そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

「SP」革命篇

http://sp-movie.com/index.html原案・脚本:金城一紀 監督:波多野貴文

 
えーとタイミング完全に外して感想上げそびれてましたが、3月19日に見に行ってました。もともとは12日の公開初日に予約入れてたんだけど、地震で飛んじゃったからね(^_^;)
んで、忘れないようにざっくりと感想は書いてたけど、観終わってあの国会議事堂がセットだと知り今回はパンフ読んでから書くべしと思ってたらひと月も放置状態に‥‥( ´Д`)
てことで今更なんだけど今更感想。
というか、今日2回目観に行ってきやした!どうしても劇場に観に行きたかったの!国会議事堂のセットもセットだとわかった上でじっくり見たかったの!
 
というわけで、1回目見に行ったときの感想+2回目の感想を追記。

 
これ終わってないよねえ?どう見たって話続いてるよねえ?(笑)
いやでも、オレはこれで全然OKです。というかエライ面白かった!国会議事堂を占拠したテロリストたちをたった4人で制圧する警護課はすでにチームダイ・ハード!ありえねーだろ(笑)と言いたいところだが、もう突入の瞬間の映像とか(CMでも使ってたスーパースローのやつ)まじカッコ良かった!
映像は無理でも、ひょっとしたら金城一紀が小説で書いたりするかもしれないけど、続きなくても全然平気。むしろ無くてもいい。そんなにはまり込んで入れ込んでないからかもしれないけど、展開としてこれで終わってないのは当然といえば当然だし、想像できる余地はあるから十分楽しめるかな。余韻を残した終わり方、(・∀・)イイ!!
あまりにもネタバレになるので隠しときます。(←もうネタバレな時期じゃないから隠さないw)
そしてこれ、やっぱりこないだのTVスペシャル見てないと、あれあれ〜?ってとこあるんだよな。
なくても何がどうなったのかはわかる、というかちゃんと現状は理解できる、この話自体がそういう作りになってるんだけど、やっぱり見たほうが面白いと思う。公安の田中一郎が誰のせいで(こいつと井上が戦うんだし)どうして死にそうな目に遭ったのかってのと、尾形が井上たちに止めて欲しかった云々のちょっとした小細工、警護課理事官・梶山の不穏な動き辺りが頭に入ってるかどうかは大きいと思うなあ。
 
ところで、オレは警護課のメンツは誰も死なないだろうと思ってたから安心して見てたんだけど、それでも尾形くらいは死ぬかなあとは思ってたんだよね。いやーまさか死なないとはねえ。
というか、終わったあとトイレ列に並んでたときに(これは一回目、新宿ピカデリーで見た時ね)若いお嬢さんが話してるの聞いてたらやっぱり終わってないじゃんって言ってて、しかも「これ、この後「SP」裁判篇とかやるんじゃないの?」とか言っててちょっと面白かった(笑)
てかさ、この「SP」ってやつ、TVシリーズ自体、この野望篇&革命篇の前振りでしかないよね?
しかも、というかだって伊達が!この映画の最大の秘密の一番の引っ掛けは、野望篇からの新キャラ・伊達、つまり香川照之が、どう見ても尾形の堤真一より年が上に見えるってことじゃないかと思うぞ?香川さんって堤より一つ下じゃん。まあたかが1歳だけどさ。そこは非常に重要だよ。マジでまさかのどんでん返し。
というか香川さん老け役多いからなんとなく結構な歳な気がしてたけどそうでもないよな。堤真一がいくつなのかは知ってたけどさ(相方と同い年だから)いやそれにしても、それはねえな。映画館の中でなければ「えーーーっ!!!そんなまさか!?」って叫んでるとこ(笑)
そのネタバレ知った2回目だけど、知っててもこの展開とか演出が上手くて、やっぱり面白かった!
2回目ちょっと寝不足気味で行ったし話わかってるからなんとなく前半ちょっとウトウトしそうになって一生懸命我慢してたんだけど、議事堂突入以降はもう目まんまる状態で見てたよ。何度見てもこの突入シーン、面白いなあ。
パンフのインタ読んだ後だったから細かいところも気をつけて見たし、そういうアクションの流れや突入の瞬間のチーム警護課な感じがカッコよすぎる!
でもやっぱりあそこは尾形の「大義」の結末と伊達の目指すものの違いかな。それを知ったときの尾形の落胆の表情とか、本当に堤真一グッジョブすぎる!まさに「何を言ってるんだ…?」な表情ドンピシャw
そこで尾形の行動の背景やこの革命の顛末やら、いろんな想いが重なってるのが集約してて、ごく濃いシーンになってるんだよなー。まさに尾形という男のすべてがそこに!だよな。いやー、こういう話、好きだなあ。
それぞれのキャラの行動の背景や繋がり、何がどうしてそうなってるって言うのは、たぶんある程度設定はあるんだろうけど、それをスパッと今回の革命篇で潔く終わらしてるってのがいいね。本当にドラマシリーズは単なる警護課という「キャラクター」を紹介するためだけのものだよな。うんこれ、TVシリーズとかじゃなく映画の野望篇・革命前日・革命篇でできたのは作品的にはよかったよな。お金もかけられたし。
というか「革命前日」ってたぶん重要なのは尾形の過去を公安の田中が探りに行くとこだよね。それだけじゃアピールが弱いから警護課メンツの休日ネタ入れてるんだよね?(笑)
その元々の「尾形総一郎」はどうしたんだ‥‥ってのはあるんだけど、この話って考えれば考えるほど深くなっていくよなあ。今回尾形が死ななかったことで余計に。
 
