そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

蟲師・読売新聞の記事

「静かなブーム「蟲師漆原友紀さん」
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20060329bk09.htm
3日前の記事ですね。書いとこうと思って忘れてた。読売の夕刊にはマンガやアニメのページがあるんですが、蟲師が取り上げられてたので。
オイラがマンガの(アニメも同じテイストなので区別する必要もないんですが)「蟲師」を読んでて思うのは、物語としては面白いけどマンガとしては特に面白くないってことです。(誤解されないように言っとくけど、このマンガを読んですごく感情を揺さぶられるのは、ストーリーテリングや作劇の力じゃなく、物語自体の力なんだなあってことです)
例えば同じジャンルでいうのなら今市子の「百鬼夜行抄」が、(さすがに最近はマンネリ化してきたけど)ちゃんと「お話」として作られている、例えば起承転結があってストーリーに筋が通っているとかそういうことなんですが、そういう意味でマンガとして面白いのと比べると、蟲師の場合そういうふうには面白くないんですね。
じゃあ何が面白いかというと、蟲がそのまま在る様をただ淡々と描いているのが面白いと思うのです。絵や雰囲気が…という話になると人の好みはさまざまなのであまり突っ込みませんが、同じマンガでも全く質の違う物だということですね。
それが端的に表れてるのは、この記事でも紹介されてる作者のコメント

 「『蟲師』でやりたかったのは、不思議な現象をただ描く、ということで、それを邪魔する要素はなるべく出すまいと、土地も時代も架空の、でもどこかなじみのある世界がいいと思った」

なんだと思うのですね。
ただ蟲が世界に在る様を、「書の海」の狩房家の少女のように旅の蟲師から蟲の話を聞くが如くに楽しむのが蟲師の魅力なのかなあと思ったり。だから良い話も酷い話も泣ける話も救いようがない話も全て同列に語られて、オチが必ずつくワケでもなく、ただあるがままの出来事が語られてるだけのマンガ。まあこれは蟲師を好きな人たちには今更なのですが。(オレはアニメからはまった口なんでそんなに原作に思い入れがないってのもありますが)
未だ「鎖国を続ける日本」、明治維新がなかった日本というのは確かにこういうゆっくりとした世界なのかも…と思わせるのもいいですね。この人の画力あっての物ですが。(あまりよく知らないんですが、この人は美大日本画とかやってたりしてないんだろうか?根本的な画力の方向性がすごくそんな気がするんだけど…)

マンガって、描くだけなら大して元手がかかるわけじゃないので、いろんな物が出てきて可能性としてはまだまだ開けてますね。いいことだ。
(文中で「お話」とか「物語」とか「マンガ」とかフィーリングで使い分けてるので、フィーリングでご理解いただきたいです。すいません、今その辺をあまり深く考えて使い分けるほどの余裕はないので…)