そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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SUPER8/スーパーエイト

http://www.super8-movie.jp/
監督・脚本:J・J・エイブラムス 制作:スティーヴン・スピルバーグ

 
普通に面白くて、普通に良い話だった!
巷のウワサどおり、「E.T.」とか「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じ?ジュブナイルって風じゃない、どちらかというとパニック映画っぽいけど。
一応それと、8ミリカメラで映画をとってた監督たちの少年時代をダブらせてる‥‥ってくらいだけ、事前に耳にはいってたかな。
でも制作にスピルバーグが入ってるせいか、ことさら感動作って言われてるような気はするよ?いい話ではあるんだけど、
E.T.みたいな宇宙から来たモンスターと子供たちの心温まる交流ではなく、宇宙人ネタさえなきゃ普通に主人公のジョーの初恋物語じゃないかなと思うし、それでも全然問題なしって感じ?
まあただ、オレ「E.T.」って別にそんな好きな映画じゃないからあんまりそれと比べるのもどうかなってとこで。スピルバーグの作品はスピルバーグ・マジックがあるから、普通に面白いし感動できるし泣けるけどな。そしてこれのモンスター、たぶん今E.T.作ったらこの漢字でもうちょっとだけキモカワイイくらいになってたような気がするけど(笑)E.T.と友達とか、考えられねえw
ああでも、子供たちの映画製作ネタだと思えば完全日常話ネタでなく、こういうSFとかファンタジー的なドキドキワクワクは必要か。
隠さないけど一応ネタバレで。とりあえずイマイチな話から。
 
面白いんだけど結局この映画の本筋ってジョーとアリスの初恋の話だし、そこにジョーの母親の死が絡んできて障害になってるって話だけど、さらに宇宙人ネタも同じくらいに状況に絡んでくるんで、正直、町民全員が避難するまでの前半は長くてちょっと冗長かなとは思う。
ジョーの母親の死んだ話と学校のウッドワード先生と列車爆発はずっと並行して謎として引っ張ってるけど、基本謎解き話じゃないからやたら長く感じるんだよね。なんだろ、どっちの話として見ていいかわからないって感じかなあ。犬のこととか謎の窃盗の話とか行方不明者の話としても、謎解きをするためのネタじゃないんだよね。だから話としてはまとまってるけど、内容的なことではちょっと取っ散らかってるよね。
そして街中の大戦争状態がそもそも相当ウヤムヤな展開、ただの盛り上げ展開だからあんま意味ないし、画面と状況的に単なる賑やかしなんだよね。宇宙人とウッドワード先生の過去の謎と、ジョーの母親が死んだこととアリスの父親のことが明らかになる、普通ならしんみりするシーンを映画的に派手に演出してるという感じか。

ジョーが母親を理不尽な事故で亡くしたからこそのそれに納得できない心の傷とか、アリスの父親の後悔とかが、この大惨事&モンスター騒動のいつもと違う状況だからこそ、それを癒したり和解したり、自分の気持ちを自分の言葉で相手にちゃんと伝えることの大切さ、本当にそう思ってればそれは伝わるという癒しの物語ってことかなあ。
まあどっちにしてもあの宇宙モンスターは知能が高いと言いつつ人間食ったりしてるけどな。してるよな?
でもまあ人間が憎いと言っても触れ合ってお互いの気持が伝わるんだから、最終的にウッドワード先生のやったこと、自分は宇宙船を直して帰りたかっただけだということを理解して協力しようとした人間もいた‥‥ってことはジョーを通じて伝わってると思いたいけど。(どうなんだ?)
まあこれ、普通にすごくメタファーとして空軍=白人で、宇宙人はそれ以外の蛮族ってことだろうと思ったんだけど‥‥どうなんだろ?(相方にはそんなこともないだろって言われたけど)
どんなに知能が高くても白人でないものは弾圧して搾取していいという白人主義の論理か?ネレク大佐の私物化はまた別の意味で許されないことだと思うけど、軍そのもの=アメリカとしてないだけそこら辺の批判は控えめってことか?ウッドワード先生が黒人キャストだっていうのは狙ってだろうしw
時期的にはスリーマイル島事故のことニュースでやってるしラブ&ピースなダメな大人もチラホラいるから70年代後半(あ、1979年みたいね)で、エリア51とか絡んだそういうネタだよね。ソ連の陰謀とか…(^_^;)(←実際にあったエリア51絡みらしき列車事故もネタ元らしいけど)
街並みが昔っぽいわりにあんまりそういう雰囲気はあるようなないようなって感じで、エリア51ネタとスピルバーグ映画へのオマージュがなければ、普通に現代の話でもよかったんじゃないかなあと思うくらい。まあそんなとこかな?
 
