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ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

アルキメデスの大戦

監督・脚本:山崎貴、原作:三田紀房


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戦艦大和の建造をめぐるさまざまな謀略を描いた三田紀房による同名マンガを、菅田将暉主演、「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督のメガホンで実写映画化。

日本と欧米の対立が激化する昭和8年、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造計画に大きな期待を寄せていたが、海軍少将・山本五十六はその計画に待ったをかけた。山本は代替案を提案するも、上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴くべく、天才数学者・櫂直を海軍に招き入れる。数学的能力、そして持ち前の度胸を活かし、大和の試算を行っていく櫂の前に帝国海軍の大きな壁が立ちはだかる。

菅田が櫂役、舘ひろし山本五十六役を演じるほか、浜辺美波柄本佑笑福亭鶴瓶らが顔を揃える。 作品詳細ページ: https://eiga.com/l/2ZqWZ

(劇場公開日 2019年7月26日)

 

 

この作品は菅田将暉が出てるというのに公開時に観られなかったんだけど、もう4年も経ってたのかー。コロナ禍で何年も時間が失われた感覚。

ということで気にはなってたけど、たぶん公開当時に見てたら原作読まずに見たはずだろうからむしろ良し。今ちょうどマガポケ(アプリ)で「アルキメデスの大戦」読んでて、原作を80/377話まで読んだから我慢できなくなって映画版を観たのですよ。

いやー、山崎貴の監督映画では初めて面白いと思ったよ!むしろこうまとめて来たのスゴい!これ、原作通り…じゃないよね?

 

 

菅田将暉の櫂直が原作よりもだいぶ エキセントリックなのでちょっと違和感はあったんだけど、まあ映画だし、菅田将暉通常運行だね~と思いつつ、舘ひろし山本五十六の狸なザ・軍人っぷりもちゃんと描かれてるし、何より平山中将の田中泯が本当に田中泯ありきですごかった。田中泯マジ田中泯

平山中将はそんなに重要キャラだと思ってなかったから、まさに田中泯ありきなキャラクターのキャスティングの存在感よ!

映画のストーリーとしては、原作が終わってないことを考えたらそんなに破綻なくよくまとまってると思う。あの冒頭と最後の締めは良い。

むしろ大和の運命はほぼ誰もが知ってる話なので、原作が最初からそこまで大風呂敷広げててもいいくらいなのにw

 

今単行本の既刊が35巻で連載継続中。公開時の2019年時点で単行本は16巻、話数にして148話の時点だとさらに先がわかってないのかな。さっきも言ったけど単行本だと8巻くらいまで読んだので、映画のストーリー分はカバーできてるかと思ったのだ。

まさにストーリー的には最初の会議の成否まで、でもそこで終わってる話じゃないからどうするんだろう…と思ってたら、初っ端に大和が沈むとこから始まる原作にはない冒頭。

歴史的に、大和は完成し、そして沈むのは分かってる。櫂たちがあれだけ止めようとしてるのにどうして止められなかったのか…という話なのかと思っていたから、止められないその理由を最後に持ってくるところが凄まじかった。二時間であの結果になる必然性。

映画はだいぶ端折ってはいるけど2時間でこの構成に持って行ってちゃんとまとめてるのが上手かった。

 

超巨大戦艦建造計画を阻止しようとする櫂たちの正義と正当性という大義に数学を武器にしても、潰しても潰しても蘇ってくる建造計画。

そんな中で櫂の奮闘っぷりがメインなわけだけど、田中泯演じる平山中将に「大和」と言う日本を背負った依代たる名をつけられた超巨大戦艦を建造する意味を聞かされ、櫂の正義/正当性を一蹴されるくだり、そこから最後の櫂の涙までが大変美しく見応えがあった。

櫂が大和を美しいと思ったかどうかはともかくまさに「それはあなたの感想ですよね?」としか思えないリアクションだったけど(だって櫂がそういうキャラだとは描かれてない感じ?)、とにかく田中泯の平山中将の説得力。だからこそ冒頭の大和沈没かーと感じ入る。

原作でもそうなる可能性はあるのかどうか。いやでもオチとしてはそれしかないか?

 

というかそもそもこの原作漫画のストーリーと「櫂直」というキャラクター、てっきり史実で、本当に戦艦大和建造時にこんな隠れたエピソードがあるのかと思ってたわ。フィクションかよw

海軍上層部の人たちの主張と立場が2時間だとちょっと区別が付きづらいんだけど、山本五十六海軍少将の老獪な本音と建前の使い分け、舘ひろしのキャスティングもなるほどと唸るよ。

そしてやはり鶴瓶さんは鶴瓶師匠よねえww

4年前の浜辺美波可愛いし、あと柄本佑も良い仕事っぷり。ちゃんと態度の変化がわかるw

 

原作の櫂直は三田紀房先生の絵柄のせいもあって(正直苦手な絵柄)ちょっとキャラが掴めないところもあったんだけど、真面目な堅物というより、正しくないと我慢ができない変人としての描き方・役作りはそれはそれで確かに菅田将暉がやるしかないよなあ〜という感じ。いかにも彼がやりそうな役ではあるよな。帝一の帝国とかw

原作読まずに見たらいろいろ拾いきれないところもあったかもだけど、これはどちらかというとある程度は原作読んどいてから鑑賞したほうがいいのかなと思った。面白かった!

 

あとどうでもいいけど、宇宙戦艦ヤマトは好きなのに今まで戦艦大和ものを見てもそんなにトキメかなくて何でだろうと思ってたけど、どうも航空母艦の方が好きみたい。空母の方が萌えるなーw

平山中将の話を聞いたあとだと、大和怖いよ。滅びの美学どころか負け方の教えか。そのための3000人…( ´∋`)