突っ込んで語ってもあれだからさくっと書いとくけど、野望篇の時に尾形の「大義」とか何を「革命」しようとしてるのかわからない(革命編が楽しみって意味でね)って書いたんだけど、まさかそうくるかーって感じだよ。
つまるところ、尾形って父親を死に追いやった麻田憎しでそもそもがちょっと狂気入ってたってことだよね。狂気というか、一見まともそうでロジカルだけど、実際にやってることはそうじゃない。
父親の意思の原因を憎むあまり、その原因である政治家汚職を一掃するという思想に取りつかれてるという意味で狂ってるんだよ。
しかもそれはある人々にとっては「正しい」、つまり「正義」だからその革命は尾形の「大義」になったけど、実際まともに考えたらその大義は正しいけど、方法論としては正義じゃないよね。でもそれを正義だということで、いかにも正統なことをしているような行動のモチベーションにはなるという。
ただ協力したSPたちはそうだけど、実行犯のテロリストたちは単なるテロリストだった‥‥ってのがな。
伊達の方はまあなにか思うところあってああなったんだろうけど、志は同じだけど尾形の内にこもった狂気の憎しみと違って、外に向いてたんだよなー。その結果が実兄を犠牲にしてでもトップに昇りつめようとする権力志向、ただそれも今回は突っ込んでないだけで、彼の「大儀」なんだよな。尾形とは違う方向の。
それが全部いっぺんに出てきて尾形の行動を納得できたのがあの議会のシーンで、今まで小出しにしてた尾形の回想シーンの全貌で伊達が弟だとわかり、尾形の麻田追求に涙するんだけど、結局本当のシナリオを発動させるという、なんかものすごいシーン。というかやっぱり香川照之すげー。下手したらあの涙だって、そういう過去に決別の涙かもしれないし。
あとまあ、警護課の梶山を殺した(よな?)あの幹部のポジションとか、掃除屋のリバプールクリーニングは本当はどこが仕切ってるんだとか、尾形が「尾形総一郎」に成り代わることができた後ろ盾とか、いろいろ明かされてないことは沢山あるけど、政治の話だとそれ以上突っ込んでも‥‥っていうのがあるから、あれでいいと思えるのかな。うん。
公安の田中と室伏さんが雄翔会メンバーの若手官僚のとこ行ったらお掃除屋さんが片付けた直後で、あの爆発を見ても室伏さんの「めんどくせぇなぁ〜」がよかった。金城さんのお気に入り公安コンビはいい味だしてるよなあ(笑)
そういや野望篇では大活躍だった井上の共感能力は今回は殆ど使ってなかったけど、それがなんとくこの話をありかなとも思わせるし、最後の井上のショットがちょうど影と日向の境目、ぎりぎり日向側、だけど画面的には頭の方は影に入ってる‥‥っていうのも、含みがあってよかった。
あーなんかそうなるとちょっと続きが知りたい気もするけどさ。井上がどうなるのか‥‥って意味では興味あるな。尾形はまああれでいいし、伊達はどうせ上まで上り詰めるんだろうけど。
 
あと思ったんだけど、この作品の岡田くんのアクションって士郎正宗のアクションに似てるかも?と思ったよ。
動きというか、格闘の動きを立体的に見て、その流れの組み立てとかが、実写っていうよりよくできたマンガのアクション表現みたいだというか。何が起こってるのか、画面の構成と流れが格闘の動きに沿ってるから、すごくわかりやすいんだよね。
そういう意味で士郎正宗の、まあ最近のは知らないからアップルシードとかそこら辺のだけど、見せ方が似てるなあと思ったんだけどな。上手いよなあ。
岡田くんがマンガみたいに動けること前提で、しかもアイドルだから画面を通して魅せる動きもちゃんとわかってる、それゆえの画面構成というか、岡田くんがアクション指導してるからそこら辺わかっててってことなんだろうけど、波多野監督の演出的な文脈とも上手く噛み合ってて、アクションがすごく見ごたえあるんだろうなあ。
まあとにかく、アクション主体なのにそれだけじゃなく、いろんな人間関係や確執や野望が上手く絡んでて、井上が特殊な能力を持ってるってこともなんとなく納得出来ちゃうし、部分的には荒唐無稽なところがあるのに全容自体は全部明かさなかったことでよりリアルな感触で終わったというか、面白かったです。
ホントに出来る限りこのレベルで邦画が作れればなあ。ハリウッドの文脈とは違う、なんか日本独特の作品って気はする。5年に一度くらいこういうのやって欲しいな。こればかりはフジテレビよくやったー!って感じ。
なんかまとまってないけどいいやw あー面白かったー終わっちゃってもったいないな。これ以上続編作んなくていいけど、井上の話はあれば読みたいかなー?