そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

グラスホッパー

http://grasshopper-movie.jp
監督:瀧本智行 脚本:青島武 原作:伊坂幸太郎

 
原作未読。いつも行く本屋さんにずっとポスターが貼ってあったんだけど、どんな話かも知らずに見に行きました。でも「脳男」の瀧本監督と生田斗真のコンビで伊坂作品の映像化なら見に行きますね、当然ですね。
んで映画は面白かった…けど、これすごい変な話だね。
鈴木の立ち位置変じゃね?って思ったけど隣席の原作読んでる兄ちゃんズたちの話聞いて納得。なんでそこ変えた?って気はしなくもないけど、斗真があの設定でやるならその方がいいかも。この殺伐とした話の中で鈴木のボンクラっぷりと百合子さん(波留)の笑顔は大変ほのぼのしくて救いですよ。
鯨の浅野忠信は渋いしオシャレだし(お家が)、蝉の山田涼介は可愛くて尖っててアクションカッコイイし、その相棒の岩西@村上淳もいい感じの殺し屋エージェントだし、鈴木の復讐はともかくとして鯨も蝉もそれぞれでシリーズが成り立つような殺し屋ハードボイルドキャラたちをああいう風に絡めるってのはちょっとびっくり。wikiを見たらその三人別々に物語が進んで…ってことらしいね。納得。
鯨はブレなく麻のただのむばキャラだったけど、山田くんの蝉は最初の殺しのシーンからの印象からもっとイカれてるのかと思ったら岩西との関係含めて思ったより普通の少年っぽい感じだったのが逆によかった。というかこれ、内容的には斗真より山田押しじゃね?w
それぞれの殺し屋は文章よりも映像の絵面で見るとかなり違う作品世界に生きてる感じなので、それを全部一か所・一つの事件にまとめましたーってのは面白いかも。
ただやっぱりどうも鈴木の存在感が薄くて展開として棚ぼた感あって、行動もイマイチよくわからないんで、鈴木目線で見てるとこの事件ってホント何だったんだ?と思わんでもないというか。いや生きててよかったけどさ、鈴木w
この監督の映像は、「脳男」もそうだけどやりすぎてないけど凄まじさもあってオレは好きかも。蝉と鯨のあのオチはいいねw 思わず「えーー?」って笑っちゃったけど、なんでみんな笑わないの?あれギャグじゃないんだ?車動くんだ…えー?みたいなw
あとあのスクランブル交差点、どうやって撮影したんだろうと思ってたらまさかのオープンセット+CGとは。すごいなー!
もうちょっと突っ込みたいので以下ネタバレで。
あくまでも映画としてはとても面白かったんだけど、それでもよくわからないところがあった…ってことで。原作読めって言われたらその通りかもとは思うが。
 
 
気になるんで何となく原作の話をざっくり知りたくてググってみたけど、どうもこの話自体が鈴木の妄想じゃないかっていう説があるっぽいけどどうなんだろ。キャッチコピーの「この世界から抜け出せるか?」ってのはこの凶暴な殺し屋ばかりの中からってことであって妄想から…ってことじゃないよねえ?だって鯨の亡霊の妄想と鈴木の話って別だよね?
そもそも時系列としてハロウィン(10月末)→(翌年の夏)事件の二日間→1年後・押し屋一家のネタばらしとタイムカプセル解凍?(そういや「タイムカプセル」は原作にないんだって?←前述の兄ちゃんズによる)
なぜあの事故現場で鈴木にあのメッセージが届いたのか?鈴木は復讐したいと思ってる割にその後が受け身で何のために潜入したのかよくわからないのが一番感情移入できないとこなんだけど、それがあるから教え子ギャルの拉致があるのよねえ(あの状態から拉致ってのも普通におかしいんだけど)
押し屋の家を突き止めたあとからのぼんやりした展開とか(邪魔したのが教え子の仲間だってのは予想通りだけど)なぜそこで事務所に戻るとか、終始あまりにもキレやすい比与子(菜々緒)とか、そもそもフロイラインと寺原会長がどれだけの人物なのかは、描写としてぼんやりとしかわからないのよね。
押し屋もある程度は予想してたんで、あの一家が殺されなくてよかったと思ったけど、ネタばらししてからの鈴木のあの食事の解凍シーンがどう繋がってるのかやっぱりよくわからなくてぼんやり。あとハロウィンのかぼちゃの子もそうだとは思ったけど、そもそもあの子たちは殺し屋なの?というかどうしてあそこにいたのか、百合子さんと接触したのは偶然?そのへんからしてなんかもともとが鈴木が巻き込まれるのが想定内の計画に見えるのも微妙というか。ハロウィンお事件ありきって言ってるから本当にぐうう全なんだろうけど。
ある程度は”そういうもの”として分かるんだけど、なんだろ、本当はもっといろいろ含みがあるのかなあ?
ただ話の流れとして、鈴木にどの程度の復讐心があったのかはともかく、彼の復讐相手の寺原息子が押し屋に押されて轢き殺され(タクシー運ちゃんいい迷惑)、鈴木とはまったく関係のないところで寺原会長を狙った鯨とその鯨に相棒を殺された蝉が出会い、会長は謎の組織にあっさり殺されなぜか鯨と蝉が戦って仲良く帰る…という鳶に油揚げの連鎖展開ってのは面白いと思った。でも基本的に鈴木関係ないよね。押し屋は謎すぎるよね。自称元教え子の殺し屋、仕事確実すぎるよね。必殺仕置人かよw
押し屋の槿(吉岡隆秀)のいう群体になった黒いトノサマバッタの凶暴性は、冒頭の事故現場の死体写真を写メるような一般ピープルの集団心理だろうし、それをからつところは映画てキンい重要なポイントなんだろうけど、そういう無意識の悪意の狂騒と殺し屋たちの饗宴は別だとは思うんだけど、それをあの偽装家族の押し屋がいうかーみたいなとこもあるので、全体としてはわかるんだけど細かくいうと辻褄合ってる?って気にはなるかなあ。
原作は違うらしいけど、その凶暴なトノサマバッタをあの集団心理とシンクロして見せるのにハロウィンの渋谷のスクランブル交差点を持ってくるのはまさに「今」だし、映像とシュチュエーションとして的確だなあと思う。ただその後の鈴木の復讐ってのは動機というかきっかけが自分からじゃない、しかも「復讐を横取りされた。嘘?」っていうキャラから「代わりにやってくれたのか、ありがとう」というキャラに改変されてる?らしいのでイマイチ共感しにくいってことかと。
鯨や蝉(&岩西)のキャラ、押し屋一家と謎の始末屋組織が面白いだけにちょっとモヤモヤするかなあ…ってことでした。