そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ダークナイト ライジング(IMAX)

http://wwws.warnerbros.co.jp/batman3/

監督:クリストファー・ノーラン 脚本:ジョナサン・ノーランクリストファー・ノーラン
 
とにかくカッコよい、壮絶な映像満載の映画だったー。IMAXで見たので迫力も満点!IMAXサイコー!(3Dではないよ)
話はイマイチわかりにくいというか、2作目の続きだけどやってることは違うことだから「何の話なのか」ってのが根本的にわかってないと理解しづらいのかもしれない気はする。まあ世間的に「バットマン」の物語がどの程度、どういうふうに理解されてるのかってのはわかりませんが、それでも今回は、お話はわかってもストーリー(脚本)自体はわかりづらいと思う。
あとアクション、映像的には物凄いんだけど相変わらず画面的に何やってるのかわかんないところありすぎて、ホントこの人はアクションの見せ方はヘタだなあと思った(笑)ただそれを物ともしない物量作戦が圧倒的すぎて、そこはどうでも良くなるんだけどw だって絵面がカッコイイんだもん。
邦題は「ダークナイト ライジング」だけど原題は「The Dark Knight Rises」。「ライジング/Rising」だと「立ち上がる」とか「蜂起する」「復活する」って意味になるけど、原題の「Rises」は、相方が言うには複数形ってことでなく、「不変のもの」「そういうものであるということ」という意味らしい。つまり「バットマンダークナイトとはそういうものである」ってことか?
ジョーカーとの戦いで半隠居生活をしてたブルースがバットマンとして再び立ち上がる、ベインに一度負けたブルースが復活するという内容としては邦題の「ライジング」でも間違ってないんだけど、あの結末や「BATMAN」が闇の騎士で自警団だってことを考えると、原題の「Rises」のほうが合ってるし、カッコイイと思うなあと思った次第。
あと2作目を見てないと何でこうなってるのかはわかんないけど話がわからないわけじゃない、でも設定的な話ではビギンズを見てたほうがいいかもねって映画かも。オレもビギンズの内容ほぼ忘れてたから(地味だし、しかもTV放映で視聴してたし)見返してから見に行けば良かったと思ったよ‥‥
キャストはノーラン監督のインセプション組が多くて完全に身内映画的な感じだけどw、キャット・ウーマンのアン・ハサウェイはメチャカッコよくてサイコーでしたw あの猫耳、ゴーグルだったんだね。
以下ネタばれな感想。
 
 
公開1週間目なので見るまでネタばれ踏まないように気をつけてたけど、ラーズ・アール・グールの娘が出てくるとは思ってなかったんで意表を突かれたって感じ?
というか、公開前からチラホラと今回の敵・ベインについて、ジョーカーと比べて役不足すぎるという話は聞いてたし、オレもベインみたいな中途半端なフリークスはキャラとしてあんま覚えてなかったから、見てる間、ものすごい違和感があったのは確かなのね。
なぜベインはバットマンを付け狙うのか、あの物凄い仕掛けを作るための資金と後ろ盾はどこにあるのかって点でだけど。単なる復讐にしては大掛かりすぎると思ってたんだよね。やってることはすごいけど、個人的な恨みとしては見合わないんじゃないかって感じで。
ただ巷で言われてるような、ジョーカーと比較してどうこうっていうのは的外れかなと思う。
正義の問いかけで揺さぶりをかけてきたジョーカーと戦い、心に傷を負ったブルースが、今度はそのもう一つの拠り所、肉体的に圧倒される相手と戦って負けるというのが、バットマンの復活とブルースの自分探しに必要だったという物語なので、無軌道な悪っぷりのジョーカーと同じくらい、肉体的に叶わない、信念を持ったマッチョ野郎ベインもやっぱり相当な恐怖はあったよ。やっぱり怖いのは「信念を持った相手」ってことだよね。そして愛などなかったジョーカーと違って、ベインの信念の源が愛だったということですごく可哀想なキャラになるというのも良かったし。

なのでこの話がビギンズの決着編で、本当の黒幕はラーズ・アール・グールの娘のタリアだったというならまあ納得。というかアンタがそれかというまさかの展開。タリアってキャラ設定的にはブルースの恋人だし、予想つくかどうかはともかくビックリ&納得したのは確か。(このネタばれ踏まなくてよかったw)
ただそれにしても話としてわかりづらいのが、父親の正義(テロリストの正義ですw)の遂行と、その復讐のためにゴッサム・シティの私設自警団であるバットマンから街を取り上げて絶望に突き落とすという目的と、そのためのやり方としてバットマンやゴードンが守ったゴッサム・シティの秩序(正義)を破壊するため、凶悪犯を街に放ったという状況&市民の対応。いつの間にか最初の事件から3ヶ月とか経ってるのも意味わかんなかったよ?長すぎね?
市民は街に閉じ込められ(ゴッサム・シティはいつの間にマンハッタン的な街に?)、警官たちが地下に閉じ込められ、凶悪犯とベインの部下たちによって警官狩りがされ、金持ち市民が犯罪者や低所得市民に暴行されるという無法地帯かと思いきや、大多数の一般市民は街から外には出られないものの普通に暮らしてるっぽいとか、とにかく状況がよくわからない。
ウェイン社がダガットに乗っ取られそうになったのも、タリアの復讐と関係があるのかたまたまなのか、ベインが敵だという状況ではイマイチよくわかんない流れだけどタリアが相手でブルースを丸裸状態にしてバットマンを奈落へと送り込んで‥‥というのならまあ分かる。ただそれにしてもやっぱりダガットの立ち位置、ウェイン社の幹部だということやらなんやらは、それが明らかになるまではイマイチわかりにくいかと。
まあでも話はわかりにくくても2時間40分もあっても全然退屈もしないし映画自体は面白かったのよね。やたら長いなあーは思ったけどw
 
