そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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あしたの、喜多善男#11(終)

あしたの、喜多善男〜世界一不運な男の、奇跡の11日間〜」http://www.ktv.co.jp/yoshio/index.html
何だかキレイに終わって満足。見ごたえもあった。収まるところに収まったなあ。喜多さんが死ななくてよかったよ。死ぬとも思ってなかったけど。
社長を殺したのはやっぱり森脇だったってことか。森脇のやり方もあれだけど、喜多さんに保険金をかけて殺そうとしてたみずほと平太がいつの間にか喜多さんを助けたいということで協力しようとしてることに、「面白いことになってるなー」というのがちょっとおかしかったな。杉本からしたら意外であり当然ってことなんだろうけど、そういやおかしいな。事実は小説より奇なりか?ドラマだけど(笑)で、やっぱり発信機かw

社長殺しは森脇が仕組んだってことで、みずほは無罪。最後の森脇、悪すぎる(笑)要、まさにGJ!
そのみずほが喜多さんのことを認めるところ。
喜多さんが三波に言われてネガティブを認めたように、みずほもやっとカウンセラーに言われて自分の問題点を見つめることが出来たと。そうだよね、よく考えたらみずほには喜多さんを嫌う理由ってないんだよね。じゃあなぜあんなにも喜多さんを嫌うのかというと、自分のやってることが悪いことだって自覚してるのにまるでいいことをしたかのように感謝されるってのは、そもそもが悪い人間でなければ自分を正当化するためには相手を嫌いにならなければ生きてはいけない‥‥のは当然か。これってある意味「ネガティブ善男」の存在と同じってことで、みずほは「喜多善男を嫌いな自分」を作り上げちゃったんだよね。
この元夫婦の騙す方と騙される方は、騙す方がそのネガティブさの矛先を相手に向けていたのに対し、騙される方はそれを自分に向けていただけで、結局結婚してから11年間、同じことをやってたと考えていいんだよね。心理学者の三波さんは自分でそれが解ってたから事故をいい事にさっさとそういう縛りから逃れて別人として生きてたからいいけど、みずほはずっとそれに縛られたままだったってのは気の毒だよ。酷いな三波さん〜
喜多さんはネガティブを受け入れたときに、やっぱりずっとそうして生きてきた自分を憎んで、壊そう→自殺と思ったけど、みずほは自分のそのネガティブな気持ちを認めたことで、喜多さん本人を嫌いなわけではなかったことを思い出したんだよな。喜多さんを死なせないことは自分を救うことであるってことに気がついたというか。
杉本が言うように、保険金のために喜多さんを利用して殺したかったみずほと平太は、結局最後には喜多さんを救いたいと思った、それは詰まるところ自分を救うことでもあった‥‥のがこの話の落とし所ってことだったか。
 
平太が喜多さんを死なせないと思ったのも、自分が本当は父親のことをどう思ってたか気がついたらだったんだよね。喜多さんを父親と重ねてたにしても、自殺してしまうような弱い人間だから嫌いだったんではなく、自殺してしまったから嫌いだったってのは、似てるようでまったく違うことだもんな。
本当は弱くても何でもいいから生きていて欲しかったのに勝手に死んでしまったから、弱い人間は死んでも仕方ない、そういう弱さが嫌いなんだと自分でも思いこんでたんだけど、本当は単に生きててくれなかったことがイヤだった。みずほが喜多さんを憎んだように、平太は父親の弱さを憎んでたと思い込んでたと。
だから喜多さんが死ぬのを止めることは、平太自身も救うことになる。そういう弱い人間も生きてていんだと、この世界のいろんなことを許せる自分がいると言うことが、人にとっての救いであるってことなのかなぁ。
喜多さんは死ぬつもりで生きていた11日間で思わぬ真実や絶望を知ってしまったけど、それでも死ぬつもりだった喜多さんが思いとどまったのは、本気で引き止めてくれる誰かがいたってことだし、自分が必要とされてるってこと、つまりは「ひとりじゃない」ことだった。誰かに必要とされることで生きていくことが出来る弱さでも良いんじゃないかと、知ることが出来たからか。
金が欲しかった平太が自殺したかった喜多さんと出会ったのは「運命だ」といったけど、この二人が出会わなかったらこのドラマの登場人物はみんな本当のことに気がつかないままに、人知れず喜多さんは自殺してたんだよね。何も変わらないまま。こういう結果になったのは確かに「奇跡」だよなー。
みずほと喜多さんの無言の見つめ合いもよかったな。お互い許すことが出来たっていう了解でそれぞれ別の道を歩いてく二人に続いて、平太と別れると言うリカ。平太が別れを言い出すんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたけど、言い出したのはリカだったか。そうだよな、平太は優しいから許すけど、リカにしたらそんな状態ではもう付き合えないもんな。たぶんみずほと同じことになるから。
最後が明日に希望を抱いて生きる喜多さんの本当の笑顔で終わって、ホント安心したよ。よかったよかった。
 
EDがいままでの名場面集だったけど、そういや喜多さんが殺し屋以外で死にそうになってたのって、結局ホントに偶然だったってことか?えと、単に保険金殺人を臭わせた引っかけだったのかー!ちょっとしてやられたけど、あれが喜多さんの「普通」だってことも言えるわけで、それは確かに運が悪い人間ってことだよなぁ。
最後の提供バックがカレーで「やっぱり美味いなぁ」で締めてるのもよかったー(笑)EDの締めが喜多さんと肩を組む平太だし、本編の最後は笑う喜多さんだし、なんかホントいい最終回だった。
みずほに2億残しても何の問題もない杉本はカッコいいな(笑)杉本と与田はの二人は、なんかスピンアウトが出来そうだなー。「逃亡者」に対する「追跡者」みたいなものでSPか何かやればいいのに。
途中演出のテンションがあまりに違うからちょっとガッカリしたけど、通してみれば脚本はずっとこの世界のいろんなことを許して愛していこうっていう優しさに満ちてたのがよかった。ちょっと飯田譲二を見直したかな。やっぱりサントラのライナーノートの詩を読むべきだと思うよ。
キャストも小西真奈美がちと力不足だったってくらいで、ホントに見ごたえのあるドラマだったー。