そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

白ゆき姫殺人事件

http://shirayuki-movie.jp/
監督:中村義洋 脚本:林民夫 原作:湊かなえ

 
すげー面白かった!見て損はないレベル。
湊かなえ原作の映画は「告白」に続いて鉄板なのかなーと思ったけど監督はそういや中村義洋だったよ。(スタッフ全然忘れてた)
そして脚本は林民夫(オレ的にはセイザーX)だよ!きれいにまとまっててホント面白かった!(パンフちら見したらアドリブのとこも多いらしいね)
とゆーか白ゆき姫殺人事件は「白ゆき姫」といいながらも実は「赤毛のアン」だったのだ。いま赤毛のアン流行なの?しかもそうくるだろうと予想はしたけど最後泣けたよ、そうくるとわかっててもマジ泣けた…(´;ω;`) ただ、それで終わらなかったとこもいい。その後もいいw
これ、何言ってもネタバレになりそうだから肝心なことは言わないようにするけど(でも喋りたいw)、とりあえず途中で予想はつくけど犯人が誰かは考えないほうが絶対楽しめると思う。
最後もなんだか清々しく終わったんでとても良かったし見応えあった。ほんとオススメ。
 
 
キャッチコピーは「女同士の噂話が暴走する」だけど、実際「女同士」が〜ってわけじゃないよね。普通に男性の妄想入った証言もあるし。犯人の動機が動機なだけにそういう話だと思って見てるとちょっと違うという印象。(いや前情報何も入れてないんであとでサイト見てそう思ったけど)
これ、匿名のネット(ツイッター)や無責任なワイドショー取材も皮肉ってるけど、一番無責任なのはそういうのを見て楽しんでるまったく無関係な人だよねーって話で。
途中までは赤星が中心で話が進んでて城野美姫の実像も定かじゃない状況から、本人が出てきて語り始めたところで気がついたら映画の展開から赤星がいなくなってて、種明かし的に赤星のインタビューに上書きするように城野美姫が中心に話が進むという展開も結構変則的などんでん返し。
だけど見てる間はあれよあれよというまま、上手いことその流れに取り込まれて、気がついたら何もかも終わって解決してる…というあっという間の2時間だった。まああれ、事件後の城野美姫が見つからないってのはちょっと変かなと思うし、そういうことになってるのを彼女が知る部分がないのが物足りないけど、そこはもう終盤だからネット上のリアクション含めて上手いこと回避したって感じかなあ。
ツイッターの画面への取り込み方や、最初赤星のモノローグ代わりに使ったりするとことか面白かった。ツイッターの使い方としてはRT拡散とかは使ってないし、炎上ネタのわりに赤星のフォロワーが少なすぎる(炎上前だからか?)気もするけどまあいいかな。実名特定といい、どちらかというとツイッターよりは2ちゃんねる的な感じ。
ワイドショーは今ああいうゴシップ系の作りの番組ってさすがにないし、まさにツイッター全盛の昨今あそこまで無責任だとさすがに問題になると思うけど、いかにもそれっぽくて良かった。ほんとあいつらクソだよなw あと小学校時代の担任もクソだよな。最悪。
 
