34話感想追記。34話の駆け足な感想はこちら→ http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20070923/p1
今回の話をざっと見たときに、また靖子たんらしいイヤな話だなあと思ったんですが、チラチラ感想見てたら意外とみんな感動話だって書いててビックリ。妹と話してたらやっぱりコワイ話だってことになったんで、ちょっとそんなタイトルにしてみた。これ、コワイ、ヤな話なんだけどー？
感想でもオレが契約者の話に触れてないのは全くピンと来なかったからで、なんでかというと契約者のピアノマンと奥村さんの話はイイ話ではあるんだけど、いつも通りのああそんな話ねー程度のこととしか思わなくて、良太郎が桜井さんのことを言ってるのもその可能性を示す憶測だけでしかなく、桜井さんや侑斗の話とリンクしてるわけでもない･･･からなんだよね。
普通これを「イイ話」というのなら、3年間奥村さんの回復を願いながら病院の窓の外で見守って、彼が好きだと言ったピアノを聴かせてやりたいなあと思い続けるピアノマンが、イマジンによってそんな実現不可能な願いをかなえることが出来、それによって奥村さんに回復の兆しがみえる･･･という筋書きが、ありきたりなイイ話だと思うんだよね。
ところが実際には奥村さんは眠り続け、回復するともしないとも判らない、希望もあるけど絶望もある、そんなイヤ〜な話であるわけです。
救いなのは、最後にこぼれた人がどうなるかを良太郎が聞いたときに、明るい顔をして奥村さんの回復の希望を思い描いているからであるけど、それは良太郎の「そうであればいいな」という願望でしかないわけですね。まあそれでもお話的には救いだと思うんだけどさ。
奥村さんが目を覚まさないのは完全にドラマの都合であって、奥村さん以外の誰からも存在を忘れられている故に存在自体が消えてしまったピアノマンがデンライナーに乗ってくる、デンライナーというのはそういう列車だということを説明するための状況作りであって、だからこそ奥村さんは目を覚ましてはいけない･･･というのが、あからさますぎるからなのですよ。そのために3年前にピアノの道に戻ることを決めた奥村さんは未だ眠り続け、ピアノマンはデンライナーで時間の外を旅を続けるってわけです。そんな遣る瀬ない哀しいドラマ、オレはあんまイイ話とは思えないな。話としては嫌いじゃないけど。
ついでにいえば、あれっと思って引っ掛かったのは、感想にも書いたけど2004年1月18日はピアノマンと奥村さんが出会った日であって、その後彼らはピアノを通じて仲良くなり、奥村さんは立ち直り、そして事故に遭うわけです。
ということは奥村さんが事故にあったのは、病院で寝てる以上2007年時点ではすでに起こってしまった過去であり、イマジンが暴れることの影響は奥村さんの存在自体が消えることだったけど、それを回避した、そしてピアノマンが戻ってこなかった（デンライナーにいる）にしても、事故に遭うのは確かなんだよね。
感想では疑問系で書いてたけど、奥村さんが目覚めてピアノマンがデンライナーを降りる先は*1 チケットの日付の「2004年1月18日」でしかありえないわけで、たぶんデンライナーの中での時間はなかったことになるんだと思うのね。（チケットの日付の意味ってそういうことだよね、そもそもデンライナーは普通の人にとっては「時間の外」を走ってるから、そこに戻るしかないんだよね。良太郎やハナは時間の影響を受けない特異点だし）
そして2004年のイマジンの破壊活動がなくっても、結局奥村さんは事故に遭い昏睡状態になる･･･というのは決定事項。なぜなら2007年で昏睡状態だから。
今回はかすみの時（12話）と違って妙に判りにくいおかしなことになってるのは、
- イマジンが現れなければピアノマンは彼が目覚めるまでいつまでも病室の外でピアノを弾く真似をし続ける。
- イマジンが現れたから奥村さんとピアノマンは一度消えてしまった。が、イマジンが現れた以上、電王がそれを阻止するのは必然なので奥村さんは戻ってきた。でもピアノマンは消えたまま。
矛盾してるのは「時間」じゃなくて「存在の認識」なんだよね。（この理屈にあんまり自信があるわけじゃないけど･･･）
オーナー言うところの「変」な状態ではあるけど、どっちにしたって結局奥村さんは昏睡状態になるんだから、ヤな話でしょ？
