そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

リアル・スティール

http://disney-studio.jp/movies/realsteel/
監督:ショーン・レヴィ 脚本:ジョン・ゲイティンズ

 
やっと観たー!噂通り、大変に面白かったです!大満足。
チャーリーのヒュー・ジャックマンはダメ人間というのはカッコよすぎるし、マックスのダコタ・ゴヨは小生意気なとこも子どもっぽいとこも何もかも可愛すぎる!
そしてやはり巷で言われてるように原作がどうであれ、どっからどう見ても「プラレス3四郎」+「あしたのジョー」的なロボットボクシング映画でした(笑)
ATOMって名前はともかく、なんでか日本ネタも随分たくさんあったけど、ゼウスの開発者のどう見ても韓国系の人が日本人だと言いはるのはどうかとw そしてWRBのスタジアムの入口に立ってるのはガンダムだと思うの。アンテナないだけでw あとどうでもいいけど白木葉子ポジションのゼウスのオーナー、ファラ・レンコヴァ(オルガ・フォンダ)って伊東美咲に似てる気がするよ!w
  
それにしてもロボットがスゴイというかあれってCGなの?アニマトロニクスも使ってるだろうけど、もう既に本物と見分けつかないよ。本当にあんなに動ける二足歩行ロボットがいるみたいだよ!スゲェ!日本が開発基盤って、HONDAなの?ASIMOなの?(笑)
そして泣けた。なんかわかんないツボで結構泣けた。たぶん話が良く出来てるからってのもあるけど、感動したーというよりはとにかく面白かったって感じ。だって話そのものがちゃんと感情移入できるように良く出来てるしなあ。そしてとても面白かった!すべての展開においてコーフン!試合シーンは特に大コーフン!思わず叫び声上げそうなくらいに!
逆に親子の和解とか下克上的な勝利の快感って「感動する」っていうようなことじゃないよね。そういう風に作られたお話だから‥‥とか思っちゃうのはオレがひねくれてるからかなあ?だってスピルバーグが大得意とするような鉄板展開じゃん(笑)もちろん面白いんだけど!
いやチャーリーとマックスのコンビはいいよ、とてもいい。でもあれって、親子でも親子じゃなくてもいい関係だと思うんだよね。あえていえば、マックスという息子がいきなり現れたことでチャーリーがちゃんと大人になった‥‥ってことなわけで、そこは「よかったね」って話なんだけどね。
まあこれって結局「バーチャルは確かに優れているけど、結局はアナログだよね」なんだよな。チャーリーとマックスの親子関係もそうだけど。親権よりも血でしょ、ってことじゃん。でも社会的な約束は守らないとっていうね。
バーチャルなロボットボクシングを良いものだとしながらも(しかもその成立理由は「人々がより過激なものを求めた結果、生身じゃなくロボットが壊される破壊の快感を選んだから」という決して褒められるような理由でないってことも含めて)、でもやっぱり生身の経験には敵わないという肉体回帰的なメッセージだったりするところがソツがないなあと(笑)
大体チャーリーがロボットボクシングで勝てないのは、代理物であるロボットを戦わせるということに気を取られて自分の体験を生かさないからだよな。そこら辺の描写もとてもわかりやすいし。(でもその背景については説明なしw)
だからもちろんゲームをやるようなイマドキの子供でオタクな息子のマックスが戦術や戦法を提示しても耳を貸さなくて、自分のやり方に固執する大人かと思いきや(でもまあそれで自分の買ったロボットが壊されても自己責任だしな)、マックスが思ったより頑固で賢かったゆえ、その「結果」が出れば意見は聞くし、決して年少の意見をないがしろにしない対等な関係で、さらに勝つためのアドバイスは的確だから、アトムの人気と活躍があったという話で。
子供に足りないのは体験や経験からの予想で、それは当たり前なんだけど、ボクシングにおけるショーアップとキャラ付けの必要性とか、アトムにシャドー機能がついていたからこその肉体的パフォーマンスをそのまま再現できたことといい、イイトコどりの展開には思わず「そんなアホな!(笑)」と思ったとこは結構あるんだけど、それが問題にならないような展開の上手さがあるんだもん。
 
