気なので、そういう神話っぽさはむしろ制作側の狙い通りなのかなと。最後、本当に美しかった…
あと最後の最後まで何もかももうこれは猿が演技してるとしか思えなくて、アンディ・サーキスすごい。みんな言ってるけど本当にアカデミー賞で何か賞をあげて欲しいですよ。いやあげるべきだよ。
モーションキャプチャーとはいえここまでちゃんと演技が拾えるんならそれはもう役者の演技なわけで、CGが発達したら役者はいらないかという昔そういう議論あったけどこれはむしろ可能性を広げたと思う。来年のアカデミー賞では本当に何か特別賞をあげて欲しい。彼の演技ありきのシリーズの成功だと思う。