デンライナーがそういう時間に忘れられた人々を乗せてる列車だというのは、もっと早く説明しててもいいと思うんだけどそれはとりあえずおいとく。
オーナーはもちろん、ナオミもそのことは知ってたんだけど、オーナーのいう『記憶がある限り時は消えない。しかし記憶にない時間は戻らない』は侑斗の言っていた『人の記憶こそが時間なんだ』と同じこと。
侑斗は消えて戻らないことしか言ってなかったけど知ってるんだよね。ピアノマンに驚いてなかったからたぶんハナも知っているってことでいいのかな。イマジンの活動によって不慮の事故として消えてしまった（こぼれてしまった）人が救われる先がデンライナーで、それがデンライナーの仕事ってことでしょうか。*3
となるとそのハナなんですが、ハナのいた時間はイマジンによって消えてしまった。今回のことを考えると、ハナがデンライナーに乗ってるということは、つまり特異点であるハナ以外の人間が消えてしまい「誰もハナのことを憶えてないから」･･･だよね。
消えたはずのゼロライナーが存在してることが時間が戻ってきてることでもあるというのは、何となく示唆はされてたけど、今回新しい路線が現れ、それがハナのいた時間に続いてるかも知れないということでハナに起こった変化を考えてみる。
ハナが小さくなったことの、まあ裏事情的なことはおいといても、記憶はそのままで体だけ小さくなったってことの意味は、物理的に体が小さくなったわけではなく、「時間が戻された」ってことじゃないかと思うんだ。
というのは侑斗が図らずもゼロノスのカードを作るのに他人の記憶の中の桜井さんの記憶を使ってることで「電池がなきゃ何も動かないからな」って言ってたけど、それで言うなら例えばハナのいた時間を復活させるためにはその時間を知っているハナの記憶が必要なはずなんだよね。人の記憶が時間（過去）を作っているから。ハナの記憶が電池というか記憶エネルギーみたいなもので。
でも体が小さくなって記憶がそのままってことは、むしろコハナ→ハナになるまでの時間を記憶エネルギーの代わりに使ってるってことなのかなと。だから体が小さくなったというよりは、記憶がそのままで時間が戻った。ハナの時間（その時間に体験した記憶）が使われて、ハナのいた時間が修復されようとしてるのかも。これは推測ですけどね。すーいーそーくー。
あとこれは良太郎と侑斗のことで、気がついたこと。
良太郎は侑斗に、人々の記憶と引き変えにゼロノスの変身カードを手に入れることを責めてるようだったけど、そんなこと、良太郎に言われるまでもなく侑斗は判ってるはずなんだよね。
大体良太郎がこれまでで知った、「人の記憶で時間が出来てる」とか、「記憶が存在に関わる大事なことだ」というのは侑斗はすでに知ってることであって、良太郎は経験からそれを学んだばかりでしかない。しかもそのことで心を痛めることはあっても、今のところ侑斗のようにリスクを背負っているわけではないんだよね。
それなのに侑斗を責めるのは、言ってしまえば無神経にもほどがあるってことで、侑斗が「何も知らない癖に」とイラつくのは判らんでもないなあと、今回は思ったよ。（侑斗のリアクションはイマジンが出たせいで描かれなかったけど。表情も判らないし･･･）
一応良太郎の気持ちで考えると、侑斗はともかく桜井さんの存在に関わる記憶を使ってるということで良太郎は怒って責めてるんだと思うんだけど、それはまだ良太郎は侑斗のことを微妙に認めてないってことなのかも。だから「自分が知ってる桜井さん」の損得に関わることだから、侑斗を責めるわけだよね。
侑斗からしたらそれこそ今のところ良太郎には関係のない、もしくは言うことが出来ない事情があるだろうということは、ゼロノスのカードの存在理由の重大性を考えても判ると思うんだけどさ。
だからそのリスクを判っていながら、それでもゼロノスに変身しなければいけない侑斗の理由とその気持ちは一体いかばかりか？それが本当に取り返しのつかない大事なこと、大事な記憶を使っているってことは、良太郎よりも侑斗の方がもっとはっきりと認識してるはずで、いくら説明してくれないからといっても、良太郎、それはないんじゃないの？と思うんだ。少なくとも侑斗の力になりたいのなら、そんな責めるようなことを言わなくても･･･と思うんだよねー。
