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福家警部補の挨拶#6「愛情のシナリオ」

http://www.fujitv.co.jp/fukuie/
脚本:正岡謙一郎・麻倉圭司 演出:岩田和行 原作:大倉崇裕
 
若村麻由美、美しす… (*´∀`)=3 檀れいと美女対決ってことで、とても眼福な話じゃった。
そして話はいろいろ捻ってきてて、今回は最後まで楽しめた。面白かった!
オチはまさか!で、えー?って感じだったけど、最後の最後まで女優としてブレない小木野マリ(若村麻由美)が、ブレないからこそ後味悪かったなあ。後味悪いというよりなんていうのか、思考停止するような何か、妙に不条理な事件・話だった気が。
直接の証拠はもとより窓を開け放ってた密室トリックの意外さ、鳥の餌や不在通知の使い方もミステリーとして見事だったけど、それひっくるめてすべて演出だというマリさんのいいんだか悪いんだかわからない女優魂がとても不条理。
福家が、柿沼恵美(黒沢あすか)が自殺じゃなく部屋にいた誰かによる殺人だと確信するに至ったコーヒーのシールの開け方(しかもコーヒーはインスタント)や、部屋はそこそこきれいなのにテーブルの上の乱雑さ、携帯忘れたからといって断りもなく勝手に他人のスマホを使ってしまうという大雑把さが妙にちゃんとキャラとして筋通ってるのが、ストーリー的には理路整然としてて変な緊張感があった。あ、オレもマリみたいにカップドリンクのシールはきれいに開けるんで珍しいと言われても穴なんか開けねーし、と言っとく。調味料やコーヒーのシールを指で穴あけるってのはザッパーすぎるよ。なんか嫌。
それにしても罪を認めるマリがやけに潔くて、隠し子ネタで落とすのかなと思ったらそうじゃないというその行動と考えてることの不可解さ(女優としても母親としても十分不可解な思考だと思うが)をバッサリ切って捨てる福家の取り付く島もなさがなんとも言えない後味に。
話として筋は通ってるような気はするんだけど、マリの思考自体が不可解でやりきれないよ。たぶん福家がマリのことを見捨てたというか怒りというか、そういうのを露わにしているということも、マリが指摘した福家の何かを押し隠したもう一面を見てるような、ちょっと不思議な味わいかと。
 
マリはかつて捨てた隠し子の吉野利香(高月彩良)の薬物スキャンダル(>恵美の策略)を柿沼恵美に脅されてた→恵美が脅してた役を得るためにプロデューサーとの不倫は実は釣りでさらなるスキャンダルとして利香を守ろうとした結果だった→そういうことひっくるめて恵美に脅されてたから殺したという体を装って利香を守ったのに→利香が娘だということは公表しない、認めない→でも結局利香は薬物スキャンダルでせっかく勝ち取った役を失うことになった→でも母親だとは認めず手も差し伸べない…という、それを「私は女優だから」と言われてもものすごく理解し難いんだけど。だからたぶん福家はものすごく怒ってるよね。福家にもそういう面があるって話が出てきたってのもそこへの導線だよね。
というか殺人を認めたらどのみちオーディションの結果がどうであれ仕事どころじゃないんだけど、本命はマリか恵美だったんじゃないの?誰に決まったんだ?あと利香の役ってマリと恵美の争いには関係ないよね、なんか一緒くたに語られてたけど。

つーか一番不思議なのは、柿沼恵美を殺さずにすべてを上手く収める方法は他にもあったんじゃないのかなってことなんだけど(話自体へのツッコミじゃなく劇中的に)、なんで殺したかったのかっていう理由がまったく見えないところが一番理解不能ってとこか。
マリが殺人犯ということになれば当然クランクアップしたドラマどころか今までの仕事も全部台無しなんだけどさ、それに思い至らないほど感情的じゃないよね、この小木野マリって女優は。
役の取り合いで殺人を犯した…んならミステリーではありがちな理由だけどそうではなく(普通にリアルではないと思うw)、母親だと明かしてない実の娘を守るために人を殺したというのはまったく殺す理由にもならないし、しかも普通に考えて母親だと名乗らなくても状況改善可能な中で、なのに「女優」を貫くために自分が母親だとは認めない、でもそうなると殺人者として女優の名声どころかこれまでの仕事や関係者にも多大な迷惑をかけることになるし、人殺しになったら女優どころではないってことは考えればわかることだろうになぜ人を殺してしまったのかと。
むしろ「娘に対する愛情を間違ってしまった母親」を演じたほうがまだ救いがあるんじゃないかと思うんだけど、それを拒否する理由がそもそもまったくわからないよ。福家さんだけでなくオレもあなたの心がわかりませんよ、マリさん。
現場で利香に厳しく当たってたのも言ってることは真っ当だしワガママ女優だという描写もないから、イジメとかでなく本当に教育しようと思って言ってたように思えるから余計に。それが先輩女優としてなのか母親としてなのかはわからないけど。
強いて言うなら最初から柿沼恵美のことを本気で殺したいほど邪魔だったから今回のことを利用した…としか思えないような開き直りっぷりが、女優としてプロフェッショナルなはずの彼女の闇の深さを一番感じさせるんだよ…マリさんは。
まあその結果、利香は自業自得でせっかく得た役どころか女優としてもアウトかもという後味悪い顛末だったことも含めて、なぜ、どうしてこの人は人を殺してしまったんだというのがね。
福家の真の怒りの矛先もそんなとこじゃないかと感じるんだけどどうなのか。そこまで深い話なのか?深読みしすぎ?