そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

理由もいろいろ

こないだ脚本家のことを書いたときに、ついカブト失敗の理由まで言及してしまいました。アップはしてないけど。
それ自体はこの時期に語るのはどうかと思うんですが、あまりにも傍目に見ても何が失敗なのかは明らかで(はっきり言ってもいいと思う。平成ライダーでカブトが一番の失敗作だって。駄作という意味ではないけど)、それはこの先の展開では挽回できないほどのことだ…というのは、オイラに限らずカブトに特に注目して見てる方ならある程度予想はついてると思います。
なので失敗の理由についても、基本オイラはカブト大好きだし、このグダグダな展開であっても面白いと言い切れるだけの自分の中での根拠はあるし、最低でも広げた風呂敷を畳んでさえくれれば、多少いろいろ取りこぼしてもいいかという気分なので、ダメ出しというよりは残念だったなあという気持ちの方が強いのですが。
以下興味のある方だけ。
 
オイラはなんだかんだいっても白倉さんの仕事っぷりは好きだし、勝手にダメ出しもするけど基本この人はすごい人だなあとは思ってます。でももちろん番組を作る以上、スタッフやキャストの選定や管理を含めてそれがどんなことであっても何かあった場合、結局誰の責任かといえばPDの責任だとも思ってます。
カブトが迷走してる原因てのは、大きなところではワームやZECTの扱い、主人公たちの素性を含めて*1、全てを謎解きの物語にしてしまったことだと思うんですね。その辺同じように謎解きを物語の主軸にしているアギトとは似てると思うのです。ただ、主人公の素性と変身出来る理由を含めて物語中盤でそれが一反解消されたアギトと違って、解消されないまま物語が佳境に入ろうとしているというのは、イカンなあと思うのですね。
もともと白倉式謎解き物語って、謎を解いたこと、秘密が明かされたことによって、キャラクターたちがどうするのか?というキャラクターの行動を見せて共感を得るということが主軸にあるわけでなく、その謎を明かすことそのものが決着であるという、「情感」を排したものであるのが特徴だと思うのですね。この辺、非常に本人の理屈優先っぽい性格に起因するのではと思うのです。(ホントのところはどうか知りませんが、インタビューなどから推測するに)だから理屈派であるがゆえにパターン的に物語の中に、ある意味ベタな感情の流れを作ることが出来る井上敏樹の脚本が相性いいんではと思うのですね。
 
ちょっと話がズレましたが実はここで言いたいのはそういうことではなく、例えばスタッフであれば何かあっても差し変えが効くわけです。それこそ響鬼のように大元のPDが更迭されても番組的には問題がないように。(ちなみにリュウケンドーも、確認はしてないけど最近PDが変更になってるそうです)
でもそれがキャストであった場合どうなるか。*2
まあネット上では多少ウワサになってるらしいですが、そもそもその手のウワサが流れてるだろう場所を見てないのでどの程度事実なのか確認のしようもないのですが、ちょっとその辺のこと+αの話を聞いて、どうにもPの責任とだけは言えないというか、むしろ気の毒というか、謎解き展開のまずさでない部分でのどうにもならなさがその時点であったとすれば、その辺りをカブト失敗の遠因としてあげるのはどうなんだろう…と思ったんですよね。*3 イヤ、Pに対して同情するとかでなくね。
まあそれでも細かいところの設定の穴が埋められないのは、Pとメインライターの相性の問題もあるんだろうけど、少なくともカブトっていうのは天道とひよりの関係が基底にあって、その上での天道と加賀美の物語であって、それ以外は物語を面白くするための装置であるというはっきりとした認識があれば、ライブ感どうこう以前にこんな顛末にはなってないのではと思うんだけど、それも全て憶測でしかないし、どうにかしようと思った結果がこれなのか、それともどうにも成らないと思ったから最善の策がこれだったのか、今となってはどうにも落とし前だけはつけてもらえればいいかとしかいいようない感じ。このカブトという作品の顛末が語られることはあるんだろうか?
 
まあそれでも一応簡単に、オレは何が失敗の原因だと思ってるかというと、設定的な謎の部分のまずさヒドさはもう言ってもしかたないんで割愛するとして、展開的にどこで間違ったかというと、ひよりの正体バレに関してなんですね。
一つには、どの時点でそういう話になったのかということもあるんだろうけど、ひよりが天道の妹だってことを明かすということを映画の目玉にしたこと。
実はキャストの問題を考慮しなくても、8月公開の映画でバラすのは、タイミング的には遅いと思うんですね。少なくとも2クール目、加賀美がガタックになる前に神代剣絡みで話を展開させるよりも、主人公である天道を掘り下げてその戦う理由を説明すべきだったと思うし、その際ひよりが妹だということを最低限視聴者には、出来れば加賀美も知っておくべきだったと思うのですね。
本来ひよりの秘密の一番最たるものは「ひよりがワームである」ということのはずなんですね。ところが、制作側はなぜか「ひよりが天道の妹である」ということを一番の秘密にしてしまった、というか、そうなってしまった。
そのせいで9月の本編の展開では、ひよりが天道の妹であるということと、ひよりがワームであることをほぼ同時にバラすことになり、映画はあったもののどっちが重要なのかということに関しても、天道に感情移入すべき展開に出来るはずだったその前の数ヶ月間を捨ててしまったことに関しても、どっちつかずのグダグダ展開の始まりになってしまったわけです。いや、そう思うわけです。
 
