そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

オールウェイズ・三丁目の夕日


今週いっぱいだったんですね、滑り込みで観てきました。はっきり言って泣きました、いろいろ。というか、あれって泣かせようという意図はあまり無いような気がするんだけど〜、どうなんだろ?なんか泣いちゃうけど。
とにかく子役が上手いよ、うま過ぎ。最近の子役は上手い子が多いなあと思ってはいたけど、あの鈴木オートの子は中に大人が入ってるに違いない。それ以上に淳之介の子(須賀健太)がまた上手いんだけど。

先に見に行った家人が買ったはずのパンフが見つからないんで、とりあえず映画だけの感想を。
なんの予備知識もなく原作も全く知らなかったんですが、それゆえ最初にあれっと思ったのは「いつ」とか「どこ」とかテロップで出ないんですよね。あれって意図的なのかなあ?もちろん観てれば判るんですが、意図的なんだとしたらそれって「どこかの街のいつかの時代のファンタジー」ってことでいいのかなあ…と思いながら観てました。でも登場人物の名前の付け方からしてそんな感じですね。


最初六子(堀北真希)が鈴木オートにやって来るとこから始まってるから、てっきり鈴木家の話だと思ってたら違うんじゃん。これって完全に茶川(吉岡秀隆)と淳之介の話じゃないですか。というかハリウッド映画ならこっちの話で丸々一本だよな、鈴木オートの話は副え物で。
原作は知らないんだけど、真正面から茶川と淳之介の話にしないで鈴木家と分量的には半々くらいにしてるところが何となく日本的奥ゆかしさだと思うのです。バランス的にはちょうどよかった感じ。ネタバレになるからあまり詳しくは言わないけど。

つか、EDテロップ見たら吉岡の方がトップキャストだったのね。ああ納得。つーことで本当は茶川と淳之介の話です。ちょっとだけヒロミ(小雪)も絡めた。
子役も上手いんですがそれ以上に吉岡秀隆、上手いですね。北の国からには全く興味がなかったんで見てないのですが、彼は大層黒い性格みたいですね。上手い人ほどやはり性格は黒いんでしょうか(笑)*1
まあ大体さ、うわあと思うシーンは殆ど須賀くん絡み(笑)
茶川が自分が大好きな小説の作者だって知ったときの顔とか(…なぜかここでもう来ました)、サンタにプレゼントを貰ったとこ(やっぱり表情が絶妙)とか、最後の手紙とかもうダダ泣き。茶川に殴られるとこは、あの二人込みでよかった。でも須賀くんがというより、やっぱり茶川との交流が然りげなくていいんですよ。やっぱりこっち中心でベタベタでやられてたら、逆に興ざめしたかも。まあだいぶベタで分り易いとは思うけど。
高度経済成長期、集団就職で東北の田舎からやって来た少女を雇い、これからは車だという鈴木オート(自動車修理工場)の社長(堤真一)は、テレビ・冷蔵庫を揃え三種の神器が揃ったと喜ぶ影で、昔ながらの商売は廃れていったり、細かい日常のちょっとしたことも丁寧に織り込んでて(もっと年配の人が見たらどうか分んないけど、多分オイラとかは親から聞いたりしててギリギリそういうのが判る世代…かなあ)そういう普通の家の暮らしぶりで結構細かくどんな時代かというのを描写してるから、貧乏作家の茶川と親に捨てられた境遇の淳之介(捨てられたからといって、じゃあ誰かが育てようってのがまたスゴイ。緋の十字架もそうだけど、それはアリだったんだね)が引き立つというか、なんか説得力があるんだよね。
あとちょっとした冒険というか、淳之介と一平(お向かいの鈴木オートの子)で出かけるんだけど帰ってこれなくて、その辺のやり取りとかお母さん(薬師丸ひろ子)の気遣いとか、あまり入れ込みすぎてない描き方が自分的には結構ツボだったです。ろくのことも、最後ベタだけど良かったなあって気になるし。


とにかく、作りかけの東京タワーがある架空の世界の物語って感じで、とても面白かったです。世の中いい人や希望に満ちた状況ばかりじゃないけれど、明日に向かって何となく希望を抱けるほのぼのとした雰囲気がいいですね。そういう意味ではやっぱりファンタジーな感じ。
なんかやっと邦画もここまで来たんだなぁ〜と思った。
監督・脚本・VFXを全部監督自ら手がけてるってことで、特にVFXは結構使ってそうだけど殆ど意識しなかったというか、結構上手い使い方してるのかなあ?


どうでもいいけどちょっと気になったのは、最初思いも寄らないところで笑いが起きることです。思いも寄らないというか、いや判るんですよ、多分年配の方たちの軽くツボな部分というか、ほほ笑ましい方向の笑い。見に来る人がそういう部分を期待してるっていうのが(懐かし映画として)ちょっと嫌だなあと思ったのです。話が進むにしたがってなくなったんだけど、そういう部分が無くなったからじゃなくて単純に話が面白かったからだと思うけどさ。
平日午後の新宿なので客層がそういう客層だったのかな?細かいことだけど、変なとこで笑いが起こると気が削がれるなあと。(笑いのツボが違うのとは微妙に違うような…)

*1:この夏、妹の富良野土産で貰った「北の国から『純のぼやき』巾着」というものがありまして、何でも倉本聰が書きとめておいた純のぼやきを商品化したらしいです。黒い巾着に「児童ギャクタイもいいとこですよ!」「タマリマセンヨ!」「何がロマンチックだ!」「オレもう人生真っ暗になった!」などなどのセリフがプリントされてて、北の国からに感動した人は顔をしかめそうなパンチの利いたグッズです。どういう意図で作ったのか(笑)