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カブトネタ元考1:「俺が正義」とは?

この考察自体がもうひと月ほど前に書いたものなんですが、その後ガタックが出るまで…と思ってたら本編の方がちょっと違う感じになってきました。その辺修正しつつ、ちょっとネタ元…というかこの辺使ってんじゃないのかなあ〜って話です。


実はちょっとカブトが始まったころから何となくだけど、これってキリスト教をモチーフにしてんじゃないかなあと思ってたところがありました。
なんでそう思ったのかというと最初の頃の天道のセリフの「自分を犠牲にしてでも誰かを助ける…云々」がイコール「自己犠牲?」で引っ掛かってたのと加賀美陸がマタイ伝を引用したところ辺りかもしれないですが、それに「俺が正義」だったからかな(後述)。でも聖書引用とか神父コスとか(?)所々そういうモチーフは最初からあったような。

で、そんなことを考えてたときに、これは某さんから教えてもらったことなんですが、カブトに於けるライダーの定義が「七つの大罪」じゃないかと言うネットで拾ったネタを聞いてものすごく腑に落ちたんですね。

惑星 美徳 大罪 象徴 人間の部分 ライダー
太陽 希望 怠惰 ロバ 生命力(霊) カブト→自分を太陽と同一視・隠れた努力家・食は命
貞節 嫉妬 心霊力(魂) ガタック→鏡は太陽の反射を映す、月も同様・天道に嫉妬してはいけない・犬に見える(笑)・死んで生返った
水星 知恵 暴食 知性(精神) 詐欺師ライダー?→詐欺には知恵が必要
金星 色欲 人間の聖性 ドレイク→美と愛を司るのは金星・この中では一番人間くさい
火星 勇気 憤怒 動物的な下位の要素
木星 忠実 傲慢 孔雀 高級な羨望 ザビー→組織に忠実・ザビーであるということはシャドウの隊長であるということ(羨望)
土星 慎重 強欲 ハリネズミ 肉体 サソード→ノブレスオブリージュは強欲であってはいけない・肉体的には蠍ワーム

(フレッド・ゲティングス 『オカルトの事典』)
白倉Pがインタビューで言ってた詐欺師ライダーが出るとすれば「知恵」じゃないかと思うんだけど…そうすると大体埋まるよね

単にライダーの定義をこれになぞらえてるだけで、これ自体の意味がカブトの世界観に関係してるということではないと思うんですが、出典はキリスト教神学なんですね。
それでますますキリスト教モチーフというか、「ああそうか、天道=キリストか」と納得してしまったんですよ。納得というかそれで確定、って感じ。
そう考えると一番最初の番組キャッチコピーの「俺が正義」なんですが、これは結構引っ掛かってました。
今までいろいろな「人それぞれの正義がある」ということを描いていた白倉さんが、なぜ今回に限っては「俺が正義」と言い切るのか?


白倉Pお得意の「二元論」ですが*1今までは東洋的二元論、つまり世界と自己という括り、ちょっと乱暴ですが世界に対して自分が係わってるから正しさは自分の中にある…それがその人なりの正義ともいえるんじゃないかな、という印象なんですね。これはいいとか悪いとかじゃなく、基準は個人です。だから世間に対して絶対ではない。
それに対して西洋的二元論は善と悪、つまり絶対的に正しいものと絶対的に悪いもの、特にキリスト教徒にとってはそれは神が決めたことだから個人の心の問題ではないんですね。ただ絶対的に正しいものがあるだけ。人々は混沌の世界で自分たちを導いてくれる絶対的な物を求めてる*2、だから「オレが正義」といいきる主人公は揺るぎない。だって神だから。
と、どうもカブトを見てると、「正義」というものに対する心のありようが、今までとは違う方向で描かれようとしているような感じがするのです。だから個人の正義ではなく神の正義じゃないかと思うのです。