基本的には、ブルースが両親を奪われた復讐として犯罪者から市民を守る自警団として戦うっていうバットマン誕生の話から、ゴッサム・シティを守る闇の守護神=悪であるという2作目を経て、平和になった街には必要ないバットマンからただの市民になってしまったブルース・ウェインにどうやって戻るのかを模索する話ってことでいいのかなあ。
ただそこで「バットマンダークナイト」とは何者なのか?というと、ベインとバットマンの戦いで、強い暗黒と強い暗黒の戦いだって言ってたように最初からバットマンは社会的な正義じゃないんだよね。私的な正義を通そうとした挙句、街を守るために結局悪になるしかなかった、守ってるはずの市民が自分を悪だと言っても街を守り続けなければならない。だけどそうであることを本当は望んでないからブルースは苦悩してるってことなのかなと。

ジョーカーがああいう自分の楽しみのためだけに他人を傷つけて喜ぶタイプの悪党だったから、良かれと思って始めたひとり自警団のバットマンも、「マイ正義で自警する」ということの意味、それは正義なのか、正義とはなんなのかを考えざるを得なかった。結局街のために自分を犠牲にすることで傷つきながらも守ったゴッサム・シティとは、バットマンにとって何だったのか。むしろそれによって縛られてしまったのがブルースだったってことになるのかな。
ビギンズで「バットマンが本当の姿で、ブルース・ウェインの方がマスクだ」みたいなこと言ってたけど、本質がバットマンブルース・ウェインが仮面だとしても、本質が揺らいでたら仮面も揺らぐだろうという話で、それ故自分自身を見失ってたってことになるわけで。(いいけど常にバットマンとブルースの引退・復活がセットなのに何で誰も疑わないのかw)
これ、ブルースの自分探し的なものもあると思うんだけど、最終的に奈落の穴の底から戻れたのは生きようという意思があったからで、バットマンとしての存在意義を見失って自暴自棄な状態のブルースが、街を救うという信念で穴から出られたこと、それ自体がブルースが今まで穴の底にいたってことの比喩であって、自分を取り戻すことでバットマンとしての使命を果たせるようになったってことなわけで。もちろんバットマンになった由来の井戸とコウモリの話ともダブらせてるんだろうけど、そういう意味で本来の自分を取り戻したってことで。(どうでもいいけど、穴から出られた子供は命綱つけてなかったし、どう見てもあの命綱のせいでジャンプできなくて落ちてるように思えたから、さっさと外せばいいのに‥‥とは思ってたよ。本当にそれだとは思わなかったけどw)
ルフレッドはブルースが命を捨ててもいいと思ってることを嘆いて離れていったけど、ブルース自身は穴を登るときに命綱をつけてる程度には命を惜しんでたってことだよね。よくわかんなかったけど、そこら辺の決意と信念の問題なのかなとも思ったし、最後に核爆弾と共に自爆したように見えたバットマンが実はちゃんと生きてたってことは、自分を取り戻したってことなのかなあ。
自警団気取りで自分が街を守らないとと思ってた人間が、信念さえあれば誰でもヒーローになれると言って自警団をやめて本来の自分を取り戻し、バットマンは街を守ったヒーローとして伝説になって、初めてブルースは闇の騎士としてのバットマンから開放されたってことだよね。
ルフレッドが見たブルースとセリーナ@キャット・ウーマンが幻でないなら、ちゃんと仮面でない本当のブルース・ウェインに戻れたってことだし、それで初めてブルースの復讐が終わったってことになるんだろうけど、「大事なものを守るために仮面を被る」と言った通り、必要とあれば今度は「バットマン」という仮面を被るってことなんだよな、たぶん。
そして枠の中ではできることは限られてると悟ったジョン・ブレイク、本名ロビン・ジョン・ブレイクが次のバットマン?彼が大事なものを守るために仮面を被る事の意味がわかったら再び「バットマン」は現れるかも‥‥というところで終わり。ロビンはロビンのままでなくちゃんとバットマンになるってことを示唆してるのね。そして見てる間ずっとジョゼフ・ゴードン=レヴェットはなんとなくロビンっぽいと思ってたよw
あと、あれっと思ったんだけど、ゴードンってバットマンがブルースだって知らなかった‥‥の?てっきり知ってるものだとばかり‥‥あれれ?どうなん?

なんかジェットコースターのようというか、ビギンズでゆっくりと始まった話が、ダークナイトでむちゃくちゃ加速して急上昇急降下したあげく、ライジングでグルグル回されキリモミ状態になってもう十分堪能したーと思ったとこで静かに元の場所に戻ってきたっていう感じ。
監督にはすべての展開が最初から見えてたのかと言わんばかりに、物語としてはきれいに終わったなあと思った。スゴい上手くできてる話だよなあ。やっぱり傑作レベル!
 
あとおまけですが、オレのオススメのバットマンはこれなので良かったら気にかけてやってください。TDNR見ててちょっと見返したくなった。傾向としては似てると思うけど。

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