話とか雰囲気はすごく70年代のスピルバーグ映画っぽいんだけど、そこら辺はちゃんとエイブラムス監督の映画にはなってた。取っ散らかってはいたけど基本的にこの監督の映画は好きだなあ。
エイブラムス映画の特徴って劇的なエモーショナル性だと思うんだけど、人間の誰もが持ってるちょっとした心の動きを、ストーリー展開と絡めて劇的に見せるのが上手いって感じで、泣かせとか感動というよりなんか「心が動く感じ」がいいんだよね。しかもその合間にいい感じにクスッと笑える部分が入ってて、常に展開に緩急がついてシリアス一辺倒じゃないとこがいいんだよな。
そして、ジョーが母親を亡くしたばかりの傷ついた男の子から、アリスのことが好きになってだんだんしっかりしていくところはよかったな。
最後のあの形見のネックレスを手放した理由は明確にはわからないんだけど、宇宙人に言ってたことって宇宙人自体の境遇とはあまり関係ない話だったから、たぶん自分の気持ちなんだろうね。仲間と映画を作ったり毎日それなり楽しいしいんだけど、お父さんも忙しいし形見のネックレスを心の拠り所にしなきゃいけないくらいには孤独だったってこと?
でも気持ちが分かり合える彼女ができて、自分はひとりじゃない、これからも生きていかなきゃと思ったことで自立したってことかなあ。
そういう意味では成長だけど、明確に乗り越えなきゃいけなかった何かがあるわけでもないんだよな。そこら辺がちょっとナイーブすぎて分かりづらかったってのもある。
逆によくわかるのはアリスのお父さんルイスの話かな。時間が解決する問題かもしれないけど、ジョーとアリスが犠牲になることがないうちに解決して良かった。あのルイスの後悔や赦しを願う気持ち、あれはなんとなく泣ける。彼がちゃんと謝ることができて良かったし、ジャックの方もちゃんとあれは事故だったと受け入れることが出来てよかった。あれはこの事件での彼の行動が終始理性的で行動的だったからこそって気はするけど、そういう心の見せ方が上手いなあと思うかなあ。
ちょっとメンドクサクなってきたんであと2,3。
すごく上手いと思ったのは冒頭の製鉄所のシーン。製鉄所内の無事故748日目(だっけ、うろ)の表示を「1」にするとこから、主人公のジョーが悲しげに家の外でぼんやりしてる葬儀パーティ(しかも雪の日)に移るとこ。よくある手ではあるけど、エイブラムス監督は使いどころと見せ方がすごく上手いなあと。それだけでクドクド説明しなくても何があったのかハッキリわかるんだよな。ただてっきりお父さんだと思ってたら亡くなったのはお母さんだったってのは意外だった。そこは最後まで語られなかったけど一体潰されるようなとこで何してたんだろうとは思ったかなー。
まあその葬儀でゾンビ映画の話をするチャールズたちもどうかと思うけどw
あと列車脱線爆発事故が延々と続くのがスゴイ。よく無事だったなー、あれ(苦笑)
見てる方も「まだ続くんだ?」と思うんだけど、あれ当事者だとまさに永遠の一秒的な体感映像なのかなと。あんまりすごすぎてどうやってあのシーン撮ったのかまったくわかんないんだけど、クローバー・フィールド的な手法かなあ?
んで、クロフィーと同じく、モンスターはハッキリと姿が見えなくて不気味なんだけど、それがちゃんと見えるのがクロフィーと同じく最後の捕まった瞬間で、だけどそこにジョーの涙の訴えを持ってくるという隙の無さ?
ラスト、モンスターはグロいけど修復された宇宙船は美しくて、でもそこに駆けつけたジャックたちはそれも目に入らないくらいジョーの心配をしてるってのもよかった。宇宙船は美しかったな。でも何で給水塔だったんだろ?
全体に普通の映像を撮ってても、エイブラムス監督の映像ってなんか映ってるものがちょっと違うというか、見てるものが違う感じがする映像だなあと思ったんだけど、そこら辺はやっぱりセンスなのかあ。そこでそういう撮り方するんだ?って感じというか。いろいろ目新しいと思ったかな。
そして最後のオチが!(笑)感動的に終わっといてエンドクレジットが流れ始めたと思ったら、チャールズたちの撮った自主制作映画が!(爆笑)
それ見ながらなんとなく本編のことを思い出しつつ(フィルム没収されなくてよかったなあw)、爆破される列車模型のちゃちさとか、あーこうなったのねーw的に笑っちゃうんだけど、オチもゾンビ映画っぽいんだよな(笑)
感動が台無し!(笑)というより、すごく映画好きな人の作った映画だなあと微笑ましい気分になりました。こういうとこが好きかも(笑)