そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

インセプション(IMAX)

http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/mainsite/

監督・脚本:クリストファー・ノーラン
川崎のスクリーンがでっかいIMAXシネマで。早く新宿あたりにIMAXシネマができんもんかなあ!
IMAXで見たお陰で映像も音楽(ハンス・ジマー!)も非常にスバらしく堪能したよ。IMAXオススメw
とにかく映像のイメージとアイデアがすごすぎる。ストーリーというか映画としては相当ゴリ押しな感じもあるけど、終盤の展開とかあまりに圧倒的すぎてそういうところをつつく気にもならん。面白いかどうかでいうと人によって受け止め方違うかもなあ。オレもどう受け止めていいんかわからんよ。この監督の他の映画みたいに、何度も見るたびになんか発見があるのか、もっと深い意味があるのかないのか、それもまだちょっとよくわからん。ストーリー的には意外と単純な気もするけど、尺の関係かかなり削ったところが(特に設定の説明部分とか)あるような気がするから、見れるものならDC版で見たいなあ。
でもって渡辺謙がこういう役で出てるということには、日本人としてすごく誇らしいと素直に思ったよ。ケン・ワタナベはカッコいい日本人としてハリウッドでもっと活躍して欲しい!
そういや相方の両親もナベケンが出てるからってことでみたいって言ってたらしいんだけど、そういう世代の人達はこれどう思うのかなあ?理解できるんだろか?SF的なとこはともかく、主人公の感情部分は、まあわかるとは思うけど。
映像を堪能するって意味でもう一回くらい見てもいいかもという気はする。話とか設定はそんなに複雑でも難しくもないから、一度わかっちゃえばたぶん問題ないと思うんだけど、あの映像とその見せ方・発想はひたすらスゴイ。
スゴイ映像としては予告で見せてるものがそのまんまなんだけど、この映画のスゴさってそういうところじゃなく、「あの映像を組み合わせたことで見えてくるものがスゴイ」んだよ。
 
てことで以下ネタバレで。
 
この映画にでちょっと戸惑うというか、設定をはっきり説明してないということ含めて見始めてあれ?っと思うのは、宣伝文句的なプロットは「夢のなかでアイデアを具現化させて盗む」だったと思ったのに、この映画でディカプリオ演じる主人公・コブのチームのやってることは「他人の頭の中にアイデアの種を植え付ける任務」だってことなんだよな。
そもそもこの世界のテクノロジーが、産業スパイが「他人の夢を覗いてアイデアを盗む」ことの出来る世界だという前提があって、コブが盗人だっていうのは、そういう意味でのアイデアを盗む産業スパイの仕事をしてるってことなんだけど、そこら辺はっきり説明がない。
そしてコブの目的、サイトー(渡辺謙)からの危険なミッションを引き受ける目的は「妻殺しの容疑でアメリカ政府から追われてる彼の犯罪歴を消して家に帰って子供に会う」なんだよね。
ところが彼には潜在意識に問題があって、それでミッションが危険にさらされる‥‥ってことなんだけど、やっぱりそこの大前提、「夢の共有」については新メンバーのアリアドネに対するミッションのためのテスト程度でしか説明してないから、これまた分かりにくい。「夢を設計する」の意味や、なぜ「過去の記憶で作ることは危険」なのか、最後のオチに関連することだからもうちょっとちゃんと説明してくれても良かったんじゃないかって気はするよ。じゃないとコブの奥さんが死んだ理由、それに対してコブが最悪感を持つ理由の意味もちょっと見えにくい気がするからさ。
でもその夢の共有が、夢を見てる人間が知らない状況を作り出すという意味でミッションが危機的状況に陥るんだから、やっぱりそこら辺はちゃんと説明してほしいなあと思うんだよな。もしかしたらそういう混乱自体、夢特有のものとしての作り手側の確信犯的な演出なのかもしれないけど。
 
とにかく見所は夢のなかに入ってからの、その夢の階層的な描写。
夢の中で夢を見ることができる、それと意識しないまま、つまり夢のなかでは現実と同様の感覚を持つことができて現実と区別がつかない。でもひとつ上の階層で(本当の現実とは限らない)眠り続ける肉体に起こったことは夢のなかの不思議な現実として現れるという、夢特有の不思議描写が見事すぎ。
夢のなかで死ぬことは起きることであり階層をひとつ上がること‥‥なんだけど、現実と同じような夢であるから、その境界線が曖昧で、しかも実際死にかけてるメンバーがいるから死なないとわかってるのにそう思えない妙な緊張感があるし、時間の感覚も階層を潜るごとに早くなっていくから、最後の崩壊までのプロセスでの各階層で起こってることのカットバックでの見せ方が効果的すぎて、畳み掛けるようなテンポと映像の情報量が凄くて、とにかく圧倒されて思考停止する感じ。なのに脳内でなんかでてるような興奮がw
出来るはずのないことをやってるという感覚が、「夢の中だから」ということと「映画だから」ということ、二重の意味で実現されてて、それを見るのがスゴク楽しいというか、なんかいろいろな感覚に訴えてくるところがあって、なんか気持ち良いんだよね。
監督の個人的好み(もともとCGよりライブ撮影の方が好きらしいからロケ撮影が多い)はともかくとして、映画ってやっぱりある程度VFXでなんでも出来るようになっちゃったら、結局またライブな生感覚、つまりロケに戻ってくるんだなあって感じ。「実際やってる」ってことの説得力は、バーチャルでなんでも表現出来るってことを上回る身体感覚があると思うんだけど、この作品の「夢」と「現実」って意味でそれが感じられてくるから面白いというか。夢の中でも現実だという感触があるということの意味が実感出来るというのかなあ、何言ってるか自分でもよく判んなくなってきたけど(^_^;)
 
そしてこのミッションの成否とは別のお話の落しどころ、クライマックスの鍵となる部分は、実はコブのその潜在意識にある罪悪感をいかに克服するかという話であるから、全体のSF設定なお話とは別にちゃんとそういう意味での見ごたえはあるところが、これがただの映像重視のSF映画ではない‥‥ってことにはなってるのかな。
ただそれがストーリー的にどうこうというよりは、オチにとっての重要な意味を持つってことの方が、観終わったあとの後味悪いわけじゃないけどそら恐ろしさ、ブラックなオチとも取れる本当のラストに繋がってて、単純にハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか、あまりにも見る人に委ねすぎって気はするんだけど(苦笑)
どう受け止めてもいいんだろうけど、どこからが夢か?と言われてもわからない、この映画のネタ自体がそういうものであるからそこら辺がオレはすごく怖いなあと思った。自分の現実世界の存在を疑うような怖さ。オレがどっちだと思ったかはあえていいませんが。
あ、でもそういや…(以下更にネタバレ)  …サイトーがあんだけ年取ってるのは、やっぱり「時差」のせいだよな。とすると、冒頭であのシーンがあったことといい、構成的には「本当のこと」でいいのかな?いや、あの状況でコブが戻ってこれないってことはないんだから、やっぱり現実に戻ってはきたんだよな。独楽が回り続けるのか止まるのかは気になるけど、そこは引っかけかw