キリスト教自体はそんなに詳しくないんですが、キリスト教って神であるイエス・キリストが絶対的な正義じゃないですか。良いとか悪いとかじゃなくそれが唯一「正しい」ことだと。
神は間違わない、神は全てを見通して、迷える小羊たちを約束の地に導いていく…これって今んとこ天道そのままですよね。加賀美も矢車も導かれちゃったし。そういう意味では大介は美の信奉者であるゆえに、神には興味がない。むしろ自由を愛する無神論者ともいえます。
天道がワームを倒すことを使命だと思ってる理由はまだ判らないけど、彼のメンタリティは人類全てを等しく愛し、自分の全てをかけて人類を救おうとしている人間です。一見冷たそうに見えるんだけど、それは重責を負って何かを成し遂げようとする人のそれであって、決して人に対する愛情がないわけではない、むしろ博愛と言っていいほど人に対しては慈悲を持って接している。この辺、目的のためなら人の命をなんとも思ってない節があるZECTのやり方とは全く違う。
そして自己犠牲はしない、二兎を追う者は二兎ともとれ。天道はそれが信条なだけにそのための努力は惜しまない。その辺はイエス・キリストとは違います。


で、天道のポリシーは自己犠牲ではない。じゃあ誰か。これが加賀美だったと。
最初天道=キリストと考えてたときに、以降の展開で天道が一度死んで(もしくはメタファーとしての死)甦るという展開があるかも…と思っていたら、加賀美が死んで甦ってしまいました(笑)
天道=キリストは揺らがないと思ってたんだけど、もしかして立場逆転?役割交代なのか?加賀美=キリストじゃん、と思ってしまったワケです。
しかも加賀美も今までなにげに俺様な片鱗は見せてたものの、天道という超出来る俺様の影に隠れてあまりそう感じなかったんですが、加賀美復活、ライダー変身展開で見事な俺様ぶりを見せてくれて、やっぱり加賀美も俺様だった、ライダーの資格は俺様なのか?と確信したところであります。
そこで最初のポスタービジュアル、こないだもちょっと書いたんですが、ゼクトルーパーを後ろに従えてキャストオフするカブトはあまりに天道とはイメージが違うんですね。なのでこれは加賀美だということはないだろうか?という疑問。
「俺が正義」のインパクトが余りにも強いんだけど、天道ってそんなこと劇中でいったことあったっけ…と考えたんですがあったっけ?むしろ加賀美の方が自信をもって「俺が正義」だといいそうですよね。まあこの辺は保留にして、今後の展開を楽しみにするというところでしょうか。


今まで天道総司という人間は余りにも「間違えないキャラ」として描かれてきたのですが、実は気になってることがあるんですね。
2話で樹花が言った「お兄ちゃんは間違ったことなんかしないから」にちょっと何か思うとこあり気に暗い影を見せる天道。もしそれが伏線だとしたら、天道がかつて「間違ったこと」をした結果、今の状態があるってことを後悔してるともとれるんですよね。それがひよりのことなのか、もしかしたらベルトを手にしたこと自体なのかは判らないんですが、その間違いをを修正するために天道がワームと戦ってるとしたら、それはそれで天道の使命の元になるわけです。
神は間違えない、でももし間違ったことをしてしまったら…?自らが正しくあるために不断の努力をする、ワームと戦うときだけが本当の自分になれる。天道の今度こそ絶対に間違えてはいけないことは何なんでしょうか。
白倉Pいうところのカブト第2章ともいうべきこれからの展開、エリアXの秘密を知って今まで揺らがない主人公・天道が揺らぐような真実が明かされるともいわれてますが、迷わなくなった加賀美との役割交代のようなものがあるのか、ちょっと、いやかなり気になりますね。

*1:でも「ヒーローと正義」は読んでないんで、龍騎のファンコレ辺りから。

*2:これは白倉さん自身がインタビューで言ってましたが、今の時代に必要なのは強いリーダーだからそういう主人公を作ると。