設定はパンフ見たらそれなりあるみたいだけど、少なくとも映画の中では細かいとこはほとんど説明ないし、そもそも現役ボクサーだったチャーリーがホンの10数年でロボットボクシングに移行するってこと、ジムがメンテ工場みたいになってるってこと、人間のボクシングがすっかり廃れてること(他の格闘技もそうなんだろか?)とかいろいろ考えたらありえないことが多すぎるんだけど、絶妙なとこで納得できるし、むしろそれくらいの突っ込まなさがストーリー自体の流れを邪魔しなくて、ちゃんとあの親子の行動だけに目が行くようになってるってのも計算されつくしてる感じかなあ。
あとはチャンピオンであるゼウス側は判定勝ちだけど、最後は試合に勝って勝負に負けた状態だとか、マックスの親権は叔母夫婦にあるけど最終的には理解してくれててチャーリーとマックスの親子の絆は継続という、絶妙なとこでいろいろ「問題ない」状況を作り出してるってのが今的なのかなあ(苦笑)
チャーリーが思ったより公平な人間(ダメ人間だけど人としてはまとも)ってのもそうなんだけどさ。
最初こそマックスに対して他人扱いだけど、マックスが拾ったロボットはマックスのもので、稼いだお金も彼のもの。常に対等な取り決めで、親子だからというよりは他人だからこそ(ずっと放置してた上に、会った最初から親権も放棄してる)なあなあの状態にならないんじゃないかと思ったり。というかマックスはもっとチャーリーを恨んでもいいと思うんだけど、そうじゃないのは彼が賢いからか?(^_^;)
まあその辺がこの作品を「見やすくしてる」ってのはあると思うかな。毒はないよね、なくていいっつか必要ないけど(笑)
とにかくチャーリーはダメな大人だけどそれを自覚してるからちゃんと自己改革ができて、小生意気なガキのマックスはちゃんと子供らしく怖いもの知らずの万能感があってしかも可愛げがあるのがいい。
 
なんだかんだ言ってもベイリー(エヴァンジェリン・リリー)もチャーリーのことは見捨ててないし、まあその辺で若干思ったのは、チャーリーとベイリーの現在の関係、恋人同士なのかどうかとか、チャーリーが奥さんと別れた理由に全く言及しないとこととか、不自然なくらい性的な関係性は排除してるってことなんだよな。だから何となく全体的にファンタジー的な雰囲気が強く出てて、たまたま拾った命の恩人ロボがちゃんと問題なく動くこととか、それが現役で使えるとかってことに疑問を持つ余地がないしすべてが丸く収まる状況にご都合主義だと思わない何かがあるのは確かかなあ。
それどころかアトムに自我があるかのようなとこもあるしね。マックスがたまたま腕に引っかかったとか、ひょっとして喋れるかもとか、鏡を見てなにか考えてるような描写とか、もしかしたら意志があるかもしれないと思わせることで、この奇跡を成り立たせてるってのはあるよね。
というか本当にもう単純に面白いし興奮するんだよ、この話。
ボクシングシーン、練習やダンスのシーンも含めて体感的な心地よさとかがすごく計算されてて、ストーリーの熱血さとその演出や展開のテンポの良さがドンピシャすぎるし、登場人物同士のやり取りが気が利いてて、そういうのひっくるめてとても良かった。
あとダニー•エルフマンの音楽が良かった!ちょっとサントラ欲しいなーと思ったくらい。
 
チャーリーがいいのはマックスが廃品置き場でアトムを見つけて掘り起こそうというのを断って手伝わないことで(アイツ酷いよw)、マックスがカワイイのはひとりで掘り起こしたアトムをやっとトラックに運んできたときにチャーリーに殴りかかるとこだよ。それを遠景の音無し演出で映す監督は気が利きすぎてるよ(笑)疲れきってトラックの窓でうとうとするマックスもカワイイし(笑)
まあ結局、チャーリーってギリギリ大人ではあるんだけど親じゃないんだよね。
なんか、どんな大人でも子供という存在がいないと「親」にはならないんだなあーと何となく思ったかな。それがたった2か月であっても、血が繋がった息子と一緒に過ごすってだけでいろんなものをすっ飛ばして最終的には親として大人になるもんなのかなーと。
大事なのは子供と暮らして親らしくなるってことじゃなく、親だと自覚することで大人になるってことかなと。責任感の問題?
親が必ずしも保護者的な意味で子供の面倒みなきゃいけないとは限らない、親には親の事情もあるんじゃないかなあ‥‥とかいうと、普通の一般的な親をやってる人には顰蹙かしら?でもそれも人それじぞれの事情ありってことで、そこら辺にまで目配せしてるのが何となくアメリカ的って気がしなくもないなと思ったり。それこそ当たり前のことが普通じゃない人もいるんだってことかと。こういうのって、親権の描写云々もだけど、多分特殊な事情ってわけでもないんだろなー。子供にとって親がいることが楽しいとか、親のことを本当の意味で尊敬できるかどうかってことが重要なんだろうなーと思う映画だったよ。
DreamWorks&Disneyっぽい、ソツなく完璧に面白い映画だった。超オススメ!