そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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JIN -仁-完結編#1

http://www.tbs.co.jp/jin-final/
脚本:森下佳子 演出:平川雄一
 
オレ、この間妹んちがJINブームだったらしくてJINの原作が回ってきちゃったから読んじゃったんだよね。まあその話は後回しにして。
今回の初回2時間スペシャルはなんとなくお話的には散漫な感じがしなくもなかったんだけど、とりあえずあの激動の時代に「南方仁」という歴史の異分子についての取り扱いと位置づけについての説明って感じでした。
と言っても単なる説明でもなく、これで一番泣けちゃったのは喜一が安道奈津(あんドーナツ)を栄に食べさせるところで、つまり歴史的に言えば完全に部外者というかこの歴史を変えるかもしれない特異点な存在に対して、子供でもわかるようなその「存在することの意義」を言わせてることであって、それが今回の話のすべてだということかなあ。
本当にこの初回の話で一番重要なのは、西郷隆盛でも坂本龍馬の運命でも仁友堂のことでもなく、そこだと思う。
仁先生がいることによって江戸の町がどう変わったのか、引いては日本がどう変わろうとしているのか?と言うことであって、それは子どもの喜一にすらちゃんとわかってることなんだよね。その時代的にも、メタな意味で視聴者的にも、仁先生がいることで今後歴史がどれだけ変わるのか‥‥というね。まあドラマとしては事前のエクスキューズとも言えるけどw
まあ内容に関してはそれくらいで、あ、重要なのは佐久間象山が未来にタイムスリップした人間だということかな。
未来人の仁先生からしたら(歴史に疎くても)佐久間象山は歴史の大人物であって、自分と佐久間象山を比べることなんておこがましいという話であっても、あの時代においては佐久間象山の価値も(おそらく坂本龍馬も)南方仁と同じであって、百ン十年後の未来から見たらどうなってるかはわからない‥‥という話だと思う。そういうことだよな。
それは象山以外にも、あの時代に先を見据えて歴史を駆け抜けた人物たちはひょっとしたらそういう体験をしていたのかもしれない、だからこそその時代らしからぬ先見性を備えていたのでは?というちょっとした「保証」でもあるわけだよね。
象山がタイムスリップしたのも平成22年みたいだし、かつて仁先生が拾った10円玉はそれ自体がどうこうというより、あの時代が「今」と繋がってるという根拠であることが肝心なんだよね。

原作の細かい話はあんま覚えてないんだけど(というかそんなにすごく面白かったわけではないし納得の最終回というわけでもなかったから)、ドラマのスタッフは多分このドラマなりの仁先生の江戸末期における存在意義を描いてくれると思ってるから、ドラマは楽しく期待します。
初回はとにかくいろんなエピソードを詰め込んで‥‥というより、この幕末の状況を説明してるってことで。
原作にいないはずの未来の扱いと野風の関連、死ぬはずの龍馬とそれを止められない仁先生。とにかく重要なとこが原作とは違ってて、しかもNHK大河の「龍馬伝」あとだからいちおう正史は見たばかりってことで、このドラマがどういう風に展開してどう終わらせるのかは楽しみです。
いや、まあ、終わりは原作通りでいいんだけどw
 
一応今言っとくべきと思って、原作について言っとく。ネタバレです。
 
ついこの間完結したばかりの原作ですが、いろんな謎が解き明かされ‥‥ってことだけど、あれは辻褄はあってるけど論理的にはありえません(苦笑)
結局どういうことかというと、仁先生が手術した、胎児様腫瘍がある包帯男って仁先生自身なんだよね。
そこら辺のパラドックスはどういうことかというと、仁先生は〜→包帯男を手術した→過去にタイムスリップ→江戸時代で医術指南→ひょんな事故から未来に戻り・南方仁に処置される→江戸に戻る‥‥そこから発生したのが別の時間軸(パラレルワールド)で、仁先生と橘咲は結婚して仁友堂を大病院にし寿命を全うする→‥‥んだけど、仁先生の意識だけがこちらの世界(時間軸の現代に戻ってくる‥‥ってことなんだよね。(それでいいよね?)
だから要するに、最初の未来が死んじゃった現代とは違う現代に繋がってしまった(未来は存在してなかった、でも結局野風の子孫と知り合って‥‥という話なんだよね)‥‥というものすごいパラレルワールドSFな終わり方で終わってるのが原作のJINで、SFとしてはOK、だけど普通のドラマ的にはそれをきれいに終わったと言われても‥‥と思わんでもないけどそれはいいや。論理的にはなしでも、辻褄はあってるからいいって話だし〜ってことなんだよね。そこは別に突っ込まないよ、オレは。突っ込む方が野暮。
まあそれを、どれだけ一般の人に分かりやすく描いてくれるのかなあ‥‥というのが今回のドラマに期待するところでもあります。
そういうところは問題じゃなくて、このJINというドラマって、江戸末期の庶民の生活をなんとなくすごくリアルに見せてくれるというところがキモなわけですよ。
夕方にやってた番宣番組をインタのとこだけ見たけど、前作も今作もスタッフがとにかく「笑顔で」って言ってるんだけど、なんとなくこの行き詰まった現代(これを撮ってたときはまだ地震は起こってないと思うけど)って、いろいろ閉塞してる感があったと思うんだけど、そこに状況としては現代より波乱の時代に「今」だけを見て生きてる江戸の庶民の「強さ」というものを描きたいという志を感じる気がするんで、そういう部分ですごく「今見たいドラマ」なんだよね。うん。