興味本位でしか仕事してなくて無責任で薄っぺらいTVディレクターの赤星(綾野剛)がひょんなことから転がってきた取材ネタが実は…ってことになるんだけど、綾野剛がこの薄っぺらいディレクターを薄っぺらく演じてて、ある意味鉄板(笑)
というか綾野くんは薄っぺらく演じようとしてたとはいうけど、すでに脚本レベルで赤星の言動ってきっちり全部が薄っぺらだよね。ツイッターのラーメングルメレポネタとか、大きな事件ネタを知らないとか、映像に拘ってるようなこといいながらカメラ中心で行動してない(現場行った時の映像をそれなりにしか押さえてなくて、そのかわりにツイッターでつぶやいちゃう)とかとか。
見た目だけの適当でいい加減な人間だってのはわかるから、ある意味最初から最後までとても安心して見られるよw そして最後、名前の下の「無関係」にスッキリw
証言した人間たちは殆どみんながみんな嘘をつく意識なく「それっぽい」証言をしてて、映画としてはそれが真実じゃないだろうなーとわかるところもとても良心的。犯人以外は。(さすがに途中でうっすら気がつくけどそれは考えないほうが楽しめるかとw)
犯人にしたってそう思い込んでる(ように見せてる?)部分があるけど、動機からしたら本気でそう思ってても不思議じゃないしね。というか社内のしょぼい窃盗事件から突然メッタ刺し放火殺人へのキレ方が心の闇そのもの。本人がそうは見えない、現実にもありそうなだけに怖い。
そして関係者の証言が本当のことじゃないのと同じ程度に、当事者である城野美姫の告白もどこまで本当なのかはわからないんだけどさ。あくまでも主観の告白だし。彼女が「そう感じた」っていうだけで、事実かどうかはわからないよね。
そんな中で城野さんの親友のひきこもり、夕子(貫地谷しほり)と赤星の後輩の長谷川(染谷将太)は「わかってる人」かなあ。夕子はインタビューに来た赤星のツイッターにリプを送ってたってこともあり、ツイアカを知ってるぞという感じの名前呼び捨てと追い詰め方が良かった。しかも赤星、気がつかねーの。バカwww
長谷川も最後の最後のあれが効いてた。つか普通気がつくよねえ。赤星バカwwwまあいろいろ自業自得だけど、実名とかさらされちゃってこれからどうなるのかなー。一片も同情の余地ないからむしろ清々しいね。
当たり前だけど流されない人はどんな情報が出てきても何故か本当かどうかがわかるし、いい加減なことも言わないよな(^_^;)
とにかくそういう虚像に振り回された話で、城野さんと夕子のあの最後のやりとりはホントうっかり泣いた。あの二人はいつまでもああいう繋がりでいて欲しい。
ネットやTVの情報に踊らされてる人々が見てた情報の無責任さと、身近に接してても実像とかけ離れた本人像を語るいい加減さが十分に愚かしく描かれてるからこそ、あの物凄くシンプルで原始的な「私はここにいるよ」と知らせるだけの繋がりの強さに泣ける。人の繋がりのリアルさってああいうことだよなと思うよ。必要な誰かがそこにいるっていう実感というか。そういう話だった。
 
そしてキャスティングも良かった。
綾野剛の赤星のダメさは予告編での印象予想通りだけど、主役の井上真央の地味さ加減がスゴいよ。菜々緒に比べて可愛くないはずないのに地味に見えるのがスゴい。普通に考えて小学生の時に町一番の美人の夕子が大人になった貫地谷より井上真央のほうが可愛いよねえ?価値観の混乱w
その夕子の貫地谷しほりもいいね。ダイアナじゃなくギルバートになりたかった(>赤毛のアン)城野さんの親友ってそういうことなのか?
菜々緒はまあ当然そういう人だよねっていう(苦笑)そうじゃないほうがおかしいよと思いながら見てたから、途中からはスッキリ。それもまた城野さんの思い込みはあるだろうけど、ああいう女はそうなんだっていうのはまああるかもね。
そんで蓮佛美沙子はあの髪型のせいで見てる間どうしても名前が出てこなくて、しかもあのキャラってのが…。やっぱり地味にすごいよ蓮佛ちゃん。
谷村美月の大学時代の親友はすごくいがちな一般人というか、ほんとにお前のせいで実名が…というか。指摘されたらすぐ削除しろよー…(^_^;)まだ本当の城野美姫がわからないとこだったけどなんかイラッとしたわー(∋_∈)
金子ノブアキはキモかったw なんであれがステキ係長www田舎クオリティw
キャスティングが自分的に知った顔と知らない顔のバランスが良かったってのもあるし、全体に普通っぽい人風に見える人たちってとこに、ところどころ大東俊介とかダンカンとか混じってるのも時々正気に帰らされるというか。城野美姫、ダンカンはともかく秋野暢子の娘が可愛くないはずないだろよ(笑)
 
告白と同じく、これも映画が映像的にも話の構造的にも気になって原作読みたくなるなあ。ああいう映像演出大事(見せ方って意味で)な映画の出来があまりにも良いと原作も気になるんだよなー。赤星のモノローグがツイッターなのって原作もなんだろか。
あ、公式サイトからのツイッターアカウントちゃんとあるんだね。赤星のホーム→https://twitter.com/RED_STAR_07 他の人のもあるな。
パンフはやけに小さいなあと思ったけど、どうもiPadmini的なサイズってことか。サイズも作りもカワイクていいけど縦開きはちょっと読みにくいよ(^_^;)