そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

クリーピー 偽りの隣人

http://creepy.asmik-ace.co.jp
監督:黒沢清 脚本:黒沢清池田千尋 原作:前川裕

 
いやこれサブタイトルもだけど、このキャッチコピーだけで話の内容が全部ネタばれてるのよくないと思うよ?
監督がそれでいいと思ったんならバカじゃねとしか言いようがないんだけど、なんでこんな宣伝を許してしまったのか。せっかく演出で怖くしても意味ないよ、だってネタがわかってんだもん。
どっかで『黒い家』みたいっての見かけたけどほんとそういうサイコホラー。でもサイコホラーだから怖ければ内容わかってても楽しめるっていう話でもないし、娘ちゃんが「あの人は本当のお父さんじゃない」っていうのがまったく衝撃的じゃないよね?
10 クローバーフィールド・レーン』も日本のポスタービジュアルと予告編って完全にネタバレしてたけど、なんつーか、そういうのダメだと思うよ。マジで。
というかオレ今wiki見るまで塚本晋也監督の『鉄男』やった人だと勘違いしてた、スマソ。この監督は佐藤健の『リアル〜完全なる首長竜の日〜』の人だよな。あれも映像手法だけが独り歩きしてたけど、うーん、演出はともかく脚本がどうにもなあ。 *1
てかオレサイコホラーとかまったく苦手なのですが、なんでかこれ見ちゃったのはキャスト目当てです。
その代わり映画の最初のほう、西島秀俊が家にいるってだけでパナソニックのCMに思えて仕方なかった。どうやったらパナソニックに思えないか考えすぎて話に入り込めなかった! (自業自得)
以下ネタバレ。
 
 
とにかく香川照之の正気と狂人が入り混じったキチガイサイコ野郎っぷりがマジコワい。香川さんの芸風まんまだってわかっててもキモ怖い。これは完全に香川照之を見る映画。
wiki見ると原作とは設定やストーリー展開もかなり違うっぽいけど、この映画はこれはこれでまとまってると思う。アレンジとかは全然いいと思う。ただ細部のツメが甘いんで入り込めないんだよね。
西島秀俊もだけど竹内結子が思ったより頭悪いし、それだけでストレス溜まるわー。
つーか今どき引越しの挨拶に手作りチョコとかないし、シチュー作りすぎたからって(いうレベルの量じゃないし)タッパーとかでなくガラスのボウルで持って行くとかむしろ引く。オレが隣人でも距離置くよ。
あとどう見ても感じ悪いとか言うレベルじゃないだろよ、隣の西野さん(香川照之)は。そもそもなんでそんなとこに引っ越した?まず現地の隣人とか調査しろよ、元刑事だろ高倉。
そしてある程度のこと、高倉が気になった事件を元同僚の野上(東出昌大)が調べると言ってきたことくらい…はキッカケなので仕方ないけど、高倉が事件の調査や被害者の本田早紀に対して興味本位の「趣味」だと言ったり(どういうキャラ?)、野上にしても高倉にしても谷本(笹野高史)にしても刑事のくせに単独行動とって拉致殺害とか迂闊すぎるよ。バカなの?
康子(竹内結子)が夫婦生活に何か思うところがあるというのもはっきり描かれないから、そもそもアレでどうして西野に取り込まれたのかも今ひとつわかんないし。
まあ西野のやり方は躊躇がないから薬(覚醒剤?)打たれても仕方ないとは思うけど、あまりにもみんな迂闊すぎる。どう見てもあの地下室とか異常だろ。入るかフツー?(入らないと話にならならないってのはともかく)
こういう映画だからってのはわかってるんだけど、どうしてみんなひとりで行くかなあ?あと警察は情報共有しろよ(と突っ込みたくなる時点でオレ的にはない)
野上が借金があって〜ってのも唐突な話でどうもあの野上@東出のキャラに似合わなくて、警察がでっち上げしてるのかと思ったよ。(そんなんとこだけ原作を踏襲しなくても)そもそも再調査に根拠が無いし。
谷本さんが高倉を信用してるのかどうか、高倉が厄介者扱いされてるのは1年前の事件のせいだろうけどその辺もスルーしすぎだし、挙句西野は事情聴取してたのに勝手に帰るし、ウヤムヤすぎてあのへんのくだりがさっぱりわかんないよ。あそこが一番イライラした。
結局日野市の一家失踪事件が未解決になってるっても死体は隣の家にありましたーって、警察上層部から圧力でもかかってるのか、西野が見過ごされてるのはそのせいなのかとも思ったしわかりにくいよ。だいたいどうしてお隣が爆発事故で変な死体が混じってるのに高倉の証言がスルー、野上が調べたことも放置、西野が疑われないのかと。
そういうとこが気になって話は全然楽しめなかったよ。
いろんな意味で違和感があっておかしいってのはわかる。康子の行動も変だし西野の家の中におかしな部屋があるのとか(映像テイストも違うし)あの隠し部屋とか明らかに変すぎるだろwww 高倉が大学で被害者の本多早紀に話を聞くときも背景のガラス越しに学生がいておかしいし。カーテン閉めろよw
最後も西野がああなってもまったくスッキリしねーし。そうじゃないかとは思ってたけど高倉があれ狙ってたのとかまったくわからなかったし、伏線張るの下手すぎる。というかちゃんと伏線を張れ。『10クロ』見習え。自分は手をくださず他人にやらせるんだなって言うけど、西野の奥さんを撃ったのは結局西野だろよ。西野のサイコなところは他人を罪悪感で洗脳して操るってことでしょ。
まあとりあえず犬は助かって良かった。
全体に香川さんのキチガイっぷりに戦慄したのは楽しめたけどさ。あの洗脳法は、薬はともかく頭が悪い人にしか通じないと思うよ。いやショックで〜とか、逃げられないと思ってるから〜ってのはわかるけど。まあ予備動作無しで実害を与えるサイコパスは予想外すぎて防ぎようがないか。
あと何気に怖かったのは澪ちゃん。あの精神状態考えるととても怖い考えになるよ…
 
そういや今日のこの記事、これに役所広司は出てはイカンよ。全然違うモノになるわw

 
追記。コメントレスで思い出したんで張っとく。

確かにこれは監督の個性だと思うし観てる方もくせにはなるんだろうけど、オレはこういうのはそんなに好きではないよ。なぜなら演出のための演出が好きではないから。
でもまあ思い出してみるとなんかじわじわくるものはあるかも。もうちょっと脚本がしっかりしてたらいいのかも?(リアルも話がひどかったし)

*1:オレ『〜首長竜の日』でも似たようなこと言ってたよ…この監督とはよほど相性悪いのかも。http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20130606/p3