それではどういう展開が望ましかったのか?
当然、加賀美がザビーを捨てて天道と加賀美の関係がどういうものであるかというところを、視聴者と加賀美がはっきりと理解したところで天道と加賀美の関係は一区切り。
その後視聴者の関心は「なぜ天道はカブトなのか」ということに興味が移るはずで、それこそ天道とひよりの関係が問題になるわけです。
ここで例えばひよりが天道の本当の妹だと知ることで、視聴者及び加賀美は天道の戦う理由を知ることが出来るわけですね。天道がなぜ会ったばかりで他人であるはずのひよりを気に掛けるかも。
それで尚且つ、じゃあなぜそれを公にすることが出来ないのか?ということが更なる謎になるわけですね。そここそがこの物語のキモになるわけで、その言えない理由がのちのちの「ひよりがワームだから」ということになれば、それはカブトの物語の設定からいえば言えなくても無理なからぬことだし、むしろそれによってより悲劇性が高まるはずです。
そしてその過程で妹だと知りながらそれを言えない天道の弱い部分というところが描写されれば、それを知ってる人間からすれば、例えどんな俺様であっても主人公である天道総司に感情移入しやすいわけだし、ひよりの重要性はひよりと直接の交流がなくても自然と描かれると思うのです。天道が如何にひよりを大切に想っているか、ということが後半の展開に向けて重要になるはずなんですね。
そこで加賀美がガタックになることで、同じ力を持つライダーとして天道の力になることが出来て、渋谷隕石の謎、エリアXの秘密に迫っていく…という展開なら、すんなり9月の「ひより=ワームだった」という部分の衝撃に繋がるわけだし、だからこそ天道とひよりの関係という事情を知っていた加賀美だけが天道の相棒として傍にいる意味が出てくると思うんですね。むしろ天道が奇行に走ってもそれを止められるだけの理由を持つことが出来るキャラになるということです。
……それを全部捨てたわけですね、2〜3クール目の展開は。どんな事情があるにせよ、最初の構想がどうだったにせよ。
 
まあこれは単に一視聴者のこういう展開だったら納得できたのに…という妄想でしかないわけですが、最初の設定や物語展開の装置を考えると、これが本来あるべき話の大筋のような気がしなくもないんですね。まあこれ以上にサプライズなことがあれば、それに越したことはないんですが。
そしてこういうメインの展開のサブストーリーとしてZECTの秘密、ワームの謎、神代剣の話とか本来ラスボスまたは中ボスであったらしい(確認はしてませんが)ウカワーム絡みの話、風間大介や矢車、影山などの絡みが描かれていくべきだと思うんですよね。もちろん出しっぱなし投げっぱなしではなく、月替わりライダー展開(というのが本来のキャスティング構想だったらしいですが)で、次々と謎を提示しては解決していくのが普通だと思うんですね。
これに関してはメインライターが抜けたあと、話を進めないようにしてるとしか思えないサブライターの仕事っぷりとか(本来この人はカブトに於てはキャラを膨らますために投入するべきだと思うんですが)、映画で明かすべき謎、描くべき物語、それを本編につなげるための全体の展開を間違えてるとしか思えないことといい、全てが裏目に出ててペース配分も采配も間違えたとしか思えないんですよ。いくらライブ感といっても大筋あってのライブ感だと思うんですよね。
最初から何でもありで、35周年の集大成になるという触れ込みであったハズのカブトですが、そういう意味で夏前から何となくアップアップな部分が見え隠れしてて、ここに来てもうどうにもならない状態であると言うことを考えると、一体何に呪われてんだろうと…

*1:エピソードとしては描かれているせいで何となくそのキャラを知った気になってるけど、実は全くキャラの素性というのは明かされてないです。ex:天道の過去(おばあちゃんとの関係、ひよりと離れ離れに生活してる理由、ベルトを手に入れて使いこなしている理由など)、加賀美の家族関係(これは陸とワーム絡みだから尚更)、剣がワームだということ(肝心の擬態されたときの客観的描写は描かれてない)それはこれからの展開で明かされる部分だと思うのですが。

*2:最近だと、フジのドラマでJの子が変更を余儀なくされましたが、ああいうのは仕方ないとして。

*3:もっと細かく失敗の理由ってことで文章を書いてたんですが、ちょっといろいろ聞いたらもうそんなこという気にならなくなったというか…ごめんなさい、この辺うやむやにさせて下さい。じゃあ書かなきゃいいだろってのはなしってことで。この辺の話はあとで削除するかも。