そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ミッドサマー

https://www.phantom-film.com/midsommar/
監督・脚本:アリ・アスター
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長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。
不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。
ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。(「映画.com」より)

 
ものすごく予想通りの話だったけど、北欧のカルト的コミューンの美しくグロテスクな(いろんな意味で)夏至の奇祭をありがとうアリ・アスター監督!尺は長すぎだよ!(それも計算のうちか?)

基本的にはまったく思った通りの展開で、TwitterのTLで○○○○(ネタバレ自粛)とかそういうワードが流れてくるのを見るまでもなくそうだと思ってたよ。あまりにもあからさまで誰でもそう思うよね、オレもそう思ってた!みたいな話。むしろそうじゃない方がびっくりするw
アリ・アスター監督の前作「ヘレディタリー/継承」とぶっちゃけ基本のネタは似たような話ってことで、これが彼の作風ってことなのかしら。
ちなみにヘレディタリーの感想(なんか低評価だなw)→ https://korohiti.hatenablog.com/entry/20181205/p1
パンフレットで町山智浩氏が 「燦々と輝く太陽と可愛い野の花、優しい笑顔、歌と踊りに彩られた、映画史上稀に見る青空スリラー映画だ」って言ってたけどまさにそれ(笑)
ちなみにパンフレットめちゃめちゃオシャレで凝ってるので ぜひ買って読んで欲しい。さらによくわかる解説あり。
ストーリーは予想通りだけどいうまでもなく以下ネタバレ。
かわいいパンフレット画像も見てください (笑) このページの端っこがカワイイポイントなのよ。
 
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ヘレディタリーの最後もそうだったけど、グロテスクなのになぜか美しく爽快感すら感じる明るさ、カルト的な奇妙さはホラー映画としては新しいかもだけど、たぶん結構マニアック。
2時間半は長いけどあちこちほどよく伏線とか布石があるからそんなに退屈することはなく、画面が明るくて美しい(そして不穏さという毒)こともあり、オレはわりと好きかも。
というかヘレディタリーもなぜか公開時に観ちゃったんだけど、観てない相方に付き合って最近ネット配信で見返しました。ホラー苦手だから途中までめちゃくちゃ怖いんだけど、最後まで見るとやっぱり言葉にしがたい爽快感があって、最後まで見ると怖くなくなる不思議な映画だよ(苦笑)
 
パンフレットの解説を読むと、このホルガという一見楽園のようなカルトコミュニティが悲惨な事件で家族を失ったダニーの悲しみ、何となく冷たい彼氏や彼の仲間たちから嫌われてるかもという心の不安にに寄り添うことで彼女自身を解放したってあるけど(最後の彼氏への仕打ちに対しても)、正直いうと彼氏のクリスチャンがそんな面倒くさい彼女とは早めに別れときゃ良かったのに…としか思わない。オレ断然クリスチャン擁護派だよw
だってクリスチャン、ダニーが精神状態がヤバいからずっと別れを切り出せなくて、しかも家族の心中事件後も半年も別れずにいたんだよ?ジョシュの卒論に乗っかろうとしたのはどうかと思うけど、あの時点ではそんなにひどいことだとも思えないし、あの中ではまともな方だと思うし。
まあ気がないならさっさと別れた方がダニーのためとも思うけど、それ以前に彼女がそこにしかよりどころがないのが問題じゃない?依存しすぎのメンヘラ女だよ。一応電話して彼氏のことを相談する友達はいたみたいだけどたぶんウザがられてるよね。
クリスチャンの友達もあの最初のカフェのやり取りでもうどんな関係性かわかるけど、気のおけない仲のいい親友じゃないのはわかる。しかも猿顔マークは見た目通りアホバカだよねって話なんだけどさ。
マークのアホバカっぷり、あの立ちション事件はさすがにオレでもムカついたね。殺されてもしゃーないような。(あの”皮をかぶってる“のは暗くてイマイチ分からなくてパンフの解説ありがとうだよ)
まあとにかく、ダニーの気持ちはわからんでもないけどオレもクリスチャンに賛成。
つかホルガはそういう人に付け入って薬でトランス状態にしてるとこがまさにカルトだと思うな。まあそれもダニーが幸せならいいってことなんだろうけど。NTR相手とも仲良くやるのかなあ。というかメイクイーンってそのあとどうなるの?貴重な外の血だよね。
監督がパンフでダニーの“内なる風景”と“メロドラマ”の話してるけど、それってある意味セカイ系だよね。ボーイとお別れしてコミューンと出会う、「ガール・ミーツ・彼ら」だけど。

あとホルガの90年に一度の奇祭ってことだけど、ああいうコミューンがどういうものなのか説明がないこともあり、確かに北欧のそういう古代宗教についての見識は言われないと「?」って思うかもなあと。
年寄りがほぼいないってことは直接あの祭りを知ってる人間はほぼいないはずなのにあの精神的拘束力の強さとか、そもそも装いうものなのだってわかんないと日本人の宗教観では新興宗教くらいにしか思わないよねって意味で。古代ケルト民族とか今回みたいに北欧バイキング文化とか言われたらああとは思うけど。もちろん日本の地方の山村とかにもそういうのはあると聞くけど。
なのでああいうカルトが今も残ってるのはアンタッチャブル事象として意外と怖いかも。ヘレディタリーと同じ意味で受け継いでるのかしら。
そういう意味で、ペレはスウェーデンからの交換留学生ってことだったみたいだけど(イングマールもか)奇祭の時にそうやって生贄要員を連れてくる役割よね。てことは大学で学んでてもそいうコミューンの教えは絶対だというその血の絆も怖いよ。まあ血と結びついた土着の宗教だから仕方ないけど。

ヘレディタリーの最後の小屋のシーンでかかった曲っぽいやつがホルガに着いたときにも流れてたけど、あの曲調好き。きれいでとても不穏な旋律。ああいうの何てジャンルだっけ?
最後の熊の皮、リアル御当地キューピーみたいでちょっと笑っちゃったよ(笑)彼の顔もすごくキューピー的だったしw
それと裸の下半身にボカシ入らないんだ!?と思ったとこは外ではガッツリボカされてたんで画面の暗さの問題か。それOKなんだ?とちょっとびっくりしたけどw
ブラッドイーグルはもうちょっとちゃんと見たかった。その発想はなかったなあー>拷問方法
あと崖の老人、パンフによると「ベニスに死す」のタジオ美少年だって!知ってたらちゃんと見といたのにー
 
それと毎度の劇場客観察ですが、見終わったあとトイレで若い女子二人組が、行方不明で捜索されるよねとかあんな火事があったらすぐ見つかると思うしーとかすごく現実的なこと言ってて苦笑。(彼女ら的には何が面白いのかわからない、つまらなかったってことらしい)
もしかして彼女らはああいうコミュニティが人里離れた山奥や僻地にあるってことすら想像出来ないタイプなのかなあと思ったり。あんなの街中にあるわけないじゃん…まあそんな層まで観に来てるってことだろうけど。
「パラサイト」はファンタジー的だけど、これはギリギリ「あるかも?」な話じゃないかなあ。(実際あったら困る)