そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ギャルサー#9

「カリスマギャルの衝撃過去」
http://www.ntv.co.jp/gal/

このドラマの感想を書くのが思ったより大変で、何だかすでに自分の中では乗りかかった船という感じで書いてますが、まともに書くと余りにも深すぎて追っつかないので簡単に。


結局レミ=イモコだったわけですが、簡単に言えばこういう悩みって本人にしかその苦痛は判らないもので、他人からしたら些細な、というよりどうでもいいことだったりするんですね。(これは先週のサキの話と同じ、というか本人からしたら大変なことだけどそれは往々にして他人から見ればどうでもいい、または悩むに値しない問題だ、ということのリアルさはこのドラマの持ち味だよな)
お姉さんの小町さんがそれに気がつかなかったのも、自分が美しさに恵まれてたからじゃなく、単にそれだけのことだからだし、名前の由来を知ってるから余計になぜ気にするんだってことなんですよね。そして結婚という女性としてはよく有りがちな出来事でそれを痛感したと。まあ普通はそんなことで結婚を止めたりはしないと思うんだけど、秋田小町が恥ずかしいのか妹の苦悩を思いやってか、どっちもあると思うけど妹のために生きてるから後者でいいのかな。
本名がイモコでもアヤカと名乗ればアヤカだし、レミと呼んでくれる人がいればレミなんだよね。要は本人の中身の問題だから、レミの器の大きさに魅かれて集まってるエンジェルハートのメンバーはそんなことでバカにするどころか、みんなで変な名前を名乗ることでそういうことが問題じゃないということを一番彼女ららしく解決してて、頭悪いけどやっぱりこれが彼女ら的なんでしょうね。
ここで誰一人としてレミの本名がイモコだということでバカにしたり、またそのレミの悩みを些細なことだという大人ぶったことを言う人間がいないというのも面白いですね。(頭のいいユリカやリカでさえ)


もとよりそんなことを気にしない進之助はともかく、欲しいのは恋人じゃなく理想の女性と恋がしたいんだ!などとふざけたことを抜かす(笑)一ノ瀬が、恋した相手がレミだったから…というわけではないだろうけど、そのレミの悩みをきちんと判ってあげてるのがいいよ。でもその結果が夜通しの殴り合い。合いじゃないね、一方的に殴られ続けてまさに拳で語り合うのか、殴り合いは殴り愛なのか、そんな光景はかなりシュール。
この辺何というか、言葉じゃない部分で語るのはこのドラマの特徴なんだけど、ここまで来ると言いたいことに対しての演出方法が余りにも哲学的すぎて、どう語っていいか判らないです。深すぎるよ、カウボーイの掘った落とし穴みたいに。それでも言いたいことはちゃんと伝わってくるんだけど、見てる視聴者に説明なしで委ねちゃってるのが、このドラマの凄いとこか。セリフで全部説明してくれるような万人向けじゃない所が、本来映像の力というか、画面の文脈なんだけど。
常識的に考えて改名するのが一番最善の方法だと思っていた一ノ瀬が、やっぱり本質的には正しい進之助のやってることを見てそれに気がついて、今まで名前から逃げてきたレミが何も感じなくなるほど殴り疲れるころに「渋谷にいればいい」というところで泣けたよ。


で、この名前の問題って、ちょっと美容整形の問題にも似てるんだけど、過去を知ってる人間からすればイヤな過去を隠してイイ目を見てる人に対してはやっかみ半分で複雑な気持ちだし、今しか知らない人からすれば何で気にするのってことで、本人からしたら気にする人は気にするだろうししない人は全くしない、アイデンティティの問題とまではいかなくても、自分の心の持ちようってことですよね。


ということでお姉さんの小野小町三浦理恵子)さん、ドラッグストアの店主(温水洋一)とくっついちゃって、ええ〜〜!って感じなんですが、これがまたレミの話と対比させてるのが興味深いです。
初っぱなからブスブスと、視聴者的には何で三浦理恵子がブスメイクしてブスって言われてんだ、しかも女性蔑視だよ、と思ったら、実はそんな理由だったという、番組的にじゃなくて劇中仕様だったという話。
昔は渋谷辺りでブイブイいわせてたというお姉さんの若い頃の武勇伝はともかくとして、元々自分が綺麗だということが判ってるから、ブスメイクをしてブスといわれても全然平気だと言うのはレミが本名を苦痛に思ってるのとは対照的。しかもやる気になればいつだって美人メイクに戻せるわけだし、彼女的には全く問題なし。
レミが他人の評価(ってわけでもないよな、単に名前で虐められてただけだし)で傷ついて、他人に名前を知られるのを恐れているのと反対に、お姉さんは美しさという他人の評価が自己の評価として確立してるから表面的にブスであっても傷つかない。もちろん美しいという評価がプラス方向の評価だからというのもありますが、レミは今、傍目から見てルックスがよくてカッコイイと慕われてても、その他人からの過去のマイナス評価がプラスにならないんですね。
今までのストーリーで、常に本質的な所で人を見る目があって懐が大きいカリスマと慕われてても、自分が一番そういうところに囚われていたわけです。


話戻すと、そのブスメイクをしてた小町さんをブスと記号で呼び続けたわりに、実は一番内面を見てた(のか?)ドラッグストア店主と、自分が美人だって知ってるのにそこは問題ではなく、なぜか冴えない店主とくっついてしまった小町さん。実はこのドラマのメインキャラって、見た目とか名前にはこだわらない人ばかりだったんですね。一ノ瀬だってレミに一目ぼれしたのはルックスじゃないしさ。(ここのシーンのハートのポスターの演出は上手いと思ったな)
一ノ瀬がいうようにそれが渋谷だという場所なんだといえばそうなんだし、このドラマのいいたいことはその辺なのでしょうか。


そしてジェロニモが探してたイモコはレミじゃなかった!ドラマの大前提が無くなった今思わぬ伏兵、誰がアヤシイ手紙を送り付けたのか。どう見ても高田順次が黒幕なんだけど…?
今回は小ネタも大盤振る舞いなので喩えがなくっても気にもしなかったよ。(気にしてるやつがいるのか?)