そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

累-かさね-

http://kasane-movie.jp/
監督:佐藤祐市 脚本:黒岩勉 原作:松浦だるま

キスをすると顔が入れ替わる不思議な口紅に導かれた2人の少女を主人公に、美醜をめぐる人間の業を描いた松浦だるまの同名コミックを、土屋太鳳と芳根京子のダブル主演で実写映画化。
伝説の女優を母に持つ淵累は、天才的な演技力を持ちながら、顔に大きな傷がある自身の容姿に強いコンプレックスを抱きながら生きてきた。一方、舞台女優の丹沢ニナは美貌に恵まれながらも花開かず、女優として大成することに異常な執念を募らせていた。累の手元には、その口紅を塗ってキスをすると顔が入れ替わるという、母が遺した1本の不思議な口紅があり、ある日、導かれるように出会った累とニナは、互いの足りない部分を埋めたいという目的のため、口紅の力を使って入れ替わることを決断する。
ニナ役を土屋、累役を芳根がそれぞれ演じるほか、横山裕檀れい浅野忠信らが出演。監督は「キサラギ」「ストロベリーナイト」の佐藤祐市。(「映画.com」より)

 
一体これは何なのか!? 何を見てるのかわからなくなるぐらいのスピード感が爽快でもあり不安にもなるよ。
土屋太鳳史上最高も土屋太鳳だったし芳根京子の演技の凄まじさよ。いやーもっと早く見にいけばよかった。
原作は読んでないけどこれ以上のキャスティングはないと思わされる、いい意味で思ってたものとまったく違うものを見せられた。面白かったし、すごい吸引力で画面に釘付けだった。
あらすじだけ聞いてたときはゴージャス☆アイリンかと思ってたけど、むしろ話の展開は「ブラック・スワン」だった!うっかりするとホラーだよ。
wikiでザクッと原作を確認したけど話は相当違うじゃん。
結構ややこしい話をの累とニナの部分を土屋太鳳と芳根京子のダブル主演の話として上手くまとめてあって、とても面白かった!今回も黒岩勉氏はいい仕事した!w
もちろん朝ドラヒロイン対決、「まれ」VS「べっぴんさん」なんだけど、オレ的には「まれ」の悪夢をやっと払拭出来たw とにかく土屋太鳳のダンスが200%生かされてるのも素晴らしい。
女優の話だけど映画やドラマじゃなく舞台の話なのは口紅の時間縛りがあるからかなと思ってたけど、この2人の激しさは舞台女優ならではなのかもと。オーディションから舞台とのシンクロ具合もすごかったし、最後のサロメのラストカットといったらゾクゾクした。

あの口紅の秘密とか(そもそも何ヶ月も使って無くならないのか?)謎の眠り姫病とか、細かいところについての突っ込みを一切受け付けないストーリーのたたみかけと女優2人の演技の迫力。
というか、まさか横山裕がただの当て馬だとは…(ジャニーズ的にいいのか?!)
ブラック・スワンは主人公の妄想世界をオカルティックに現実と幻想の混ざった感じで映像化されてたけど、こっちは本当に顔が入れ替わってるわけで。(wikiみたら一応理由らしきものはあったけど)
演技としては「累」と「ニナ」を二人でやってるんだけどなぜか観ててどっちがどっちだかわからなくなる瞬間が結構あった。
ニナの、顔を貸してることで自分の人生乗っ取られていく恐怖と不安(才能こそが代え難いのになぜあとでリカバリー出来ると思ってたのか)。
累が美しい顔を持った途端に内面とのギャップで余計に魅力的になるさまを演じる土屋太鳳の光り輝く美しさと、醜いキズがあっても堂々として揺るがないニナを演じる、累である芳根京子の闇を宿した強さが絶妙な対比で、やたらハラハラドキドキするよ。
そいや顔の交換は望まないとダメなのか、首だけの人形とキスしたらその顔になるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよw(男性相手ならどうなるんだ?)
あとせっかく太鳳が最高なパフォーマンスで踊ってるのに顔が元に戻るんじゃないかというストーリーの方が気になって気もそぞろだったけど、やはり何気に佐藤監督の演出が効いてるよ。フジ枠映画だけどこれはとても出来の良い映画だと思うな。
累の醜い外見とねじくれた内面だからこその演じたいという欲望に天賦の才能を与えられ、その累が美しい外見を手に入れたらどうなるのか。
女優として美しい顔をしてるものの演技は凡庸、しかも女優として演じたいわけじゃなく単に烏合に見初められたかっただけということに気がついたニナ。
その二人の顔を巡るバトルは、女優というものは美しいのは内面か外見か…という問いかけが意味をなさないほど異能の存在なんだということを思い知らされるよ。
オレはどうも土屋太鳳の演技は嘘くさくて好きじゃなかったんだけど(たぶんあの声のトーンのせい)、今まで見たことない土屋太鳳を見せてもらったし、芳根京子が演技派なのはわかっちゃいたけど、こういう凄まじいまでの激しさというのは普通のドラマじゃ見られないだろうから、やっぱり滅多に見られないものを見せてもらったって感じです。
顔立ちとしては似てないはずの2人がすごく似て見えるときがあったのはそういう意図なのかな。最後のサロメのクライマックスで入れ替わってる(ように見える)のはまた別の演出意図ってことだけど。
本当になんか凄いもん観たわー。